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クレームの多い保護者とその対応。精神科医目線で語ります

00:00 OP
00:56 怒っている人
02:57 チームで対応する
04:29 私がやらなきゃ

本日は「クレームの多い保護者とその対応」というテーマでお話しします。

質問が来てました。

『特別支援学校の教員をしています。
ぜひ、クレームの多い保護者の心理とその対応、について精神科医目線でお答えください。
先生の動画の、女性の発達障害のタイプの保護者なのかなとか、発達障害の人なのかなとか。
クレーマーは母親がほとんどです。
不安が強い人なんだろうなと思うのですが、巧みに人の弱みを責めるタイプも多く、とても困っています』

ということですね。

クレームが多い保護者ということですけれども、保護者というよりは、クレームが多い人の対応をどうしたらいいのか、ということをテーマにお話しします。

怒っている人

クレームというのは何かというと怒っているということです。
怒っている人はどういう心理なのかというと、自分を責めるよりは他罰、他人を責めることが多いタイプの人だったりします。
自分で何とかしようというよりは、相手任せという人が多いです。

また、「べき思考」が強かったりします。
あなたはこういう仕事をすべきだ、あなたは○○をすべきだ、本来だったらこうあるべきなんだと「べき思考」が強くて、柔軟さが欠けていたりします。

先程質問にもあった通り、不安が強く、相手の立場が考えられないとかあります。

本音と建前がよく分からなかったり、相手の立場に立ってみたら、「ここまでできないでしょう」ということなんだけれども、それがわからなくて、「いや、こうだろう、こうすべきなんだ」「お客さんに対してはこうすべきだろ」と言ったりします。
でも今混んでいるからそこまでできないでしょう、そういう発想に至らないんです。

あとは自分が上だと思ってるということです。
自分が上の立場だから、下の立場の人間が偉そうにしやがって、みたいな感じで怒っちゃうということがあるかなと思います。

誤解を恐れずに言うと「この疾患だからこういう人が多い」、「この疾患だからクレームになりやすい」というのは基本的にはありません。
統合失調症の幻覚妄想に支配されてクレームになってしまう、双極性障害の躁状態だからクレームになってしまう、うつ病のうつ症状で焦燥感からクレームになってしまう、パーソナリティー障害がある、精神発達遅滞、境界知能である、発達障害がある、全般性不安障害がある、強迫性障害がある、虐待があってトラウマ経験がある、色々なタイプがいます。

「この疾患だからクレームが多い」ということはないので、偏見は減らしてもらった方がいいかなと思います。
よくクレームを言ってると、あいつは発達障害だからクレームが多いんだろう、あの人そうなんだろう、言われがちですがそれは偏見だなと思います。

チームで対応する

対応はどうしたらいいのかというと、傾聴と対応できることは対応するということになります。
話をきちんと聞くということです。
それはとても重要です。

とは言ってもできないこともあるので、ノーと言うことも大事かなと思います。

その場その場の対応は皆さんプロフェッショナルの方も多いと思うので、やれていると思うんですけれども、これが続くからキツいんですよね、結局。
1回じゃなくて、続くからキツいと。
だからチームで対応しなきゃいけないんです。

クレームは個人の責任じゃなく、チームで対応する。
こういうことがあったときにはどうしたらいいのか、というマニュアルを準備するというのははとても重要です。

たとえマニュアル通りにいかなくても、「準備している」ということが重要なんです。
チームで考えたことがある、そしてマニュアルも準備しているということはとても重要です。
皆でやる、皆で対応する。

心理的安全性を高めるためにも、一人を責めないということも重要ですね。
あんただからクレームになったんだろう、私だからクレームになったのかなじゃなくて、「そういう人」なんです。

そういう人に運悪くぶつかってしまって、対応が下手だったからこうなっちゃった、若い人だからなめられてやられちゃった、そういうことがありますから、一人を責めずに皆でやっていくことがとても重要だと思います。

ですから、ボスやリーダーの責任はとても重要なんです。
無責任にならない。
やはり職場のリーダーになる人、年上の人がやはりリーダーシップをとることはとても重要かなと思います。

私がやらなきゃ

ただ、精神科でよくあるのは、ボスやリーダーは「気にしなくていい」と言っているパターンです。
皆でやろうと言ってるんだけれども、一人で「いやいや、私は私は…」となっちゃうパターンも結構多いんです。
皆でやろう、リーダーが「この人は仕方なかったね。じゃあこのマニュアル通り今後やろうね」と言っても「いやいや、あの人は…、私は…」と言って一人で暴走してしまうパターンもあります。
それはこの人の問題だったりします。

この人も不安が強くて、「私がやらなきゃ」とべき志向が強くて私がすべきなんだとなる。
不安が強いから、「これじゃ上手くいかないかも」と言ったり暴走することがあるので、この場合はこの人の不安の問題とか、チームでやるという発想、そういうところをトレーニング、学習していくということが必要なのかなと思います。

ということで、今回はクレームの多い保護者とその対応というテーマでお話ししました。


2022.10.26

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