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意識(魂)と身体は切り離せるか?

00:00 OP
02:55 魂と身体は別のもの?
05:20 一元論
10:58 二元論

「DEATH 死とは何か」(シェリー・ケーガン著 文響社)
https://amzn.to/3UIQB0F

本日は「意識(魂)と身体は切り離せるか?」というテーマでお話ししようと思います。

毎週日曜日は、これからはできるだけ「死」に関することをテーマに動画を撮っていきたいと思うんです。
というのは、月曜日に自分で自分を苦しめてしまう、自死される方が多いということなので、日曜日はこういう暗い話を皆さんとやりつつですね、いろんなことをコメント欄で残してもらえたらいいんじゃないかなと思っているんです。
そうすると自殺したいという気持ちがちょっと留まるかもしれないので、そういう意味も込めて日曜日はこういうテーマで動画を撮ろうと思っています。

「死」に関する動画を撮るということなんですけれど、毎週ネタを探すのは大変なので、「DEATH 死とは何か」(シェリー・ケーガン 文響社)の本を読みながら、そこに出てくるテーマを扱いつつ、精神科医目線でどうなのかを解説しつつ動画を撮ろうと思います。

あまりこの本ばかりにしてしまうと引用の範囲を超えてしまうので、あくまで引用レベルという形で留めるためにもちょっと自分の意見を多めに語ってみようかなと思います。
もし予習したい人があればこの本を買って予習してもらえたらなと思います。
再生回数ばかり追いかけるわけじゃないですけど、再生回数がほどほど取れていれば続けようと思います。
結構時間がかかると思うんですよ。1年ぐらいかかるかもしれないのでやってみて、この本が終わったらまた何か別の本を探して読んでみようかなと思っています。

できるだけ読みやすくかつ名著であることが望ましいと思うので、もしこれいいよという本があったらコメント欄でもらえたらなと思います。
できれば高校生でも読めるものがありがたいです。
益田の人文系の知識レベルは高校生レベルなので、ちょっと手加減してもらえるといいなと思います。
あんまり難しい本だと説明できないと思いますし、そもそも読めないと思うのでお手柔らかにという感じです。

魂と身体は別のもの?

今回は頭の方で扱っていたテーマからいきます。
「意識(魂)と身体は切り離せるのか」というテーマですねということです。

魂と身体は別のものだと考える二元論と、身体と心は一緒だよという一元論に分けることができます。
基本的には、人類はどちらかというと二元論の立場を取っていました。
人間の身体、肉の器と魂というのは別にあるんじゃないかと考えられていたんですよね。

Twitterでアンケートを取ってみると、7対3くらいな感じでした。魂があって、死後も魂というものは何となく残るかもしれないと考えている人が3割くらいいるということでした。
結構驚いたんですよ。ほとんどの人は一元論だと思ってたんで。僕は一元論なんですよ。

医師も科学者ですから一元論なんですけれど、ああなるほどなと思いました。
魂とかそういうものがあると考えている人が、僕の視聴者さんにも3割いて、彼らも悩んだりとか考えたり、人助けしたいと思っているんだなということは思いました。
驚いたというかなるほどなと思いました。

基本的にはこの本もそうなんですけど、僕自身も一元論の立場でこれから論を進めていきたいと思います。
人間の魂というもの、人間の自我や意識というものは、脳が生み出している現象だよと言う立場を取っていこうと思います。

でも、本当にそうかどうかわからないですね。
もしかしたら脳や身体と魂は別次元にあるものであって、そんなに単純なものじゃないのかもしれない。
とは思いますけど、あくまで一元論がスタンダードなので、スタンダードな意見でいこうと思います。

一元論

神経科学者は基本的には意識、人間の持っている自我や魂は脳の現象だと考えています。
脳というのは複雑な演算処理を行っているんですよね。膨大な数の計算を行っているので、膨大な数の計算をすれば、自ずと人間のような意識は生まれるのではないかと考えているわけです。

なので演算処理がどんどん複雑になっていって、処理するデータ量が増えていくと、AIでも意識が宿るんじゃないかと考えている。
実際、人間の脳とコンピューターを繋げることで人間の自意識は拡張するかもしれないし、そちら側にデータを移せるという研究もしていたりします。
そういう風に考えている人もたくさんいます。

心と体がどうしてつながっていると考えるかというと、身体の影響をめちゃくちゃ受けるんですね。認知というのは。
例えば心臓をドキドキさせると人間は錯覚するんですよ。

吊り橋効果ってご存知ですか?
最近では再現性に問題があるんじゃないかと否定されていますけど、でもなんとなくわかるんですよね。
ドキドキしている時に異性といると恋に落ちてしまうというのは錯覚しているんです。

ドキドキしている、そこに異性がいる、このドキドキを恋をしているドキドキだと錯覚してしまうんですよ。
本当はただ怖くてドキドキしているのに、勝手にそう思い込んでしまう。

例えばお酒を飲むと気持ち良いじゃないですか。
気持ち良い時に一緒に喋っていると、この人いい人かなと思ったり、好きかもしれないと思ったり。
それは恋愛的な好きじゃなくて、人間として好きで、そうすると商談がうまくいくとかある。

