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努力はしない方がいいのか? どれぐらい頑張る?

00:00 OP
00:46 医学に「努力」という言葉はない(?)
01:16 人間は我慢強い生物
04:44 競争に勝つ
05:59 どこまで我慢するか?
06:58 落ち込むくらい頑張る必要はない
07:49 超自我

本日は「努力はしない方が良いのか」というテーマでお話しします。

金曜日は自己啓発本に出ているようなテーマ、ビジネス書でよく扱うテーマを取り上げているんですが、今回は「努力」をテーマに取り上げます。

色々な本がありますよね。
努力しろ、120%頑張れ、という自己啓発本から、逆に努力はする必要ない、運がすべてというビジネス本まであります。
どっちが正しいの、どう考えたらいいの、と言われると思います。

医学に「努力」という言葉はない(?)

精神科医目線で考えると、そもそも医学に「努力」という言葉はおそらくないんじゃないかなと思います。
おそらくですよ、ほぼ99%ないんじゃないかなと思います。
患者さんに努力させろとか、治療者は努力すべきだとか、そういう文面は見たことないです。

日常ではよく使われる努力という言葉ですが、我々からしてみると、そもそも人間はかなり努力している生き物なんじゃないかなと思っています。

人間は我慢強い生物

というのは、人間はそもそも我慢強い生物なんです。
他の動物に比べてかなり我慢強いです。

人間は脳が発達しています。
前頭葉と呼ばれる理性を司るところが発達していて、本能から出てくる信号を抑えることができるんです。
もう疲れた、本能ではやめたい、と思っていても、理性の力で押さえつけたりするんです。
いや頑張れ、頑張れるんだ、今逃げないと死ぬぞ、と言って我慢させます。

僕は動物番組が好きなんですが、動物番組を見ていると肉食動物は意外と走って諦めるのが早いんです。
草食動物も捕まった後は意外と諦めがよくて、「もう食べられよっか」みたいな感じになっちゃうんです。

人間だったら傷ついても暴れるじゃないですか。
野生の動物はそこが弱いなと思ったりするんですけど、それはなぜかというと、人間というのはやっぱり我慢強い生き物だからなんだろうな、と思います。
体力があるという感じです。

しかも人間というのは更に我慢をさせるシステムを作ったんです。
近代国家というのはそうなんだと歴史学者は言いますが、昔よりもめちゃくちゃ働かせるようになってるんです。
僕らってめちゃくちゃ働いているんです。
昔の人では考えられないくらい長い時間働いてます。

どうやって我慢させているのかというと、国家システムや社会の産業システム、資本主義というシステムが無理やり働かせるようにしているし、例えばカフェインを飲むことで疲れを忘れさせて無理やり働かせるとか、アルコール、仕事が終わった途端にお酒を飲ませて、いい気持ちにさせて寝かせることで、明日も働かせる、文句を言う時間を与えないということです。

奴隷を支配するにはどうしたらいいのかということは、人類はずっと考えてきたんです。
労働者をどう支配するかというのは、お酒を飲ませるというのは一つなんです。
奴隷を働かせて日中クタクタになる。その後お酒を飲ませれば、頭が働かないわけです。
何となく楽しい気持ちになっちゃう。
そうすると「こんなことじゃいけない」と反乱させる気を起こさせなくします。

だからアルコールは昔から常に作られているし、プランテーション農業のときにも真っ先にラム酒というお酒を作ったんです。
それはなぜかというと、反乱を起こさせないためなんです。

あとお金です。
資本主義は衣食住足りてるのに、なお働かせようとしているじゃないですか、お金くれ、お金をくれ、という形で。
そうやって人間の欲望、競争心を煽ることで我慢させて働かせるというシステムを作り上げたみたいです。

これは複雑に絡み合って、長い時間をかけて人間がなんとなく作り上げてきたものなので、生物学的な根拠というのはよくわからないんですが、でもやはりお金とかそういうものは、報酬系を刺激することで無理やり働かせるようにできているみたいです。

もうすでに僕らはめちゃくちゃ働いているというか、めちゃくちゃ我慢してる。
めちゃくちゃ努力しているんです。

では努力している割には上手くいってないじゃないか、と思われるかもしれませんが、もちろんその通りで、それはなぜかというと、みんな努力しているからなんです。

競争に勝つ

世の中で幸せだと言われている要素の一つは、競争に勝っているということなんです。

お金がある、人が行けない旅行に行ける、承認欲求を満たしている、地位がある、お金が多いというのは、競争に勝っているということなんです。

競争に勝つというのは何かというと、才能だったり運だったりと努力の掛け合わせで勝つことができるので、努力だけで勝つことはできないんですが、努力というのも一つのファクターであります。

