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うつ病の治療

(2020/9/16更新)

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うつ病の治療

うつは雨雲に似ていて、過ぎ去るをの待ちます。
雨雲が過ぎ去るまでの間、畑仕事をするよりも諦めて安全な場所にいた方がよく、薬の治療は雨雲が過ぎ去る時間を早めたり、雨量を減らすようなものだと考えてください。

抗うつ薬1種類目を試す

薬の選択については、RCTのメタ解析を考慮すること(MANGA study など)
1か月以上かけて効果判定

抗うつ薬2種類目を試す

1か月以上かけて効果判定

抗うつ薬+増強療法を検討する

  • SNRI + NaSSA
  • 抗うつ薬 + リチウム
  • 抗うつ薬 + MARTA

【その他】

  • 希死念慮が切迫しているときはmECTを検討
  • TMSの効果は? ただ料金が高い
  • CBTなどの精神療法も効果あり
  • BZD系は症状緩和に役立つが、対処療法的
  • 3割の人は難治性の鬱病で、薬が効かない
  • しかし、休養と時間経過で症状は改善する(薬は時間を早めるものと割り切る)

【抗うつ薬】

抗うつ薬は文字通り、うつ病の人に処方します。うつ病の人は、抑うつ症状の改善効果および再発防止効果があるので必ず飲んでください。躁うつ病の人に処方すると、躁状態になる恐れがあるため、原則処方はしません。また若い人に処方すると自殺のリスクが上がるため、慎重に投与します。他にも、高用量で強迫性障害や不安障害、パニック障害に効果があります。が、効果作用まで2週間ほど時間がかかり、また毎日飲まないと効果がないため、軽症例にはあまり使いません。抗うつ薬の副作用として、胃腸関連症状、イライラなどがあります。

抗うつ薬についても、三環系とSSRI/SNRIに分けることができます。SSRI/SNRIの方が新しく、副作用も少ないです。

  • 三環系抗うつ薬:アナフラニールなど
  • SSRI:パキシル、ジェイゾロフト、レクサプロなど
  • SNRI:サインバルタ(鎮痛作用もある)など
  • NaSSA(ナッサ):リフレックスなど。抗うつ効果は高いが、鎮静作用が強く、眠気が出る。
  • S-RIM(エスリム):トリンテリックスなど。新薬であり、2週間処方

【気分安定薬・抗てんかん薬】

気分安定薬は躁うつ病の人に処方します。

うつ
炭酸リチウム 血中濃度を測る
バルプロ酸 × 血中濃度を測る
ラモトリギン × 副作用として皮膚炎に注意
カルバマゼピン × 古いタイプで、副作用も多いので使わない

【抗精神病薬】

抗精神病薬は主にドパミンを遮断する薬で、統合失調症の患者さんに処方されます。副作用として、飲むとけだるく、鎮静作用があるため、興奮している人や暴れている人、眠れない人にも処方することがあります。抑うつ状態の人に抗精神病薬を少量加えると、鬱が良くなることもあるので、そのような処方の仕方もあります。。

  1. SDA:例:リスペリドンなど
  2. MARTA:マルタと呼ぶ。例:オランザピン、クエチアピンなど(クエチアピンはドパミン遮断作用は弱いが、抗うつ効果が強く、様々な使い方をします)
  3. DPA:ドパミン受動態部分作動薬、アリピプラゾール(エビリファイ)など。少量だと抗うつ効果、中等量以上で抗精神病効果がある、不思議な薬。アカシジア(足がむずむずすること)になりやすい。

その他:社会保障制度について

躁うつ病の場合、治療が長引くことが多いです。

  • 自立支援:医療費が1割になる制度
  • 精神障碍者手帳
  • 精神障碍者年金

などの制度もあり、適宜、ご活用ください。

 

周りの人の対応について

自殺対策について、厚生労働省から「ゲートキーパー」という形で啓蒙活動がされています。
今回、厚生労働省の「ゲートキーパー」のページを転載・引用させてもらいながら、自殺対策について説明しようと思います。こちらのページは転載可能です。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000128774.html

2020/1/7

 

 

○まず、自殺しそうな人の特徴はどういうものでしょうか?

