本日は「遺伝子×環境ストレス」というテーマで、精神疾患というのは社会的な問題によって引き起こされることがわかっているんですけれども、それについて一緒にまた考えてみようと思います。
どうして益田が社会的な問題をYouTubeで扱うのか。時事ネタ、ニュースも扱うのかというと、精神科の問題というのは、そもそもの病気のなりやすさという遺伝的な問題だけで発症するのではなく、+社会的なストレスの掛け合わせで起きるんです。
なので今回は、どういうストレスがよく臨床で話題になるのか、どういうストレスが重なることで病気を発症してしまうのかをお話ししようと思います。
最後にまずどういうことを僕らは学んでいく必要があるのかも触れようかなと思います。
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遺伝子だけでは決まらない
精神疾患の話をすると、基本的には遺伝子×環境ストレスよって発症すると言われています。
生物心理社会モデルと言ったりするんですけれど、遺伝子だけで決まったりしないんですよね。
各疾患のなりやすさ、精神発達遅滞(知的障害)の問題や発達障害(神経発達症)、もともと体力があまりない、体の問題がある、そういう問題がまずベースにあります。
全ての人が同じような社会的ストレスを浴びて病気になるわけじゃないんだけれども、こういうベースがある人は同じような体験をしても病気になりやすかったりします。
もちろん、社会的なストレスを幼い頃から浴び続けるからうつ病になりやすいとかもあります。
比較的、うつ病、双極性障害、統合失調症、強迫性障害はもともと持っている遺伝子の割合が強かったりしますね、環境ストレスの大きさよりも。
逆に神経症と言われるものとか、依存症的なものは、もともとのなりやすさ以上に環境ストレスの問題が大きかったりします。
社会的なストレス
社会的なストレスとは何かというと、例えば貧困の問題。家庭不和、家族の仲が悪すぎる、夫婦の離婚問題、夫婦の仲が悪くなる原因としては、浮気や不倫、アルコールの問題、違法薬物の問題、賭博、賭博による借金の問題とかあったりします。
あとは子育てが苦手な人がいる。
育てにくい子供がいる、育てやすい子供がいる。育てるのが得意な親がいる、育てるの苦手な親がいる。
そして育てるのが苦手な親と育てにくい子供が合わさることで、虐待の問題が生まれる。
あとはいじめの問題ですね。
子供同士のトラブルからいじめに発展する。
大人が子供を守りきれないから性的なトラブルに発展する。
10代の男女が性的なトラブルに遭う。
それから、もともと持っている心身の特性や障害。
発達障害の問題、精神発達遅滞の問題がある、身体の障害があるが故に、仲間内でいじめられるとか生きづらかったりして、そのストレスが故にうつになってしまうとかあったりします。
家族の中に病気の人がいる。
母親がうつ病、双極性障害、発達障害とか。
家族の中に病気があって、それらの看護や介護が必要だった。
祖父の認知症の介護をしなきゃいけなかったとか、がんの治療を手伝わなければいけなかった、家族が他の家族の介護や看護をしている時に、自分の養育をしっかりしてもらえなかった。
兄弟に障害があって、自分がヤングケアラーみたいな形だったとか色々ありますね。
あとは宗教の問題、新興宗教の問題、宗教2世の問題。
宗教が絡むことで家庭内不和が起きる。
宗教が絡むことで教育がいびつな教育になる、自由を奪われる、抑圧され過ぎる。
自分でも望んでいないのにそういう2世の問題が起きる。
あとは犯罪に巻き込まれる、災害に巻き込まれる、戦争に巻き込まれるというのもある。
あと思春期の問題ですね。
思春期になると、脳がいろいろ変化が起きますから、思春期の衝動性が故に、反社会的な行動を取ってしまったり、過激な行動を取ってしまうこともあるだろうし、そこにSNSが加わることで問題がさらに大きくなってしまう。
SNSって結構誘惑が多いですから。
闇バイトの問題、性的なトラブル、誘いの問題、売春の問題いろいろありますよね。
