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【番外編】これからの精神疾患の問題と具体的な解決策

02:17 人間をどうやって理解していくのか
03:20 どういうことで悩むのか
19:23 中長期的な目標
21:16 YouTubeによるアナウンス
22:23 メンタル系YouTuberのこれから
31:11 役立つとは?

今日は普段と違う形でお話ししようと思います。
いつもよりざっくりと、今患者さんが困っていること、未来に困るであろうこと、そして僕らはどういうことを解決していったら良いのかということをお話ししようと思います。

このような視点で考えると視野が広がるなど、何かしらの学びがあると思いますので、ぜひ最後まで見ていただければと思います。

人間をどうやって理解していくのか

<生物心理社会モデル>

◯生物:生物学的、個人レベルでどう変わっていくか。

・AIとスマホとの生活になっていく
→生活の様々な場面でAIが指示してくれる。
→スマホありきの仕事、スマホありきの遊びに今以上になっていく。

・高齢化
→少子高齢化が加速

◯心理:数人単位での変化、身近な人との関わり合い

・しがらみが減る
→家族、会社のしがらみが減っていく。ネット上のしがらみさえ減っていく。SNSのミュートも自分でやらなくてもAIがやってくれる。
→しがらみが減った結果、孤立する人が増えていく。

・デジタル空間でのコミュニティ
→家族、会社のしがらみが減る一方で、デジタル空間でのコミュニティの存在感が増していく。オンライン上での匿名チャット、オンラインサロンなど。このYouTubeも1つのコミュニティ。

◯社会:社会的な変化

・グローバル化、分断、格差
→今後もグローバル化は進む。地方から東京に優秀な人が集まったように、優秀な人が日本から海外へ移ることは今後もある。野球はアメリカ、サッカーはヨーロッパ、〇〇の研究はアメリカ、など。働くことや研究はオンライン上でも可能なのでより簡単にグローバル化が進む。
→世界が均一化する一方で、 。好きなこと、得意なことに取り組み、苦手なことはやらなくて良くなっていくので、分断されていく。

・マスメディア
→皆が信じているような大きなストーリーはなくなり、小さなストーリーが増える。「皆が見ているニュース」「皆が見ているドラマ」「皆が見ている漫画」はなくなっていく。スターが生まれにくくなる。新聞やテレビのビジネスモデルが崩壊するのは2027年あたりと言われている。

・複数のアイデンティティ
→会社と副業、趣味のサークルなど、デジタル空間のコミュニティが増えると複数のアイデンティティを持ちやすくなる。
→相互交流するオンラインサロンなどが増えていく。
→社会人教育がより重視される。会社帰りにプログラミングスクールに通うなど。大人の塾。

どういうことで悩むのか

このような時代の変化により、患者さんはどのようなことに悩むのかを考えてみる。

・自我の変化
「我思うゆえに我あり」のデカルト的な世界観から無意識に焦点を当てるフロイト的な世界観に変わったが、その次は「勝手に決めてくれ」の世界観。
自分の好きなことだけ考えて、日々の余計なことはAI任せ。人間が決めなければいけないことはどんどん減っていく。

・パーツ的に考えることが増える
記憶をAIに補ってもらったり、考えることをAIに任せることが増えると、発達障害の診断が増えると予想される。
同じような問題があったときに、時代によって表現型としての疾患が変わっていく。(ヒステリー→境界性パーソナリティ障害→発達障害…)

・スマホ依存
スマホ依存になった結果、ジャンクな情報や誹謗中傷にやられてしまう人が増える。
ゲーム依存、引きこもり、摂食障害なども増えると考えられる。

・高齢者
高齢化が進み、それによる寂しさ、不安、うつが増えていく。AIが解決してくれる?
オンライン上の自助団体も必要とされるのでは。
ただ、コミュニティが苦手な人もいる。そのような人たちが「横から見ていられる動画」も必要なのでは。

中長期的な目標

・デジタル空間における患者さんたちの行動や活動の理解
精神科医も含めてこれはまだ言語化できていない。
スマホ依存、誹謗中傷での傷つきなど各論はあるが、日常とデジタル空間の融合によって何が起きているかまでは言語化されていない。

・問題の同定と解決
各論についての解決策はあるが、個々に解決しながらより高い水準で考える。
複数のアイデンティティを持つことにつまずいた患者さんが入りやすいコミュニティや動画コンテンツ作り。

YouTubeによるアナウンス

YouTubeは「小さな物語とコミュニティ」を提案している。
登録者数、再生回数を増やす広告収入だけではビジネスとして成立しにくい。
ファンともっと繋がるビジネスモデルを推奨している→スーパーチャットやメンバーシップを取り入れるなど。

メンタル系YouTuberのこれから

・STEP1 2019
2019年ごろは複数のチャンネルがぽつぽつあった。
このチャンネルは2019年12月に開設し、2020年8月に登録者数1000人に到達。

・STEP2 2021
2021年1月に登録者数1万人を超えた。責任感、恐怖心が急激に芽生えたため、相互監視できるよう筑波大の松崎先生にお声がけをしギルド(メンタル系医療YouTuberの会)を設立した。

・STEP3 2022
ギルドの中で目立つものが生まれた→それがこのチャンネル。(2021年11月に10万人突破)
AKBも絶対的エースが生まれてそのスターに引っ張られてグループが売れる、認知されるようになった。グループは最初まず1人が売れるのはよくあること。
2022年は僕が目立つのではないかと思っている。箱を作ると一人が目立つようになるのはそういうもの。

このチャンネルの再生数1ヶ月に450万回ほどで、日本の精神科医YouTuberの中では一番見られている。しかし、精神科への偏見はいまだに根強い。YouTuberは役立つ、精神医学は一般の人にも役立つと知ってもらいたい。それによって偏見も減り、早期発見、早期治療にも繋がる。

益田イズムのような個性は不要。精神科の常識的な範囲で幅広くコンテンツを作っていく。

・STEP4 2025
このまま行くと、次第に他のメンバーも活躍するようになる。SMAPもキムタクが最初に売れた後に他のメンバーも活躍するようになった。
精神医学において次第にもっとニッチな動画が求められるようになると、他のメンバーが活躍するようになる。

そうなっていくと、このチャンネルの視聴開封は次第に減っていき、そうなっていくと今度は僕自身の専門性や個性が必要になってくる。

・STEP5 2027
よりコミュニティ化していく。
新しいファンというよりは、今までいたファンの人たちが見てくれる形に変わっていく。

YouTubeは今後10年~20年はあるのではないかと思う。その先は新しいカルチャーに合った動画コンテンツやメッセージ、啓蒙活動が起きると思われる。
ただ、古くからのファンの人は残ってくれると思うので、その人たちとともに一緒に考え、年齢を重ねていけたら。

今やるべきことは、「YouTubeは役立つ」「一般の人にも役立つ」ということを知ってもらうことに全力を尽くすこと。

「役立つ」とは?

「役立つ」とは「問題の同定と解決」ということ。
→患者さんが何に悩んでいるのかを言語化し、解決していく。
→知識の吸収のために「楽しい」「面白い」「好き」という気持ちを刺激する。
→信頼できる情報、エビデンス、再現性のある情報。
→擬似科学と何が違うかを理解してもらう。(例:HSPは精神医学の言葉ではない)

以上です。

世の中の価値観がどんどん変わっていく中で、混乱、孤立しうつになってしまう人がいると思います。その時にYouTubeを使って解決策を提供していくために何ができるのか、それを皆さんと一緒に考えていけたらと思います。


2022.1.31

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