この動画は1月3日に撮っています。今日はいつもの場所をワックスがけしてもらっているので別の場所での撮影です。
今日は「AIは精神科医の仕事を奪うのか」ということについて語ってみようと思います。これに関しては元マッキンゼーの方からも聞かれてプレゼンしたものですので、皆さんとも共有できたらと思います。
コンテンツ
学生の頃
僕は防衛医大だったのですが、防衛医大は縦のつながりが比較的強く、学生の頃から病院にはよく出入りしていました。
当時は「紙カルテ」だったんですよね。ドイツ語、英語、フニャフニャした日本語、略語のオンパレードでこれを読むのが大変でした。定期的にサマリーとしてワープロで打ち出したものを載せてくれているからよかったのですが、本当にわからなかったです。一方で薬や点滴の指示(オーダーシステム)ではPCを使っていました。
また「ポケットブック」という、薬の処方についてのあんちょこがありました。それに加えて教授回診や先輩に話すときに使うための「暗記プリント」も作っていました。ただ、ポケットブックを取り出してのプレゼンは感じが良くないので、暗記プリントを見ながらプレゼンしていました。いろいろな情報で白衣のポケットはパンパンでした…。
スマホの登場
研修医の頃にはスマホの時代に入っていました。すぐに検索できるので、僕が指導していた学生は白衣のポケットがパンパンということはなく、スマホとあんちょこプリントくらいでした。カルテも電子カルテ化されていたので読みやくなっていました。無駄な時間がなくなって驚きました。
開業してから
電子カルテは今はクラウド化されているものもあります。
診察室にもネットが繋がっているので、ネットを見ながら患者さんと会話をすることができますし、患者さんに役立つ情報をすぐに伝えることができます。他にもオンライン診療、twitterの質問箱、アスクドクター、YouTubeもやっています。
技術革新によって10年でこれくらい変わっています。
ただ、技術的に可能だからといってすべてが変わっているとも言い切れません。
例えば、オンライン診療に関しては保険診療の点数が低いので追加で自費でもいただいているのですが、その結果利用する人はほとんどいません。医療は国の保障が入っていて安いので、追加で3500円となるとなかなか難しいです。クリニックの収入としては保険診療の方が手元に残る金額は多いのですが。
twitterの質問箱は無料でやっているのですが、意外と使われず、1日1つか2つくらい質問があり3〜4日でまとめて返答しています。tiwtterのフォロワーも1200人くらいなのでそれほど多くはないのかなと思います。
YouTubeは現在のところ登録者は7500人くらいで、1つの動画が1000〜2000回ほど再生されています。広告収入が入っていますが労力に対しては収入は少ないです。
というわけで、技術的に可能だからといってもそれが普及するかはまた別です。お金、政策、マインドなどいろいろなものが絡みます。マネタイズも今ひとつ割りに合わないものが多いです。
未来を語る
AIによってどれだけ医者の仕事が取られるかという話です。
・画像認識
CT、MRI、内視鏡などは人間の目が見るよりもAIが見る方が精度が上がるというのは確実です。
・AI、チャットポッド X GTP-3
精神科の話で言うと、AIによるチャットポッド、ロボットカウンセラーのようなものは技術的に可能だと思います。もう少しデータを集めないといけないと思いますが、やろうと思えば数年でできます。
GTP-3という文章生産をするAIがあるのですが、これを噛ませることによって同じ答えでも言い方を変えるとか人間らしい言葉にすることも技術的に可能なので、これもやろうと思えば数年でできると思います。
このように医者でなくてもできることはありますが、やはりそれがコストに見合うかということになります。「こういうことに悩んでいる」と検索してAIに問いかけた時に人間が返してくるようなやりとりをすることは可能ですが、それがお金になるのかというと疑問が残ります。
次の動画ではAI・チャッドポット・GTP-3についてもう少し詳しく語ってみようと思います。
雑談
2021.1.5