東西線「早稲田駅」徒歩1分。夜間・土曜も診療。心療内科・精神科。自立支援対応

WEB予約こちら

ご予約・お問い合わせはお気軽にどうぞ

03-6233-9538

予約制(当日予約可)/ 木・日・祝休診

0362339538
初診WEB予約

  

ご予約・お問い合わせ

03-6233-9538

先生が「薬を飲みなさい」「仕事を休みなさい」と言ってくれないのは甘えていると思われているからですか?

00:00 今日のテーマ
01:20 なぜ話し合いの中で決まるのが原則なのか
06:35 医師が診察室ですべきこと
08:03 情報が多いと判断できない

今日は、医師はなぜ「薬を飲みなさい」「休職しなさい」と断言しないのかについて解説します。

患者さんに「先生は決めてくれないんですか?」と後から言われることが多いです。
そのような時に患者さんは、「私の話は甘えとか嘘だと思っている?」「落ち込んで会社を休みたい、休むしかないのに、先生は休めと言ってくれないのはなぜ?」「深刻さをわかってくれていない?」「ヤブ医者なのかな?」「イケてない?」などと思ったりするようです。

ちょっと待ってください。

精神科の医師はよほどのことがない限り「こうしなさい」とは言いません。原則、話し合いの中で決まるのです。これを知っていただきたいと思います。

なぜ話し合いの中で決まるのが原則なのか

精神科の世界は「人権」の問題が大きく絡みます。精神の病気は自分の判断能力が落ちるため、医師からの強制が多かったという歴史的な背景があります。人権を蔑ろにしてきたのです。今はそれをできるだけなくそうと動いています。

ただし、これらに関しては本人の意向を無視してでも行われます:
・医療保護入院(家族の同意のみで入院治療ができる)
・措置入院(強制的な入院治療ができる)
  警察通報+α
  指定医2名以上の診察
  都道府県知事の権限と責任の下
・隔離、拘束(入院中に部屋から出られないようにする、体を拘束する)
・責任能力(刑事事件の責任能力の有無、訴訟能力の有無)

これらの制限をするためにはそれなりの理由が必要です。それだけ病状が重い、誰が見ても益田の判断はおかしくないといった状態です。そうでなければ「話し合い」の中で決めなければならないのです。

ですので、外来治療においてこの人権問題を無視してでも「こうしなさい」ということはほぼありません。入院治療を勧めるときや入院治療に準ずる場合であれば休職をかなり強く勧めることはありますが、それでも しません。

精神科の医師は「決めない文化」「断言しない文化」なのです。それが骨の髄まで染み付いているので、私生活でも「まあそうかもね」となり、言い方はソフトだけどイケてない感じがします。

研修医の時に内科や外科で揉まれた後に精神科に行った時に「なんでこんなにホワッとした言い方しかせんのやろ、イケてないな」と思ったりしましたが、自分もこの世界に長くいてそんな感じになってきた気はします。もちろん、僕は経営的なこともやっているので比較的断言する方ではありますが、それでもしない方です。「こうしたら良いな」と思っていても強くは勧めません。なので、ヤブじゃないですよ、という話です。

昨日、精神科医の松崎先生の動画(セカンドチャンネル)を見ていたところ、「精神科はマイナー科なのか?」という話をしていました。僕は精神科医はマイナーだと思っていますし、イケてないと思っています。できるだけ患者さんは僕らがイケてない人たちだとわかった上で診察に来ていただけると大変スムーズです。

「先生そんなに卑下しないでください」と患者さんが言ってくれることもあるのですが、イケてないのは断言しないからなのです。イケてる医者よりは、イケてない医者の方が精神科医らしくて人権問題をきちんと考えているということなのかなと思います。

医師が診察室ですべきこと

人権問題も意識しながら、
・正しい医療情報の提示
・可能な選択肢の提示(制度、多施設連携の提示)
・合理的判断の検討(病状、感情で歪んでいる可能性)
・データ(他の人はどうしているのか、統計)
を伝えながら患者さんとの話し合いで決まるように意識しています。

情報が多いと判断できない

でもこれは理想論で、全部はできません。
時間があればできるのかというとそうでもなく、そもそも情報量が多いと人間は判断ができなくなります。発達障害の問題があれば焦点がぼやけて混乱してしまうかもしれませんし、家族の問題やトラウマの問題などで入り組んでいるとわからなくなり「先生に決めてほしい」となります。

決めてほしいのだけれど、決めてはいけない。
だけど提案をして良い選択肢を取ってもらうということが必要です。

そもそもコミュニケーション能力と合理性がないと成立しないのです。成立しないということはどういうことかというと、入院適応の患者さんなのではないかと考えなくてはなりません。入院適応でもないけれど外来治療は難しい(本人の意思決定能力が低い)となると、法律の穴というか、宙ぶらりんで配慮が難しく悩みます。 

結局、どれだけの情報を伝えるのか、強く勧めるのかはバランスが本当に難しいです。やはり患者さんは自分で判断できないので決めてほしいというのもありますし、決めすぎると問題があるということもあります。


2021.4.9

© 2018 早稲田メンタルクリニック All Rights Reserved.