自殺の危険因子と防御因子
自殺の危険因子と防御因子を確認することは、自殺の危険を判断するのに役立ちます。

●危険因子(自殺につながりやすい因子)
過去の自殺企図・自傷歴
喪失体験
身近な者との死別体験など
苦痛な体験
いじめ、家庭問題など
職業問題・経済問題・生活問題
失業、リストラ、多重債務、生活苦、生活への困難感、不安定な日常生活、生活上のストレスなど
精神疾患・身体疾患の罹患およびそれらに対する悩み
うつ病など精神疾患や、身体疾患での病苦など
ソーシャルサポートの欠如
支援者がいない、社会制度が活用できないなど
自殺企図手段への容易なアクセス
危険な手段を手にしている、危険な行動に及びやすい環境があるなど
自殺につながりやすい心理状態
自殺念慮、絶望感、衝動性、孤立感、悲嘆、諦め、不信感など(参照.自殺を考えている人の心理)
望ましくない対処行動
飲酒で紛らわす、薬物を乱用するなど
危険行動
道路に飛び出す、飛び降りようとする、自暴自棄な行動をとるなど
その他
自殺の家族歴、本人・家族・周囲から確認される危険性など

●防御因子(自殺を防ぐ因子)
心身の健康
心身ともに健康であること
安定した社会生活
良好な家族・対人関係、充実した生活、経済状況、地域のつながりなど
支援の存在
本人を支援してくれる人がいたり、支援組織があること
利用可能な社会制度
社会制度や法律的対応など本人が利用できる制度があること
医療や福祉などのサービス
医療や福祉サービスを活用していること
適切な対処行動
信頼できる人に相談するなど
周囲の理解
本人を理解する人がいる、偏見をもって扱われないなど
支援者の存在
本人を支援してくれる人がいたり、支援組織があること
その他
本人・家族・周囲が頼りにしているもの、本人の支えになるようなものがあるなど

引用転載:https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12200000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu/s4.pdf

○その時の心理状況はどのようなものでしょうか?

自殺の危険を抱えている人を支援するときには、傾聴することが大切です。そして、悩む人のことを理解しようとするときに、自殺を考えている人の心理を知ることが重要です。

自殺を考えている人の心理
①絶望感:「もうどうすることもできない」と絶望する気持ち。
②孤立感:「誰も助けてくれない」、「自分はひとりきりだ」と孤独を感じる気持ち。
③悲嘆:「悲しい」と思う気持ち。
④焦燥感:「いますぐに何とかしないといけない」と焦る気持ち。
⑤衝動性:切迫して、すぐさま自殺行動や危険行動をしかねない状態。
⑥強い苦痛感:「苦しい」、「辛い」と思う気持ち。
⑦無価値感:「生きる価値がない」、「生きる意味がない」、「自分なんかいない方いい」
と自分に価値がないと感じる気持ち。
⑧怒り:他者や社会に対して強いいきどおりを感じる気持ち。
⑨投影:自分の感じている気持ちを、まるで相手が感じているかのように考える。相
手は本人が悪いとは思っていないのにもかかわらず、「どうせ私が悪いって思って
いるんでしょ」と考える等。
⑩柔軟性がない考え方:幅広い視点で考えられず、「自殺以外に解決法はない」、「問
題は解決できない」などと考えること。
⑪否認:現実のことを認めることができない状態。
⑫将来の希望がないという見通しのなさ:「どんなことをしても何もかわらない」、「こ
の辛さはいつまでも続く」と考えること。
⑬諦め:「もうどうなってもかまわない」、「もうどうすることもできない」とあきら
めてしまうこと。
⑭解離:普段の意識状態ではなくなり、今ある現実と考えや気持ちに断絶が起きてい
る状態。「何をしたのか覚えていない」、「周りの状態に対して現実感がない」等。
⑮両価性:「生きたい」という気持ちと、「死ぬしかない」という気持ちをゆれうごく
状態。
⑯自殺念慮:「死にたい」、「この世からいなくなりたい」など自殺するしか解決する
方法はないという考え。
時に自殺の危険性がある人が、「助けてくれなくていい」、「誰も信じられない」、「お前に何がわかる」、「……(無言)」、「死なせてくれ」と話し、援助を拒否することがあります。しかし、支援者は、自殺を考えている人の背景にこのような心理状態がある可能性を踏まえて対応することが大切です。

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12200000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu/s3.pdf

 

○ではどのように対応したらよいのでしょう?

こちらについても、すでに答えが載っています。

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12200000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu/s8-1-2.pdf

こんな感じです。

いずれにせよ、やはり精神科受診を勧めるのが良いと思います。
受診のハードルが高ければ、TwitterやYouTubeも勧めてみてください。

 

【参考】(2019/9/30)
うつ病ガイドライン
厚生省 みんなのメンタルヘルス
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/speciality/detail_depressive.html

 

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