本日は「めまい」について解説します。
めまいは耳鼻科や脳神経外科に専門家がいます。
精神科でもめまいを訴える患者さんがいるので鑑別をしますが、耳鼻科や脳神経外科の先生がやっている鑑別に比べると子どもの遊びに近いです。
精神科の中で診るめまいはどういう風に治療をしているのか、どういうことに気をつけないといけないのか、外来で患者さんに話しているレベルのことを今回お話しします。
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「めまい」について
めまいは大雑把に二つに分けます。
「非回転性」と「回転性」です。
地面が揺れてぐにゃぐにゃしているのを回転性と言ったりします。
それ以外の少しふらつくようなものを非回転性と言います。
「最近めまいがひどいんです」という患者さんには、「地面は揺れていますか?」と聞きます。
そして地面が揺れていれば回転性、そうでなければ非回転性でストレスによる自律神経系の乱れでフラフラしているのかな、という印象を持ちます。
摂食障害の人なら低栄養や低血糖、また貧血などの体調の不調感をめまいと言ったりすることがあるのですが、それも非回転性のめまいとして分類されると思います。
本当のめまいというのは地面が揺れているように感じるものを指します。
耳鼻科由来のものだと、良性発作性頭位めまい症、メニエール病、前庭神経炎などが多いです。
脳梗塞、脳出血、脳腫瘍があると同じような回転性めまいになったりします。
どうして耳鼻科?
めまいというと「どうして耳鼻科?」と思いますよね。
恐らく耳鼻科の疾患という感じはしないと思います。
耳のところにジャイロ機能のようなものがついています。
平衡なのか、今身体はどんなポジションなのか、どんな位置にいるのか、ということは視覚情報だけではなく耳にある三半規管という身体の位置や傾きを測定する器官からの情報で判断しています。
ですから、めまいは耳鼻科で治療するということになります。
例えば「良性発作性頭位めまい症」は、耳石(じせき)というものがあり、その耳石の傾きによって自分の位置が分かるのですが、無数にある耳石の1つが取れてしまいジャイロ機能が働かなくなるために起こるめまいのことです。
頭をじっと一つの位置に止めると大丈夫でも、ほんの少し動かすだけですごく気持ち悪くなったりします。
「メニエール病」は、耳の中のジャイロ機能を司るところに溜まっているリンパ液がめちゃくちゃ増えて膨張しているような感じで非常に酔う感覚があります。気持ち悪い感じです。
治療としては、良性発作性頭位めまい症は様子をみること、メニエール病も様子を見ますが調子が悪ければ利尿剤で水分を減らすということもします。
「前庭神経炎」は原因不明の炎症です。
ウィルス由来が多いのではないかと言われています。ジャイロ機能に炎症が起きると前庭神経炎ということになります。
脳の問題
めまいや耳だけの問題ではなくて、呂律が廻らない、顔の筋肉が動きにくい、痺れがある、触っても感覚がないということになると、「脳梗塞」や「脳出血」を考えることになります。
「脳腫瘍」が原因で圧迫があったりすることもあります。よくあるのは脳梗塞と脳出血です。
この場合はめまいだけではないですが、なりやすい年齢もあり、見逃さないように鑑別をします。
耳鼻科由来や非回転性のめまいの治療は様子見で良かったりしますが、年齢が高かったりすると脳梗塞などを疑って救急外来の受診を促すこともあります。
多くの方は非回転性のめまいです。
耳鼻科で精神科の受診をすすめられることが多かったりするんじゃないかと思います。
そもそも耳鼻科由来のめまいで症状の軽いものは薬物治療ではなかったりしますので、この場合も精神科をすすめられることが多い。
今回は患者さんが訴えることの多いめまいについて精神科医なりにざっくり解説しました。
その他
2022.2.3