本日は「解離性障害を持つ人の日常」というテーマでお話しします。
自助会のメンバーに動画の企画を考えてもらったんです。
自助会のメンバーの質問に今回は答えようかなと思います。
ちょっと読みますね。
『リクエストを出されているのを時々見ますが、もしよければ解離性障害を持つ人たちの日常生活みたいな動画が欲しいです。
解離してしまうことで、日常生活の制約をどうやって諦めることができるのか。
病状の受容というか、対処法というか、ドクターならではのアイデアがあるような気がして。
解離については真っ当な書籍やウェブサイトも少なく、情報に飢えています。
ずっと後でも良いので気に留めておいていただけると嬉しいです』
ということです。
自助会というのはオンライン自助会で、僕やってるんです。
メンバーシップ制でやっています。
YouTubeのメンバーシップに入ってきてくれた方を自助会にお招きしてやっています。
そこで「動画の企画を出してみませんか?」ということを提案したところ、こういうリクエストが来たので今回動画を撮るということです。
コンテンツ
解離性障害
解離性障害とはどういう病気かということなんですが、まずストレスがかかるんです。
ストレスがかかったり、悩みごとがあったときに悩むんです。
どうしたらいいんだろう、どうしたらいいんだろう、ということになって、もうどうしようもないと追い詰められます。
追いつめられた結果、自己暗示をかけるんです。
「いや、自分は追い詰められてないんだ」「自分は本当は苦しくないんだ」という自己暗示をどんどんかけていくんです。
これは意識的というか、無意識的にやってしまうことなんです。
その結果、悩んでいる自分と悩んでいない自分を分けてしまいます。
分けた結果、『満ち足りた無関心』と言うんですが、困っているんだけど何か足が痛いな、困っているんだけど誰々の顔を思い出せない、誰々のことを忘れてしまった、私って結婚してたんでしたっけ、と忘れてしまったり、手が動かない、足が動かない、目が見えない、となったりします。
こういうのをヒステリーと言ったりして、ストレスがかかるがゆえに自分に暗示をかけてしまう。
そして何かができないことが出てしまう。
解離性障害と言ったりするし、てんかん性障害と言ったりします。
本人がわざとやっている、演技でやっているというわけではなく、やはり追い詰められたが故にそういうことをやってしまったりするということです。
子どもに多かったり、知的障害、境界知能の人、あと発達障害の人にも多かったりします。
いわゆる原始的な部族、田舎の人に起きやすく、心理学などを勉強したことがない人に起きやすい、あとはシャーマンというか、シャーマニズムのカルチャーに育った人たちがなりやすかったりします。
日常でどうしたら良いか
解離性障害を持つ人々は日常でどうしたらいいのか、ということですが、まず日常の制約をどう諦めるのかと質問にありますが、諦めめちゃいけないですよね。
このどこか後ろ向きな感じが、もう無意識の欲望を表している感じがします、満ち足りた無関心というか。
そもそも諦めてはいけないのに、どう諦めたらいいんでしょうか、痛みとどう付き合えばいいんでしょうか、ということで問題解決に向かっていないんです。
病状の受け入れと対処とありますけど、これも同じです。
自分の困難、困っているはずなのに、その困っていることに対して、どこか無関心でいる感じがあります。
それはヒステリーのものだし、やはり人間の不思議なところです。
早く治したいんじゃないか、焦るんじゃないかと思いますが、あまり焦りがなかったりするというのが解離性障害の人らしいなと思います。
治療法
対処法や治療法については基本的には原因、ストレスを解決していく。
どうして自己暗示をかけなきゃいけなかったのか、かけるほど苦しい思いをしていたのか、ということです。
その問題を解決していく。
どうして自己暗示をかけなければいけないのか、ということだと、例えば親から虐待を受けている、受けていた、学校でいじめにあっている、それが耐え難い。
離婚の危機にある、失恋をしてしまった、別れたくないがゆえに自己暗示をかけた。
職場での不適応や挫折。自分に才能がなかった、能力がなかった、運がなかったことを受け入れなかったりするときに起きるということになります。
治療はもう一回分離した痛みを戻してあげることなんです。
だから「知る痛み」が伴います。
もう一回、自分の苦しみというか、ふがいなさ、情けなさ等々を受け入れなければいけないんです。
それが結構苦しい。
頑張って分けたものをもう一回入れるので、本人はめちゃくちゃ苦しいんです。
同じ条件に戻すだけだと上手くいかないので、今度はちゃんとカウンセリングやサポーターを入れる、環境調整をする、仲間を作る、そういう形で同じ状況に戻らないようにしてあげなければいけない。
だからサポートした上で問題を解決していくというアプローチが必要です。
なかなか本になりにくいというのは、プライベートな問題が多かったりするので、プライベートの問題解決というのを公表するのはやはりはばかられますからなかなか、ということです。
でも実際の臨床では虐待の問題があったら児童相談所が絡む、いじめの問題があったら学校介入をしていじめをなくす。
いじめは犯罪ですから、そういう対処をする。
離婚や失恋の問題であれば、淡々と離婚を進めていくということもあれば、離婚を一回止めてもらうこともあるだろうし、不適応や挫折の問題があれば、やはり時間をかけて他の道もあるんだよということを教育していく必要があったりもします。
治療というのはそういうことになります。
結構地味ですね。
ということで今回は、解離性障害について解説しました。
その他
2022.10.20