本日は「断酒して2年」というテーマでお話しします。
週7で飲んでいた、すごくお酒を飲んでいた僕がお酒をやめて2年経った今どんな心境なのか、ということをお話ししようと思います。
皆さんのご参考になればと思い、自分の体感、率直な気持ちをお話しします。
■どれくらい飲んでいたか
まず最初に、僕がどれぐらい飲んでいたかということですよね。
ちょっと飲んでいる人間がお酒をやめるのは大したことがない気がすると思いますが、僕はけっこう飲んでいました。週7で飲んでいました。
中高の時からお酒が出てくる漫画がすごく好きでした。
そもそも僕が一番最初に集めた漫画が「味いちもんめ」だったぐらいなので、料理漫画とかお酒が出てくる漫画、食べ物の漫画が好きでした。
BARレモン・ハートなんかも好きで読んでたくらいお酒は好きでしたし、憧れがあったんですね。
自衛官になって、自衛隊はすごく飲むんですよ。
防衛医大に入学して、20歳になってから飲んでいましたし、自衛官時代も結構飲んでいました。
医療の世界は結構お酒を飲むんですね。医者のみならず看護師さんも結構飲みます。
だから飲み会の場は参加して飲んでいました。
実際、お酒の味も好きだし、お酒のカルチャーも好きだし、お酒の場で一緒にお酒を飲みながらみんなと会話をするのもすごく好きでした。
ただ、2年前くらいから体力が落ちてきたのです。
気だるいなという日が増えたましたし、コロナもきっかけでお酒をやめました。
コロナの最中だったけれど、ついお酒を飲みに行きたくなるじゃないですか。
違法ではないけれど、営業自粛のときにも夜開いているお店が結構ありました。
行きたいなと思ってしまうのですが、自分がここでコロナにかかったら皆に迷惑がかかるので、良いきっかけだからと思って思い切ってお酒をやめました。
やめる直前は結構飲んでいましたね。
コンビニで売ってる小さい焼酎を買って飲んでいましたし、オールフリーに焼酎を入れてホッピーみたいな感じでも飲んでいました。
もう味とかは関係ないんですよね。
飲みたいから飲む、酔っ払うために飲んでいるみたいな感じでした。
家では最初に350mlのビールをあけて、その後に冷凍庫にあるウィスキーでハイボールを、ウィスキーとソーダで1対1で割って飲んだりしていました。
日本酒、焼酎、ワイン何でも飲んでいましたけど、とにかくやめました。
■断酒スタート
2020年6月5日から断酒をスタートしました。
たくさん飲んでいたし、お酒も好きでしたけどやめました。頑張ってね。
過去にも何ヶ月かお酒をやめることを繰り返していました。
3ヶ月飲まない、2ヶ月飲まないということを何回かやっていて、でもその度に挫折とはちょっと違うかもしれないけれど、「まいっか」と思って飲んでいました。
このときもそんなにガッツリやめようという気はなくて、いい機会だし飲まないようにしようかなと思ってやめ始めました。
でも飲みたくなるじゃないですか。
夜、仕事終わったらすごく飲みたくなるし、2日ぐらい我慢していると飲みたくなります。
だからとにかくアルコールの動画を見ないということを心がけました。
これまでお酒が出てくる漫画と、動画、映画もすごく好きだったんですよね。
そういうものも一切見ないようにしました。
コンビニに寄るとお酒が買いたくなるのでコンビニにも入らない。できるだけ帰り道にコンビニに行かないということを決めました。
そうしてしばらくすると、甘いものを食べたくなるんですよ。なので、甘いものは我慢しない、というルールにしました。
ビール缶を2個、3個買いますよね、お酒を飲むときは。
飲む人はビール1本だけを買う人はそんなにいないと思います。
500mlのビールとストロングゼロと何かとか、何本か買うと思います。
それと同じように、僕はゼリーとケーキとアイスみたいな感じで2、3個買ってそれをバクバク食べていました。
そんなことをしていても、体重がちょっと減っていたのです。
お酒を飲むのをやめて体重が減ったのがちょっと面白かったので、体重も記録しながらなんとかやめていたという感じです。
これをもう少し医学的に言うと、アルコール動画やコンビニは「トリガー」です。
こういうものをきっかけに飲みたくなるのでトリガーを減らしましょう、引き金を減らしましょうということです。
あなたはどういうときにお酒を飲みたくなりますかというときに、僕の場合は動画を見たときに飲みたくなることが多かったのでそれはやめました。
あとはご褒美を入れたり、自分の中で成長の実感があるように体重を計ったという感じです。
■断酒100日目~
100日くらい経った時、YouTubeのネタに困ったことがあり、これを話そうと思って動画で宣言しました。
「断酒しています」という動画を撮ったのです。
この動画を撮った時にはもうお酒を飲むのをやめようと思っていました。
150日目にももう一回動画を撮りました。
気が緩んでしまったので、もう1回撮り直しますと言ってそういう話をしました。
200日目もアルコール依存症の話をするついでに「今、200日目ですよ」ということを紹介しました。
そこからお酒をやめたという話は動画にしていません。
ちょくちょくYouTubeライブや他の動画の中では、折に触れて「断酒してます」と話していたのですが、動画には撮っていなかったので時々聞かれました。
「益田先生、まだ続いているんですか?」と聞かれていたので、今回動画にしてみました。
■今の心境
