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孤独ではない。PTSD(心的外傷後ストレス障害)についてふんわり解説します。

00:00 今日のテーマ
01:16 PTSDとは
03:10 PTSDの症状
04:43 PTSDは珍しいのか?
08:17 治療法
09:45 トラウマとどう向き合うべきか

福祉の方とPTSDの話をすることがありましたので、ここでもお話ししたいと思います。

PTSDの医学的なモデルは、生死に関わるような強烈なストレスのかかる出来事にさらされ、脳内ホルモンが急激に上がり、その結果脳がその時の体験を忘れられなくなり後々まで苦しむというものです。古くは第一次世界大戦の頃から症例報告があります。医学的なモデルと社会的な文脈の両方の側面が複雑に絡まった病気です。

症状は、侵入体験(フラッシュバック)、持続的な回避(性的な被害者であれば、関係する場所を避ける、夜道を避ける等)、抑うつ状態(自分を否定する、自責的になる)、警戒モード(不眠、驚き)、マヒ(情動麻痺)、解離(手が動かない等のヒステリー反応)といったものがあります。

PTSDは珍しいのでしょうか?
自然災害の場合、同じような被害にあってもPTSDになる人とならない人がいます。そのため、PTSDになったのは自分が悪いのではないかと自責的になり、医療や福祉に相談できず結果として気づかれないといったことがあります。性的な被害者も沈黙しがちです。身内からの被害の場合も多いのでなおさら告白できないといった実情もあります。また、先ほど挙げた症状の項目をすべて満たさない場合は、より概念の広い「適応障害」と診断されることもあるためPTSDは珍しいと思われるかもしれません。

治療法は薬物療法と精神療法の2つがあります。薬は抗うつ薬を使い、精神療法は暴露療法、ストレス管理法、EMDR等を使います。暴露療法というのはやれることから徐々にステップアップしていく方法で、ストレス管理法は自分の症状を日記などに書いておき、問題行動を治療者と話し合いながら進めていく方法です。EMDRは目を動かしながらその時の被害現場を思い出したり語ったりすることでトラウマを解消していこうという治療法で、これはEMDRの専門家でなければできません。

それから、トラウマとどう向き合うべきかというのも考えなければなりません。
被害者の方は孤独感でいっぱいで、自責的になっています。治療者は中立であるべきか、被害者はそもそも病人なのか、カウンセリングなどのケアは誰が責任を持つのか、被害者が時間とお金というエネルギーを割かなければいけないのかといった問題もあります。個別のケースで考えていくことが必要ですが、孤独で沈黙しがちというのがPTSDの治療の難しさですので、PTSDについてもっと話しやすくなるような雰囲気がまず大事だと思います。


2020.11.4

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