本日は「益田のオンライン自助会は何を目指すか」というテーマでお話しします。
僕はオンライン自助会をやっていて、今は160人くらいが参加しています。
2990円のメンバーシップに入ってくれた方は自助会への招待がありますが、ちょっと怪しいですよね。何やってるんだ?と思われるかもしれません。
どうして僕がこれをやっているのか、何の目的なのか、どういうことを課題として考えているのか、についてお話しします。
雑談的な回です。興味がある方は聞いてください。
コンテンツ
背景
なぜオンライン自助会なのか、ということです。
いくつかバックボーンがあります。
そもそも「自助会」とは何かというと、患者さんや当事者同士が集まってピア・サポート、みんなでサポートしあったり、ピア・カウンセリング、話を聞いてアドバイスしたりカウンセリングを持ったりすることを言います。
・オンライン化
この自助会はオンライン化が進んでいます。
例えば「断酒会」という、アルコール依存症の方が集まってみんなで意見を交わしたり、アドバイスをしあう会があります。
区民会館や市民会館に集まって、皆でミーティングをする会だったのですが、これが段々とオンライン化が進んでいます。
色々な自助会が自然発生しています。
発達障害の自助会、カサンドラの自助会、女性の発達障害の自助会、不安障害、摂食障害、うつ病、適応障害など色々な自助会があります。
Twitterなどで検索するとすぐ出てくると思います。
いろいろできており、それがどんどん増えています。
そういう背景が今あります。
当事者同士で話し合いたいということだけでなく、そもそもカウンセリングが高いという問題もあり、それなら自助会の方が良いのではないか、経験や知識が豊富な質の高いカウンセラーになかなか出会えなくて、それなら自分たちでやった方が早いということもあります。
ドクターも同じです。
精神科医の質の問題やなかなか診察時間も取れないので、ゆっくりと自由に、プレッシャーがないところで1時間でも3時間でもだらだらと喋る場所が欲しいということで自助会が流行り、なおかつ24時間繋がれるというインターネットの利便性や匿名性もあり、オンライン自助会がたくさんできています。
ただ、そこにはプロがいない。発生しては消えたりすることも多く、継続していてもプロがいないので途中で行き詰まったり色々なことが起きているということが問題としてあります。
・YouTuberのコミュニティ機能
それから、バックボーンとしてはYouTuberのコミュニティ機能が挙げられます。
インフルエンサーを中心に色々な人が集まりコミュニケーションをしています。
僕のYouTubeライブでも、いつも来てくれる人同士が互いに挨拶したりなどコミュニティとしての機能をもっています。
YouTubeの動画も同じです。
コメント欄でやりとりをしています。
インフルエンサーを中心に共同体が出来上がっている。
それは精神科医YouTuberだから、僕だから、ではなくて、あらゆるインフルエンサーのところで同じ現象が起きています。
インターネットは物理的な制限をなくし、色々な人が出会ってコミュニティをつくることを可能にしました。
それにより、ここまでお話ししたような、たくさんの自助会の自然発生やYouTubeのコミュニティ機能が共同体を形成する、ということが起きました。
そのような背景があって、僕もオンライン自助会をやってみようと思ったということがあります。
やってみようかな、というか、もうやらざるを得ない、と思ったんです。
それはもう後ろから迫ってきていて、他はやっているし、自分がやらなくても僕のYouTubeの周りでは自助会というかコミュニティが発生しているので、もう少し僕が介入し良いことが出来ないかなと思った、ということです。
もう少し背景について掘り下げてみます。
・ミームの拡大
一つはミームの拡大、もう一つは共同体や価値観の変化、ということがあります。
ミーム(meme)というのは情報自体が独自に進化しているという発想のことです。
ミメム(mimeme:ギリシャ語で模倣)とジーン(gene:遺伝子)を合わせた造語です。
情報は自然発生的に拡大していきます。
あたかも情報自体に意志があるかのように膨れ上がっていきます。
自然増殖していきます。
情報はもともと人間の脳内にしか蓄えられなかったものでしたが、紙やペン、そして文字を手に入れることにより脳内以外に情報の保存が可能になりました。
それがどんどん拡大し、今ではインターネット上に保存できるようになって、情報は爆発的に自己増殖するようになりました。
例えば、「切り抜きチャンネル」というものがあります。
切り抜きチャンネルは動画の自己増殖です。