2年経ってどう思っているかというと、今は別に飲みたいとも思わなくなりました。
「そういう日々もあったな」という感じです。
あのときは飲んでたなという感じです。
何か恋愛を思い出すかのような。
20代の恋愛、10代の時の片思いを思い出すような感じで、「そういう時もあったなあ」と懐かしく思います。
若い患者さんと喋っていて、恋愛をしているとかドキドキしているとか、失恋の悲しみみたいなことを語っているのを聞くと、どこかうらやましく思うこともあるのですが、でも何か面倒くさそうだなと思うのでそんな気持ちですね。
もう一回お酒を飲んで、楽しい日々も送りたいなと思うけれど、なんだか面倒くさそうだなという感じです。
■お酒の助けが必要だった
ただ、お酒がすべて悪だという気持ちはなく、あの時僕にはお酒という助けは必要だったなというのは、今になって思うようになりました。
僕も人付き合いが苦手ですし、よく言われます。
益田は変わってる、人付き合いが下手、人の気持ちが分からない、優しくない、とかいろいろ言われます。
動画を見ているといい人だと思うみたいですが、動画ではないときに会うと、「益田冷たいな」みたいに思うみたいです。
まあ、そうかもしれないです。
「共感してくれないし」みたいなことをよく言いますが、共感していないわけではないのです。
共感していないわけではないし、気持ちもわかっているのですが、どこか僕のアスペルガー的な要素がそういう風に見せるみたいです。
何でかなと思いますが、そうなのでしょう。
そういう僕だからこそ精神科医を選んだということなんですよね。
何で人付き合いがうまくいかないんだろうとずっと悩んでいるから、こういう仕事を選んでいるというか。
でも今になると、自分の周りにも僕みたいなタイプ、理屈っぽくて人の気持ちがわからないように見えるけれど、多感で繊細な奴はたくさんいます。
僕もこんな感じなんだなと思いながら、モテないだろうなと他の人のことは思います。
そういう僕だからこそ、助けが必要だったなと思います。
20歳を超えて友達を作るとき、自分と価値観が違う、合わないタイプの人と仲良くするためには、お酒という力が必要だったなと思います。
お酒という場で、礼儀、言葉遣い、防衛医大でしたからそういう中でいろいろなことを学ばせてもらったなと思います。
お酒があったからかわいがってくれた、そんな気もします。
酔いというか、そういう状態だから、僕みたいな奴でもかわいがってもらえた、面白がってもらえたのかなという気はします。
じゃあもう一回必要かというとそんなことはありません。
酔っぱらったときの感じとか、そのときに身につけたものは覚えています。
酔ったときの感じ、酔ったときに人がどういう反応をするのか、そのときに僕もどんな気持ちになったのか、というのは覚えている。
自分の壁を壊す、心のドアを開く練習はその時にできたし、それは今でもそうなのかなと思います。
僕がこうやってオープンに喋れることは、日々のYouTubeの練習もあるのですが、やっぱりお酒の場で覚えたこともたくさんあるなと思います。
■お酒はOK?NG?
じゃあ、お酒を推奨しているのか、医療的なアルコールはOKなのか?
幻覚剤、LSDは医療的に使うならばありか?という話になりますよね。
ドラッグを使うことで、意識をちょっと変容させたりリラックスさせて、そういうときの感覚を応用させて、日常生活にも臨めばいいのではないかという発想です。
なんとなく言っている理屈はわかりますし、でも依存の問題もあるというのもよくわかります。
LSDや幻覚剤を使うことでちょっと自意識を破壊してあげる。それで不思議な体験をさせることで、俯瞰的にモノを見るとか、自分の感情というものが1個の現象に過ぎないという、それに囚われてはいけないというのを覚えるみたいな治療があります。
基本はダメですよ。ダメなのですが、それも理屈ではよくわかります。
僕も酒を使っていたのでわかります。
ただ、そんな危険な治療をする必要はないのではという気がしますし、今はあまり興味がないですね、単純に。
そういう違法ドラッグやアルコールに興味がないという感じです。
だから今までこういう動画を撮らなかったというのがあります。
「大麻とかどうですか?」「違法薬物とかやってみたいと思いませんか?」などいろいろ言われますが、何か面倒くさそうだとしか思わないというのが本音です。
飲み会を見ていても、ドラッグパーティーという感じはいつも思います。
ただ、ドラッグパーティーがすごく悪いかというと、そういう要素も必要だったりするし、楽しいというのもわかります。
あとは、プラセボも込みだなといつも思いますね。
純粋なアルコールの気持ちよさだけではなく、楽しいものだという思い込みもあったりすると思います。
大麻や違法薬物も、違法なんだという状況で仲間内でコソコソやるから楽しいというか気持ち良いんですよね。
それがプラセボ効果だったりします。
それがない状況だと本当のジャンキーというか、それを楽しむと問題かなと思います。
多くの人はジャンキーではありません。アルコールは好きだけれど、ジャンキーほどにはなりません。
でも僕はジャンキーの一歩手前のところは我ながらあったのかなという気はしますね。
当時言ってました。「お酒を脳に直接注射で入れたい」とか。
ジャンキーの一歩手前みたいなところがあったなと思います。懐かしい感じですね。
今回は、断酒して2年というテーマで動画を撮りました。
雑談
2022.7.21