もうちょっと言うと、本人だけのものではなく、環境だったり、指導者の問題だったり、いい仲間がいるのかいないのか、によっても結構変わってきます。

競争に勝つためには色々な要素があるから頑張っても仕方ないよ、というのは一つの意見でもあるし、努力しても勝負ごとには本当はほぼ影響しない、というのも一つの見方です。
一方で、競争に勝つために唯一コントロールできるのは努力だけなので、じゃあ頑張った方がいいんじゃないか、というのも一つの意見かなと思います。

どこまで我慢するか?

結局、努力はしない方がいいのかと言っても、努力はしないわけにはいかないので、どこまで我慢するかという話なんじゃないかな、という風に思います。

よく臨床でも話になるのは、どこまで頑張ればいいんですか、どれくらいだったら休職していいんですか、どれくらいだったら諦めてもいいんですか、どれくらいだったら勉強せずに遊んでもいいんですか、そういうことです。
線引きがわからないんですよ。

子育てもそうで、どこまでウチの子どもを頑張らせたらいいんですか、どこまでしつけとして我慢させたらいいのか、発達障害があるがどこまで期待していいのか、どこまでが本人の特性だから諦めた方がいいのか、というのもあると思います。

人間には才能や限界というのがあるので、努力ではどうしても乗り越えられない壁があります。
どこに線引きするのかな、というのは常に悩むんじゃないかなと思います。

落ち込むくらい頑張る必要はない

医師の目線からみると、うつ病にしても発達障害にしても、やはり落ち込むくらい頑張る必要はないんじゃないかなと思うんです。
食べられない、眠れない、苦しくなるまで努力する必要はないと思うんです。
結局、無理のない範囲で頑張ればいいということになります。

それを言ったら、無理のないってどこなんだよ、という話になるかもしれないですが、それはわからないよね。
結局わからないんですよ。
本人でもよくわからないし、周りもなおさらよくわからないので、適当なところで手を打つしかないんじゃないかなという気がします。

もちろん食べられない、眠れない、精神科に通わなきゃいけないくらいになってしまうと、努力はやりすぎということになるんですけれど、もうちょっと手前のところだと、どこがラインなのかというのは、ちょっとわかりません。

超自我

あともう一個大事なのは「超自我」というものです。
つまり、頑張らなきゃいけないんだ、という自分の中の本能に近いようなものが、人間の心には備わっているんです。

超自我とは何かというと、親の教え、教師や常識、○○すべきだという自分の中にある神様みたいなものです。
キリスト教やユダヤ教の神様みたいな形で、常に自分を見つめていて、厳しく律しなさいと教えてくるような、罰するような神様のような存在、そういうものが心の中に備わっているんです。

しかしこの超自我が強すぎる場合、苦しんでいることはあります。
親の教えが厳しかった、教育的な虐待があったということだと、いつまでたっても自分はダメなんじゃないか、もっと頑張らなきゃいけないんじゃないかと日常を楽しめなかったりします。

こういう人の場合は超自我を抑えて、もっと気楽に生きればいいよ、と言ってあげます。
じゃあ甘えという言葉はないんですか、と言われそうですが、精神医学においては甘えというのはないんです。

超自我が本当に悪いものか、じゃあ好きにやったらいいのか、というとそうでもなくて、やはり不安というのは人間にとって結構大事な要素です。

例えば、1週間に100時間働くと言われているイーロン・マスクにも不安があるんです。
このままでは人類は滅亡してしまうんじゃないか、という不安があるみたいです。
火星に行かなきゃいけないと思っているみたいですね、環境破壊が進むに連れて。
火星に住むためには、今頑張らなきゃいけないんだと思っていると言われてますけれど、こういう不安があるから、人間はいろいろモチベーションがあって動いたりするというのも事実なので、あまり否定するものでもないのかな、という気はします。

結局、人生に正解はないと言えば正解はないので、好きに無理のない程度に頑張って楽しんでいくというのがとても重要です。

ということで今回は努力はしない方が良いのか、というテーマでお話ししました。
結論、無理のない範囲でがんばりましょう、ということになります。


2022.10.21

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