今日は「強迫性障害」について解説します。
強迫性障害を一言で言うと「やめられない、脳病」です。
強迫性障害には「強迫観念」と「強迫行為」の2つの要素があります。
・強迫観念…考えたくないのに考えてしまう
・強迫行為…やりたくないのに、やってはいけないとわかっているのにやってしまう(手洗い、鍵閉め確認、火元確認、不潔恐怖など)
コンテンツ
強迫性障害のメカニズム
前提として、疲れやストレスなど何かモヤモヤしたものがあります。
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そういう時に、「あれ?鍵を閉めかな?」と不安になります。
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鍵が閉まっていることを確認します。
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そうすると不安が減ります。
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時間が経つとまた「鍵が…」と気になり不安になります。
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また鍵を確認します。
このサイクルが止まらなくなるのが強迫性障害です。
強迫性障害の仲間
強迫性障害はかつては「不安障害(全般性不安障害、社交不安障害、パニック障害など)」の仲間だと考えられていましたが、研究が進んできた現在は「依存」の方に近いのではないかと考えられるようになっています。
強迫性障害の仲間(強迫関連症):
・醜形恐怖…見た目が気になる
・ためこみ症…捨てられない
・抜毛症…毛を抜く
・皮膚むしり症
強迫性障害に近いもの:
・行為依存(より近い)…ギャンブル依存、買い物依存、性依存、摂食障害
・物質依存…アルコール依存、薬物依存
「これをやると気持ちが良い」「これをやると不安が減る」といった報酬系異常の病気なのではないかと考えられています。
強迫性障害の治療
SSRI(抗うつ薬)をしっかり飲んだ方が良いと言われています。これによって不安になりやすい体質を改善します。
症状が重い場合はクエチアピンやオランザピンなどの抗精神病薬を増強療法として使うこともあります。
症状がひどい時にはベンゾジアゼピン系抗不安薬を頓服的に使います。
認知行動療法も大事です。特に「行動」の部分が大事です。
認知行動療法ではまず認知を直す必要があるので、疾患教育を行い、その後に行動療法をおこないます。
例えば「鍵閉め確認を1日何回したか」の場合、「今まで5回だとしたら、次回の外来までに4回にしましょう」など、チェックしながら少しずつ行動を制限していきます。
これは口で言うのは簡単ですが、やるのは結構難しいです。
患者さんと人間関係をしっかり作ってチェックをしていく必要があります。ただ、チェックをしすぎるとそれも強迫行為を高めてしまうため時間がかかります。
医師以外にも心理士さんがいる診療所でないと難しいかなと思います。(すいません!当院では強迫性障害の認知行動療法はやっていません)
依存症もそうですが、悩むよりもとにかく行動の方を変えていくことが重要です。
今回は強迫性障害について解説しました。
★noteでも書いています「強迫性障害」
https://note.com/wasedamental/n/nd3f44f0210f6
【参考資料】
強迫性障害の認知行動療法マニュアル
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12200000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu/0000113840.pdf
強迫性障害
2021.6.19