本日は雑談です。臨床的な根拠や科学的な根拠がある話ではなく、臨床で患者さんと恋愛の話をしている中で思ったことをつらつらと語ってみようと思います。
恋愛は複雑なコミュニケーション
恋愛とはどんなものかと考えると、「複雑なコミュニケーション」です。
日常とは違う、とても難しいコミュニケーションです。
仕事で話すときは、割とコミュニケーションとしては単純で簡単です。
それが友人関係や家族になると少し複雑化してきて、恋愛になると最たるものです。
普通の仕事などよりははるかに複雑なコミュニケーションです。
恋愛を複雑たらしめている要素は何かということを書いてみました。
恋愛は矛盾が多いです。
・言語/非言語
一見言語的なやりとりのように見えて、非言語的です。
会話をしているようで、会話よりは相手の体臭というかホルモンといったもので好きになったりする要素が強かったりします。
もちろん、言語的に理解をして恋愛する人もいます。
言語的に理解してというのは、相手の年収、地位、そういうものによって「この人いいな」と恋愛をすることもあるということです。
ただ、年収を見るといってもやはりそれだけでは決まらず、非言語的な部分、見た目、相性なども大きいなと聞いていて思います。
・万人共通/プライベート
恋愛は誰の人生にも起きるものに見えて、実際はプライベートなものです。
ですから、どのような恋愛が正しいのかというのは漏れ出てきません。
僕は立場的に色々な人の恋愛の話を聞いたりしますし、聞いていると皆がそんなに大きく違うことはありません。ありふれたところをありふれたように皆好きになるのですが、そうは言ってもあまり聞いたことがないというのが恋愛というものかなと思います。
・運命/競争・現実的
世間的には運命と言ったりしますが、現実的には競争原理がすごく働きますし、現実的なものです。
運命の人を見つけると言うよりは、競争の結果獲得するものでもあります。すごく現実的なファクターで決まるところはあります。
結婚して生活していけるのかとかそういうところです。
・理性・マナー/本能
理性や恋愛のマナー、デートのマナーなどと言いますが、結局は本能で決まるというのも矛盾かなと思います。
このようなことは人によって意見が違うというか、角度をずらせば「恋愛とはどういうものか」は変わってきます。
とても複雑なコミュニケーションなので、精神科の患者さんは結構混乱したり、うまくやりこなせない人が多かったりします。
発達障害の人は特にそうです。相手の表情を読むとはどういうことなのかなど、よくわからなくなることがあります。
場合によっては「この人しかダメ」となってしまい、恋愛の対象を広げられない、一人に固執してしまうこともあります。
それが発展していけば、もう何年も片思いしている、ストーカー的になってしまう人もゼロではありません。
考えてみれば、食べ物の好き嫌いもありますよね。
子どもの頃の食べ物の好き嫌いで、「これしか食べられない」ということがあります。
それがそのまま大人になってからの恋愛に共通するということはありませんが、どこかそういう要素を患者さんと話していると思い出したりします。
かといって、何でも良いから食べなさい、健康に良いから野菜を食べなさい、というようなものでもないので、難しいなと常々思います。
精神科でよく聞く話
とは言いつつ、誰とでも恋愛ができて付き合えるのが良いのかと言うと、そういうわけでももちろんありません。
・性的トラウマ
性的なトラウマを抱えている人、被害に遭っている人は結構多いです。
言わないけれど、そういう被害に遭っていることは結構あるので気をつけなければいけません。
・Q:発達障害
最近の話題だとLGBTQのQ(Questioning)の話で、性的な自認が弱い場合、発達障害が隠れている場合があります。
「女性らしさ」や「男性らしさ」を拒絶することが多かったり、馴染めない、学びにくいというのが発達障害の人たちの特徴だったりします。
「○○らしさは社会的に決めたものなのだから拒否しても良いじゃないか」と言えばそうですが、それは本音と建前のようなものです。建前としてはそうですが、まだまだ世の中では女性らしく振る舞う、男性らしく振る舞うことが必要なこともあります。
ASDが強いと、そんな事はどこにも書いていないしそれは益田の個人的な意見じゃないか、間違っている、と思われそうですが、そんなことはなく、こだわらずに学ぶことも重要な要素です。
ですがこのような話は本人を目の前にしては言いづらく、YouTubeの場だから言えることです。
親父の小言だと思って聞いてください。
・中年と若いパートナー
この組み合わせもよくある問題です。
中年男性が若い女性(あるいは逆も)と付き合って、最初は「頼り甲斐がある」と付き合っていくのですが、何年か経つと二人の間で溝ができてしまいます。体力の問題だったり、刺激が足りなくなって別れることになると、若い人にとっては数ある恋愛のうちの1つであって苦ではない、傷つくけれども立ち直れるのですが、中年の人の方は立ち直れないというのはよくあるテーマです。
これも精神科でよく見るテーマです。
・映画はお手本?
「恋愛のことがよくわかりません」というときに、映画はお手本になるのかということがあります。
発達障害の人など、映画を見ながら恋愛を学ぼう、皆で議論してみようというものがあります。
そういうことを聞くと違和感を感じたり、「映画はお手本にはならないよ」と言いたくなるかもしれませんが、多様性、他の人はどのようなことを考えているのかを知ることができます。
物語性についても、人生のストーリーは1つしか選べないとは言いませんが、患者さんはバリエーションが少ないから困っていることもあるので、バリエーションを増やす意味でも物語を見ることは有用です。
自分が好む物語だけでなく、いろいろな物語を吸収することが重要です。
恋愛の悩み
2022.6.19