あとは見栄を張ってしまう。SNSでいいねがつかないと困る。SNSからくる摂食障害やルッキズムの問題とか色々あります。
あとは職場ストレスですね。
パワハラ、セクハラ、男女格差、過労の問題いろいろあったりします。
あとはなかなかうまくいかない孤独の問題ですね。
孤独とか引きこもりの問題。
孤独になって一時的にはいいんだけれども、孤独が故にどんどん負のループに入ってしまってうまくいかないとかあったりします。
これらが重なることで病気になるし、これらが重なることで次の社会的な問題を引き起こしたりするということもあります。
でも社会的なストレスの問題は精神医学の問題という感じがしないですよね。
でもこれは精神医学の問題なんですよ。しかも社会的な問題でもある。
これらは逆に社会が良くなっていけば防げるんですよね。だから精神疾患を防げたりするんですよ。
精神科の予防のためには何が必要かというと、例えば虐待の問題があるなら虐待の問題を減らせるようにする。虐待家族を減らす。
そういう風に社会を変えていけば、今後うつになったりそういう人が減っていくわけですよね。
いじめの問題でうつになる人がいたとしたら、学校側が変わっていく。
いじめを防げるような体制を作っていく。
限りなくゼロに近づけていく。
性的なトラブルもそうだし、不倫とか酒の問題とか。
こういうものは少しずつ社会を変えていけば、結果的に病気を発症する人が減るわけですよ。
こういう問題があったとしても適切な対応する。
長くいじめの問題があったら、すぐ解決すれば傷は浅く済むわけで、これを何年も放置してしまうとか解決できないままズルズル行ってしまうと、やはり病気になってしまうわけなので、こういう問題は適切に社会的にアプローチしていくことで解決しなければいけないなと思いますね。
セルフケア、リーダーシップ教育
結局、セルフケアとかリーダーシップ教育という観点が抜けてるなと思います。
メンタルヘルスに関係なく落ち込んでないとか、精神科に関係ない人たちも、こういう問題に全く関係ない人たちはいないと思うんですね。
ただ、1個嫌なことがあっただけで、社会的なストレスが重ならなかったから、遺伝子の問題が重ならなかったから病気になってないだけで、ちょっと危うい人たちもたくさんいるはずなんですよ。
アクシデントに至るまではその前に100倍のインシデントがある。うつ病になる前には、うつ病になりそうな人が100倍くらいはいるわけです。
その100倍の人たちを減らすためには、セルフケアやストレスマネジメントの知識が必要だし、後はリーダーシップです。
人間関係によってストレスを感じたりするわけで、人間関係で問題が起きないようにするためにはどうしたらいいのかと言うと、リーダーシップ教育は結構重要だなと思います。
コミュニケーション教育だけじゃなくて、リーダーシップ教育もとても重要だと僕は最近思います。
共感しようとか思いやりを持とうとか、相手の立場で考えようみたいな話はもう十分語り尽くされてるし、まだまだ達成しないんだけれども、割と十分語られているんじゃないかなと思うんですよね。
リーダーシップやパターナル(父性的)な部分は欧米に比べると圧倒的に日本人は弱いなと僕は思っていますね。
海外の文献を読んだりいろいろ勉強したりする中で、日本人は共感できないとかそういうことはなくて、全然そういうところは進んでいると思うんだけども、パターナルな部分、リーダーシップの部分はすごく遅れていると思いますね。
だからリーダーシップ教育をしっかりする。どんなに小さい集団であっても、リーダーシップというものが必要で、リーダーシップ教育を受けていれば、自分がリーダーに立たなくてもリーダーを支えることができるので、こういう意味でもセルフケアとリーダーシップ教育はとても重要だなと思いますね。
そうすれば、社会的ストレスは減るんですよね。減れば結果的に病気も減るということです。
今回は、遺伝子×環境ストレスということで、どういう問題が精神疾患を引き起こしやすいのかをお話ししました。
現代社会
2023.9.2