とても不思議な現象です。
もう少し接近して見ると、切り抜きチャンネルの方が要約されているから見やすいということもあるかもしれませんが、俯瞰的に見るとあたかも情報が自己増殖しているような感覚があります。
これが不思議ということです。
とにかく情報がどんどん増えていく中で、人間の脳内に収められる情報と社会に流れている情報との乖離がどんどん進んでいます。
その結果、皆が同じ情報を持つことが困難になっています。
膨大な情報を一人一人の脳に収めなければいけないので、Aさんの持っているものとBさんの持っているものが重なる部分が減っていきます。
その結果、共同体のルールや価値観が変化しています。
昭和の人はわかると思いますが、昔はテレビを皆が観ていたし、同じテレビ番組をクラスの皆が観ていたし、マンガでも同じものを読んでいました。
だからクラスメイトとも喋ることがたくさんありました。
多少の差はあってもほとんど観ているものが同じだったから。
ですが、だんだん娯楽や色々なものが増えていく中で、話が合わなくなっていきます。
そういう中で共同体のルールは変わってくるし、価値観も変化していくのかなと思っています。
・未来のメディア
では、情報拡大という自然発生的なものとコンテンツのあり方、メディアの形が変わってきたときに未来のコンテンツはどうなるかというと、おそらく一方向的なものよりはゲームのようにリアルタイムなコミュニケーションに変わっていくと思います。
本を読むというよりはAIと会話をする、知識を持ったAIと会話をしながら知識を身に付けていく、情報を取り入れていくというやり方になっていく、つまりゲームのように変わっていくんじゃないかと僕は予想しています。
こういう背景を元に、自助会はあった方が良いんだろうな、と思っています。
ややこしいんですが話半分で聞いてください。
目的
僕のオンライン自助会の目的は何かというと、こういう背景の中で益田裕介は精神科医YouTuberとして、精神科医インフルエンサーとして自分のコミュニティを作った方が良いだろうということで作るのですが、目的があります。
メタバース空間、将来の未来メディアにおける共同体を作ろうということです。
そしてその共同体というのは生態系として機能した方が良いんだろうと思っています。
自己増殖ができる、僕が関与しなくても、自分たちで運営できるような共同体、生態系を作り上げることを目的としています。
随分都合が良い話だと思うかもしれませんが、それが一番良いと思います。
本部機能は小さくする。小さいとコストがかかりません。
今は参加するのに月3千円かかっていますが、それがどんどん撤廃できます。
そしてお金がかからないと学生も参加できるようになります。
どうしたら良いんだろうと思っている学生さんは、この動画を見ている人の中にもいると思うのですが、そういう人たちも気軽に参加できて、色々な年齢や世代の人たち、色々な経験をした人たちから学べるような空間ができると思います。
ピアサポートの場所でもあるし、学校のような場所でもあるし、病院のような場所でもある。
そういう生態系を作りたいなと僕は思っています。
自己増殖できるようなものを目指しているということです。
それを作るために自助会をやっているということなのです。
先ほどの背景から自分はやろうと思い、その中で何を実現したいかというと、こういうことを考えています。
活動
具体的にはどんな活動をしているかというと、今年の3/24から始めており、Slack内でのチャット、Zoomを使った座談会、そのうちゲームをやりたいと思っています。
心の悩みだけをしゃべっていても辛いと思うので、オンラインゲームを一緒に楽しむ場所もできたら良いなと思っています。
今はこれくらいしかできませんが、未来の技術に備えてこういうことをやっています。
メタバース空間が本格的にできるようになったらそちらに移行し、もっと色々な活動をオンライン上でできたらなと思っています。
・メンバーとルール
それに向けて今何を作っているかというと、メンバー集めとルール設定です。
ルールは規約として何となく暫定的なものはありますが、これはどんどん変えていくものだと思っています。
弁護士さんを入れて規約も作りました。
メンバーも、症状が重い人は参加の見合わせをお願いするよう規約に入れています。
月3千円払って参加するというのは結構ハードルが高いです。
ある意味ハードルを上げることで入ってくる数を絞り、安全な空間をつくろうとしています。
そういう中でファシリテーターの育成ということを考えています。
SlackチャットやZoom会議のときにリーダーというか仕切る人が必要です。