逆もあるんだよね。厳しい練習ばかりしていると、好きな人も嫌いになっちゃうとか。
仲の良かった夫婦だったのに、厳しい仕事や一緒に自営の仕事してると嫌いになってしまうとか。
そういうのはありますね。

身体の影響を受けて認知は変わるんですよね。
疲れている時はすごくネガティブに物事を考えがちだし、お腹がすいている時は美味しく感じますよね。

こういう立場だと、肉体の消滅=魂も消滅するということなので、いわゆる「無敵の人」を肯定してしまうんです。
死んだら一緒なんだから別に悪さしてもいいじゃないか、生きている間に悪さしてもいいだろうとなりかねない。
だから二元論派の人からは恐ろしいというか、そういうふうに思われたりします。

魂と肉体がくっついていると考える、意識と脳がくっついているものだと考えた方が、説明はシンプルだしわかりやすいんですよ。科学的ですしね。

そもそも魂というものは測定不可能なので、測定不可能なものは存在するか存在しないのかわからないんです。まあおそらく存在しないんじゃないかと考えがちですね。

とにかく脳の現象であることがわかっているので、治療可能だと考えるんです。

脳に起きていることだから、脳を解明していく。
脳のバランスを整えるためにホルモンの問題だったらホルモンを注入する。セロトニンの問題だったらセロトニンを増やすような薬を追加する。
身体の影響も受けるということなので、身体の健康状態を良くすれば精神が良くなることがわかっているから、マインドフルネスをするとか散歩をするとか、ちゃんと栄養のあるものを食べるということが言えるんです。だから治療可能なんですよね。

そして治療可能だから「今死んじゃいけません」ということになります。
肉体の消滅=魂の消滅になりかねないので、これを防ぐために高い倫理観が必要なんですよね。

死んだら全て一緒だから何でもやってやれとか、自己中心的でいいんだとなると社会秩序が保たれない。
いかに高い倫理観を持つのか、僕らは自分の人生よりも他者の人生を尊重できるようになるのか、ということが重要になってきます。

直感的にはわかりにくいんですよ、高い倫理観というのは。
だけど複雑な脳と複雑な社会に適応した思想体系なので、神様とか霊魂の存在を信じないのであれば、これが必要になってくるということですね。
だから人権って必要なんですよ。

そういう文化レベルが低いというか、複雑なデータや複雑な思想を次の世代に伝達しにくい、学習させにくい時代、インターネットとパソコンがなくて、紙も十分にない時代であれば、やはり宗教やわかりやすい神父の教えはすごく重要だったのかなと科学者の視点では考えます。

二元論

でも僕はそうは言いつつ、魂の話や神様の話、宗教の話は嫌いじゃないです。
かなり好きです、どちらかというと。

好きだから自衛隊に行ったり、体を使ったりして何かを感じたり、考えたりするのが好きだし、研究よりも臨床が好きです。
自分の体を使って何かを考える作業が好きなので、結構実践派なんです。
気持ちがよくわかりますね。

神様という存在や預言というものがなかったら説明が付かないことってたくさんあるんです。
世の中には不思議なことがたくさんありますから。
輪廻転生というものがもしなければ、今自分たちが苦しんでいる不幸の説明がつかないんですね。

科学の立場だとそれは「運」ですという話なんですよね。
運だから仕方ないとか、それはたまたま偶然そうなんだという話にしかならなくて、そうすると納得がいかないですよね。

偶然なのに俺たちはこんな苦しい思いさせられているのか、みたいなことになるし、ただの運なのにあいつらは自分たちの努力で掴んだかのような感じで、謙虚さを失って、自分たちで成功を掴んだと思っているかとイライラしてしまいますよね。

でも神様が与えてくれた試練なんだ、人それぞれ違う試練を与えてるんだ、ということになると、何となくスッとしたり、カルマだとか前世からの引き継ぎなんだというと、何となく心が落ち着くところもあるなとは思いますね。

あと面白いなと思ったのは、そもそも身体と魂は別次元なんだということですよね。
量子力学とかいろいろやっていけばやっていくほど、パラレルワールドの存在がないという説明がつきにくい。
だから、それと同じように肉体と魂というのは別の次元にあるんだという考え方も、まあなるほどなとは思います。

ただ、そうかもしれないなと思いつつ、精神の平和という意味では役に立つこともあるなとは思いつつ、今の科学技術には合わないんですよね。精神医学の発展には。
だから精神科医はこちら側の意見を採用しないと思いますね。

でもまあこういうことであれば、そもそも自殺というのは許されないですよね。自殺を許す神様はいないので。原則。
そういう意味ではわかりやすくてシンプルだし、治療もそういう方針でいいのかなという気がします。

基本的には一元論を採用するということです。
これから毎週話しますし、これまでの精神医学の話もそうですけれど、基本的には心というものは人間の脳が生み出している現象だと考えるのが精神科であり、精神医学なので、まあそういうものだと思って皆さんとこれからも議論をしていきたいなと思います。

もちろん、それは宗教を否定するとかそういうわけじゃなくて、尊重しているし僕もすごい学びますし、好きなんですけども、そういう前提でこれからいろいろお話ししましょうということでございます。
それがこの本の主旨でもありますから。

今回は、意識と身体は切り離せるのかというテーマでお話ししました。


2023.5.7

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