よく皆さん「サイコパス」と言いますが、これは精神医学用語的にはないものです。よく使われている意味でのサイコパスは医学的に言うと「行為障害」や「素行障害」となります。説明を聞くと発達障害との関係性も見えてくるのではないかと思います。
ICD-10という診断基準によると、行為障害には「F91」というコードが付いています。
下位項目としてこのような項目があります。
F91.0 家庭限局性(家の中だけで悪さをする)
F91.1 個人行動型(個人で悪さをする)
F91.2 集団行動型(集団で悪さをする)
F91.3 反抗挑戦性障害(悪さをするが法は犯さない)
他にもサイコパスと言われるのが、F60.2の「非社会性人格障害」です。
もう一つの診断基準DSM-5には「素行障害」があり、よくあるサイコパスのイメージにあたります。
素行障害の特徴は4つあります。
・後悔や罪悪感の欠如
・冷淡、共感の欠如
・自分のふるまいを気にしない
・感情の浅さ、欠如
特徴を挙げましたが、これは病気なのかというのは議論の多い領域です。
議論が多いのになぜ病名があるかというと、精神医学としてはまず病名を作っておくのです。実際、診断基準には乗らないけれど研究用として挙がっている病名がたくさんあります。そうしてディスカッションを重ねていきます。
素行障害に繋がりやすい要素はいくつかあります。
衝動性があると素行障害に発展しやすいと言われ、ADHDの30%〜40%はそうなるという説もあります。
虐待(暴力、性的、ネグレクト)、両親の監督不足、行きすぎた躾なども素行障害に繋がりやすく、この場合は両親にアルコールや薬物の問題があるとも言われています。IQの低さや学業不振、学習障害も関係します。
鑑別としては躁うつ病になります。躁状態の時に行動が行きすぎてしまい、モラルの欠如が見られることがあります。
薬物治療では抗精神病薬を使ったり、抗てんかん薬を使ったりします。ADHDが先行している場合はメチルフェニデート、アトモキセチン、グアンファシンを使い分けます。
人格障害
2020.11.13