今日は、YouTubeライブで質問があった「解離とは何か?」についてお話しします。
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解離とは
解離とは「ストレスによって、意識と知覚・記憶が分断される」ということです。
知覚というのは「視覚、聴覚、嗅覚、触覚など」になります。
これらと記憶が途切れてしまうのです。
これは「原始的な防衛機制」で、ストレス反応の1つと言われています。
症状
イメージしにくいと思いますので、具体的な症状で説明します。
・解離性健忘
非常に強いストレスを受けることで、その時の記憶がなくなる。
離婚、浮気をされたなどあまりにもショックなことがあり、その時の喧嘩の記憶などがスコンと抜けてしまいます。もしくは、結婚生活のことだけがスコンと抜けてしまいます。
「仕事の記憶が抜けてしまう」といった患者さんは時々います。
その場合、薬物治療というよりは、内的なストレス、症状、戸惑いなどを傾聴していく中で記憶を取り戻すということをしていきます。
そのような不思議な病気です。
・解離性遁走
昔で言う「ピアノマン」です。
https://ja.wikipedia.org/wiki/ピアノマン
記憶がない、またはある状態で、どこかに行ってしまいます。
東京に住んでいたのに突然失踪して沖縄で見つかる、といったものです。
・転換性障害、身体症状症
なんだかよくわからないけれど手足が動かない、手足が痛い、お腹が痛い、といったものです。
これも意識と知覚が分断されている状態です。
・離人症
これはわかりにくいのですが、現実感がない感じです。
ぼうっとしていてこの世界に現実感がなく、意識がどこか「分断」されています(アクセスできない部分がある)。
・解離性同一性障害
多重人格と呼ばれるものです。90年代に漫画や小説などいろいろ出ました。
これは「別の人格に入れ替わる」というものです。
喋っていると急に別の人格が現れて喋り出したりします。ですが、実際は少し演技っぽい感じがあります。
・急性解離反応
急にストレスを浴びてわけがわからなくなり、2、3日すると元に戻るというものです。
上記の症状が急に起きたり、トランス状態になり「狐が憑いた」「悪魔が乗り移った」と言うこともあります。
統合失調症の急性精神病反応と診断されることもありますが、よく聞いてみると急性解離反応だった、ということもあります。区別はつきにくいです。
分離したものが症状となってあらわれる
人間の心は脳が生み出している幻想ですが、僕らは幻想だとは思っていません。
どちらかというと自分には魂があり個であるというイメージで、医学部の解剖実習のようなイメージで自己を捉えている人はいないと思います。
逆の方向に行くと、動物的な要素、感情的な世界、無意識もあります。
何か問題を抱えた時に、「自分」の脳でこらえることができず分離してしまいます。
分離して無意識の領域に嫌なものを押し込めてしまう。押し込めるけれどそこにとどまりきれず、外に出てきて、手足が動かないなど知覚や記憶の問題としてあらわれる、というのが解離のイメージです。
解離になりやすい人
どのような人がなりやすいかというと、柔軟な考え、しなやかな思考が苦手な人と言われています。
色々な見方をする、相手の立場でものを考える、同じ問題でも別のやり方を考える、といったことが苦手な人が多いです。
他に、「良いか・悪いか」の白黒思考、ストレスを抱える力が弱いといったこともあります。
株の世界では「リスク許容量」と言ったりしますが、「うまくいくかどうかわからないけど、とりあえず挑戦してみよう」というのが、苦手だという人は解離になりやすいと言われています。
治療としては、患者さんの目線に立って、世界はもっと広く多様なもので色々な見方ができることを伝えるといったことになります。
多様性の説明は難しい
とはいえ、多様性の説明は難しいです。
多様性を本当の意味で理解している人は少ないです。
一見理解しているようで、実は「多様性」と書いてあるTシャツを着ているだけのような人もたくさんいます。
多様性というのは、Tシャツを着たり、シャツを着たり、スーツを着たりということですが、「多様性」と書いてあるTシャツだけを着ているのが多様性だと思っている人もいます。
そうではなくて、色々な見方ができる、同じことをやっていても色々な視点で捉えられる、そういうことが重要ですが、それが苦手な人が多いです。
「こういうこともあるよ」と説明しようとすると、「益田はふざけている、ヘラヘラしている」と言う人もいます。そうではなくて多様性を伝えようとしていると言うのですが、視野が狭くなっている人には茶化しているだけように見えてしまうのだなと反省しています。
でも調子に乗ると言ってしまいます。良くないですね。
今回は解離について説明しました。
その他
2021.9.7