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防衛機制の解説①成熟した人間の反応:先取り、禁欲主義、昇華、愛他主義、ユーモア、抑制

00:00 今日のテーマ
00:53 防衛機制
02:37 成熟した防衛機制と未熟な防衛機制
11:37 区別の方法:人に聞く

今日は防衛機制の中でも「成熟した防衛機制」について解説したいと思います。
人生で起こる問題に対してどのように距離を取るのか、解決していくのかの答えが成熟した防衛機制です。人生において問題や悩みがなくなることはありません。悩み続けるのですが、うまいかわし方とそうでないものがあります。
 

防衛機制とは

防衛機制は精神分析の中で発展したもので、フロイトが提唱した概念を娘のアンナ・フロイトが体系化しました。

・ストレスがあった時の反応
防衛機制はストレスがあった時の「反応・行動・解決策」です。
「僕らは何か問題があるとこういう行動をしますよね」というのをまとめたものです。

・無意識なもの
意識的なものだけでなく無意識的な要素も含みます。

・原始〜成熟
より原始的なものから成熟したものに分かれます。原始的というと違和感があると思いますが、もともと防衛機制が出てくる背景として、調子が悪くなるとより本能に近いものが出てくると考えられていました。より病的だと原始的な反応、より理想的なのは成熟した反応、というように分けました。

・精神分析
精神分析で始まった概念ですが、今では広く一般化しています。精神分析をしている人だけではなく、普通の精神科医、心理士はもちろん、一般常識にもなっているのではないかと思います。

成熟した防衛機制と未熟な防衛機制

成熟した防衛機制を学ぶことで、僕らはどこに向かっていけば良いのか、どういう人間になれば良いのかということがわかります。

成熟した防衛機制で代表的な6つを挙げます。

■悲観的な世界観

世界はそんなに良いものではないよね、やれやれという感じです(村上春樹的)。
僕も世界はそんなに良いものではないと思っています。ですから先取りや禁欲主義を目指しているところがあります。

先取り:前もって「こんなことが起きるだろうな」「人生はそんなに良いものではないから、どうせいつか失敗するだろうな。失敗したけどこれくらいで済んでよかったな」「人はいつか死ぬんだから、そんなにお金を持っていてもしょうがないよな」などと考えることです。

出世争いで負けたときに「人生いつかは負けるんだから、そのいつかが今日来たんだな」くらいに思っておくと納得がいくというか、受け入れやすかったりします。

○未熟な形→合理化(わかった気になる。「どうせ人間は死ぬんだから今死んでもいいでしょ」 )

禁欲主義:人間は欲望に支配されていろいろなトラブルを起こしやすいものです。お金、異性、食欲、アルコール、ギャンブルなどいろいろな欲望に負けてしまいます。なので欲望から遠ざかるような生き方をした方が平穏に生きていけるよね、ということです。これは僕も共感します。

2020年の6月5日から断酒をしていますが、飲みたいなと思うし、お酒がない人生はもしかしてつまらないのではないかと思うこともあります。ですが、お酒飲んで疲れるのは嫌だな、お酒飲んでお金を使うのは嫌だな、ヘマをしたくないなと思うので禁欲主義はありかなと思います。

○未熟な形→知性化(頭ではわかっている、やれているように見せて、欲望に負けてしまう)

■楽観的な世界観

問題があるのならむしろそれを乗り越えてうまくやっていこう!というタイプです。皆さんの僕のイメージはこちらではないかなと思いますが、僕はこちらではありません。

昇華:嫌なことをバネに他のもっと価値のあることを頑張るということです。受験で失敗したからスポーツに打ち込もう、恋愛で傷ついたからその分仕事に打ち込もうといったことです。

○未熟な形→置き換え(問題をバネにせず、すぐに別のところに移る)

愛他主義:自己犠牲をいとわずに誰かのためにやることです。世の中をよくしていこうと、自分の利益を考えずに動きます。人に親切にするのは自分の利益や損得勘定を抜きにして気持ちの良いことですし、すごく心が満たされます。自分ができる限り親切をしていくのは大事だと思います。

○未熟な形→マゾヒズム(自己犠牲への快感)

■中立的な世界観

ユーモア:笑い話にするということです。メタな視点やコミュニケーションスキルなど高い水準のものが求められますので、成熟した人間にしかユーモアは言えません。おちゃらけているだけ、ピエロを演じているだけ、というのはユーモアとは言いません。

○未熟な形→外在化(自分の問題ではない。「俺知らね、テヘヘ」)

抑制:高い水準で我慢するということです。

○未熟な形→抑圧(我慢できていないのに我慢している)→否認(我慢していることに気付かなくなる)

区別の方法:人に聞く

これらは似ているので辞書的に分けるのはあまり意味がなく、区別は臨床的にわかるものです。ですから自分で分かるものではなく、人に聞くしかありません。
僕の動画を見ている方は40〜50代の人が一番多いので共感してくれる人が多いかもしれませんが、10〜20代の人に偉そうなことを言われてもなと思うのではないかなと思います。

臨床の場では、これは知性化だなとかマゾヒスティックすぎるなとか聞いていればわかります。それだけと言えばそれだけですが。

僕らは患者さんが良くなったと思いたいですし、患者さんは自分が良くなったと思い、ストレスや不安の代償として絞り出した解決策です。ですがそれがマゾヒスティックなものだったり、抑圧、否認、外在化など全然理想的で成熟したものになっていなかったりします。

ですが成熟したものでありたいという思いはあるし、僕らもそこにすごく引っ張られてしまいます。医師も10年もやっていれば僕は一人前なんだと言いたくなりますが、でもできないわけで、だから教えを乞いながらYouTubeをやっているわけです。

もう少し雑談をすると、症例発表や症例検討会などで、上の先生に「こんな感じで患者さんが良くなってきて、昇華やユーモアも使えるようになってきたんです」とプレゼンをしたりするのですが、若い時は上の先生から「それは違うよ、あなたは患者さんに対して良くなったと思いたいんでしょ」と絶対突っ込まれました。医者あるあるです。そこで「そんなことない、俺の方がうまく臨床ができるんだ」と天狗になっている若いやつは思います(3年目、6年目など3の倍数ごとに医者は天狗になって鼻をへし折られ、でもまた鼻が伸びてしまいます…)。

分析系の先生は結構皮肉が効いていて「そんなに楽観視しない方が良いよ」と言うし、先日YouTubeライブにも出てくださった藤原先生は優しいので「ああ、良くなったんだ、よかったね」と言ってくれます。そして1、2ヶ月くらいするとまた悪くなります。悪くはなるのですが、波がありながら少しずつ良くなっていきます。臨床の話は面白いのでまたしたいと思います。


2021.3.28

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