今は僕や一緒に働いてくれている本部の人たち、運営メンバーがやってくれていますが、コストを下げるために小さな本部にしていきたいです。
ですから、自分たちでできるようにファシリテーターの育成を考えています。
グリードアイランド(冨樫義博の漫画『HUNTER×HUNTER』に登場する架空のゲームソフト、またその舞台となる世界・島の名称)みたいな感じですね。
HUNTER×HUNTERのグリードアイランドのようなことをやろうとしていて、でも別に運営メンバーはグリードアイランドと違って囚人ではないですけど、僕がジンみたいな感じでメンバーと一緒に作っているという感じです。
・知識のリデザイン
ファシリテーターの育成をどうしようかと考えている中で、知識のリ・デザインが必要だな、と考え方が変わりました。
既存のファシリテーターの育成講座や、僕のYouTube動画を組み合わせることでファシリテーターは比較的容易に育成できるのではないか、あとはやりながら考えれば良いと考えていましたが、やはりそれだと情報が膨大すぎてファシリテーターの人たちも混乱するので、もう一回知識をデザインし直して、覚えなければいけないこと、学ばなければいけないことをできるだけ少なくしてあげないといけないと思っています。
知識というのも、元々アドバイスをしていけば良いのか、困ったことに対応していけばいいのか、ということだけを思っていました。
臨床もそうで、困っていることに対して、心とはこうだよと一個一個言うことだけをしていましたが、それだけだとダメで、基礎みたいなことも伝えていく必要があるんだなということも最近わかりました。
どうしてこれがわかったかというと、吉本興業のNSCというお笑いの学校がありますが、そこの説明会を見ていて思いました。
NSCでもネタ見せという形で、ネタを見せて、ここをこう直した方がもっとウケるよ、ということだけをやっていたようなのです。
お笑いとは何か、どういう風にネタを作れば良いのか、そういうことを教えずに見て覚えろという感じだったようです。
それだけではダメだよねという話になって、今は基礎を教えているということらしいです。
確かにその通りだなと僕も思い、興味があることだけに対して質問に答えるのではなくて、もう少し基礎の部分をどうやって教えたら良いのか、どうやって伝えていけば良いのか、ということを今考えたりしています。
これが済んだら、次はどうやって人を増やせば良いのか、どうやってお金のことを考えたら良いのか、学生を参加させるときにはどうしたら良いのかなど別の問題を考えるのだと思いますが、今はここを考えているということです。
■資金と増員?
やっていく上で、今は少人数で本部を運営しているので、もうちょっと資金を入れて本部の人数を増やし、スピードアップを図った方が良いのか?とも考えたりしています。
でもこれは本当はどちらが良いのか、と思います。
もう少し自然発生やオンライン自助会に参加している人たちの動きを見ながらスピードを意識せずやった方が良いのか、それとももっとスピードアップした方が良いのかということは常に悩んでいます。
聞いている感じでは、スピードが速いと困りますという人たちが多いので、良いのかなと思いますが、頭の隅には入れています。
ただ資金を入れてスタッフを増やし、もっと会を急速に大きくしていくこと、会社のようにしていくことはそもそもの目的と矛盾します。
小さな本部でコストがかからない、営利的なものを目指さないという目的と相反するので、やっぱりなかなか難しいのかなと思ったりします。
スピードは今ぐらいで良いのかな、と思います。
8月5日に本が出て、22日にもう一冊出るのですが、この本をきっかけにYouTubeを見てくれる人、登録者数が増えるかもしれません。
そうなってくるとオンライン自助会の人数も増えるかもしれません。
そもそもこういう動画を撮っている時点で自助会に自分も参加したいなと思って入ってくれる人も増えるかもしれないので、それに対してガッとお金が入ってきたりだとか、メンバーが増える中で、今の運営メンバーの人数だけで良いのか、ということは悩みます。
採用は結構難しいし、どうしようかなと悩んでいます。
もし良かったらコメント欄でアドバイスください。
もし医療従事者の方で興味のある方、特にドクターですね、精神科医の方で興味があったらコメント欄で問い合わせ頂いたら、採用を考えます。
今回、オンライン自助会は何を目指すのか、というテーマで、今考えていることや今後の方針、今のトピックを語りました。
特に今いるメンバーは「こういうことなんだな」「じゃあ今自分たちはこういうことをやれば良いんだな」ということを確認できたら良いかなと思って撮りました。
コミュニティ
2022.8.5