傷病手当金について
患者さんは病気になって給料が出なくなった時にどうやって生活したら良いのでしょうかと心配されますが、受給資格があれば「傷病手当金」をもらうことができます。
社会保険に加入していればもらえます
社会保険に加入している人は、給料がもらえなくなった時に傷病手当金が支給されます。国民健康保険の場合は支給はありません。
条件としては、「4日以上休業し、給与がない」ことです。支給される額は標準月額の2/3で、支給期間は最大1年半です。会社の保険によっては2/3にプラスしていくらかもらえることがあります。「自分の保険証の名称 傷病手当金」で検索すると情報が出てきます。
申請のタイミング
申請するときは、例えば9月から休職した場合、10月に入ってから「9月○日〜9月30日まで休んだ」という診断書を書きます。9月の途中で9月末分までの診断書を書くことはできません。最大で2年遡って申請できますので半年分くらいをまとめて書くこともできますが、基本的には月に1回出します。
退職した場合
休職中に退職した場合も、1年以上保険に入っていれば傷病手当金をもらえます。なお、休職中であれば保険料は引き続き会社と本人が負担します。
退職した場合の手続きとしては、ハローワークで失業手当の受給期間延長の手続きをお願いしています。そうすると傷病手当が終わってこれから働けますよというときは、失業手当に切り替えることができます。
パワハラが原因で退職したけれど、その後うつが比較的に速やかに良くなったという場合は失業手当をもらうことになります。この場合、特定理由離職者(うつで退職した)であることを証明できれば失業手当を早めにもらうことができます。また、うつなどが原因で就職困難者であることを証明できれば失業期間の支給期間が延びます。ハローワークや主治医によく確認してください。
転職する場合
それからよく聞かれるのは、転職する際に病気で休職・退職したことが会社にバレるのかということです。病気を理由に辞めたことを自分から進んで次の会社に報告する必要はありませんが、聞かれたら答えるべきだと思います。採用は相対評価で決まるので不利な要素にはなるかもしれませんが、後々トラブルになり兼ねませんのできちんと答えなければいけないと思います。ですが、転職やうつで辞めることも珍しいことではないのでそこは安心してもらえればと思います。
参考
休職中に利用できる社会保障一覧
http://utsu-rework.org/info/ss.pdf
自立支援制度について
・申請の際には、医師の診断書が必要になります。料金は税込み7,700円で、書類作成に2週間いただきます。
自立支援制度を使えば医療費が安くなります。
簡単に言うと現在の通院費および薬代が3分の1になる制度です。詳細はこちらの資料をご覧ください。
【PDF】厚生労働省「自立支援医療(精神通院医療)について」
申請は市町村の担当窓口(障害福祉課、保健福祉課など)で行います。
詳しくはお住まいの地域の担当窓口および精神保健福祉センターにお問い合わせください。
(世帯所得によって、利用上限額が変わります。
市民税が23万5000円以上の方:年収550万~?は自立支援は適応されません。ただし高額治療継続者「重度かつ継続」に該当した場合、月額2万円までとなります。
http://utsu-rework.org/info/ss.pdf )
参考:【都民の皆様へ】自立支援の申請手続き(東京都立中部総合精神保健福祉センター 2021/1/12)
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/chusou/jiritsushieniryo/jiritsu_tomin.html
精神障害者福祉手帳について
・初診から6か月以上が経過しているときに(他院での初診含む)、手帳の申請が可能です
・手帳申請の際には、医師の診断書が必要になります。料金は税込み7,700円で、書類作成に2週間いただきます。
・もし可能なら、以下の項目をメモで準備していただけると助かります。(ご準備されなくても、カルテなどを参考に作成します)
○発病から、現在までの経過
○おおむね、最近2年間にわたる日常生活について
食事はしっかりとれているか? 自分で準備できているか、など
入浴や洗濯、掃除はできているか? 規則正しく生活ができているか?
お金の管理は適切か? 使いすぎてないか?
通院と服薬はできているか? 援助が必要か?
他人とのコミニケーションはとれているか?
身辺の安全管理、危機対応はできているか?
バスや電車などの公共機関は使えるか?
趣味や娯楽などの活動はできているか?
参考:精神科生涯手帳の書き方について(2020/2/21)
https://www.pref.kanagawa.jp/docs/nx3/cnt/f531114/p831938.html
参考:【都民の皆様へ】精神障害者保健福祉手帳の申請手続き(東京都立中部総合精神保健福祉センター 2021/1/12)
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/chusou/fukushitecho/techo_tomin.html
障害者年金について
・初診から1年6か月以上が経過しているときに(他院での初診含む、初診日の確認ができる書類が必要)、年金の申請が可能です。
・申請の際には、医師の診断書が必要になります。料金は税込み15,400円で、書類作成に2週間いただきます。
障害年金をもらうための要件 保険料納付要件
初診日における保険料の納付状況が以下の①または②を満たしていなければなりません。
国民年金、厚生年期保険、共済年金の保険料納付状況を確認する必要があります。保険料を支払っていたかどうかは年金事務所あるいは市役所で確認できます。
免除期間も保険料を支払っていた期間としてカウントされます。
初診日を過ぎてから保険料を支払ったり、初診日を過ぎてから免除手続をしている場合はカウントされません。
① 保険料納付要件の原則は加入期間の3分の2以上納めていること
② ①を満たさない場合は、直近1年間に滞納期間がないこと
(20歳前に初診日がある人については、保険料納付要件は問われません)
提出書類について
役所に提出する書類については以下のリンクをご参考ください。
当院では診断書、受診証明書を作成いたします。
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/tetsuduki/shougai/seikyu/20140519-01.html
診断書を書いてもらう前に
いくつかの資料を事前に準備してもらう必要があります。
・これまでの学歴
・これまでの職歴
・これまでの通院歴
・現在の仕事
① 勤務先(福祉事業所)について
② 雇用形態 一般雇用、障碍者雇用、自営のいずれか
③ 就労支援区分(利用者のみ)
④ いつから勤務(訓練)していますか。
⑤ 1日の勤務(訓練)時間
⑥ 1カ月の勤務(訓練)日数
⑦ 1カ月の給料
⑧ 通勤方法
⑨ 通勤所要時間
⑩ 通勤(通所)時の付添人の有無
参考
うつ病で障害年金をもらう時の注意点
https://www.syougainenkin-shien.com/depression#5.%E6%B3%A8%E6%84%8F%E7%82%B9
診断書および記載上の注意点
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/todokesho/shougai/shindansho/20140421-23.html
等級判定のガイドライン
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/shougainenkin/ninteikijun/20160715.files/A.pdf
記載要領
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/shougainenkin/ninteikijun/20160715.files/B.pdf
日常生活及び就労に関する状況について(照会)
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/shougainenkin/ninteikijun/20160715.files/C.pdf