本日は「健康な人間関係」というテーマでお話しします。
コンテンツ
健康な人間関係に恵まれなかった
精神科の患者さんは、子供の時から健康な人間関係に恵まれなかったということがあります。
親子関係もグチャグチャだったり、家の状況もグチャグチャだったり、いじめられてしまった、不登校だった、色々なことがあって、健康な人間関係を体験したことがない人がいます。
実際僕らはどうなのかというと、やはり思春期に荒れるんです。
中学生で急に脳みそが大きくなりホルモンのバランスも崩れるので、やっぱり荒れています。
性ホルモンに支配されるし、何だかわけがわからなくなるし、感情の波が激しくなる。
急にわかることが増えて賢くなるから、急に他人の目が気になるし、ドパミンがどんどん出てきて危険なことが楽しくなったりするし、まあ変なんです、10代というのは。
変な状況なので、そういう時には健康な人間関係はなかなか構築しにくかったりしますが、大人になると健康な人間関係は比較的容易に作ることができます。
ただ、家の環境がグチャグチャだ、子供のときにいじめにあっていた、引きこもっていたという場合、大人になってから突然健康な人間関係の中に放り込まれても、なんだか萎縮してきちんと相手と距離を詰められなかったり、きちんとコミュニケーションできていなかったりするのかなと思います。
そもそも正しい人間関係や健康的な人間関係って何ぞや、という話を今日はします。
本来だったらこういう人間関係があるんだよ、ということです。
だけど会社では上下関係が加わったり利益関係が絡むからちょっと変形するよ、恋愛が絡むからちょっと変形するよ、というパターンがあるんです。
プラトンが言うイデア、理想形というか、本来はこうあるべきだ、という形の人間関係をお話しします。
難しいですけど、「こうすればいいんだ」という風に思ってください。
互いに尊重し合う
個人と個人は互いに相手に対して敬意を払うことが大事なんです、そもそも。
そもそも相手に対して陥れてやろうとかそういうのではなくて、相手に対して敬意を払う。
そして注意を払う。相手の話をちゃんと聞くということです。
それがまず前提としてのルールです。
互いに十分な時間を共有するということもルールだったりします。
適当に話を終わらせて自分の時間にしたい、スマホをいじりたいというのは正しい人間関係ではなくて、きちんと時間を一緒に取る、十分に話し合う時間をつくってあげる、というのが健康な人間関係というか、あるべき人間関係なんです。
相手に対する寛容性というのもとても大事です。
社会というのは多様であるべきだし、相手に対して許してあげる、寛容であるべきなんです。
ここの基本前提がきちんと守られているのかが重要です。
互いに尊重し合うということです。
それがまず大事です。
能力が高いから尊重する、お金を持っているから尊重する、立場が上だから尊重する、ではないんです。
人間同士は互いの人格を尊重し合うことがとても重要な要素です。
これがまず前提としてある、と。
正直な意見を交わす
その上で正直な意見を交わすということが大事なんです。
嘘をつかない、正直に今の自分の意見を言う。
正直に今の自分の気持ちや感情を伝える。
正直に今の不安や困っていることを話す、ということが重要です。
相手はちゃんとそれを聞くということです。
その上で、境界線をきちんと引くことが大事なんです。
これは自分は助けられるけど、これは助けられませんよ。
これは自分は受け入れられるけど、これは僕の価値観に合わないよ、という境界線を引くことが大事です。
ここがぶつかるんです。
ぶつかったときに互いに妥協し合って、いいところのバランスをちゃんと保つということが大事なんです。
境界線というのは常に変わるんです。
仕事が忙しいときに、あるときは相手に境界線が振って、仕事をちょっとやってよということになるかもしれないし、あるときは反対側にズレたりします。
コミュニケーションをし合うことで、境界線というのは常に移動したりしているということになります。
もう何でもいいから、面倒くさいから、もうこっち、白・黒とかではなくて、グレーというか、境界線は常に駆け引きをしながら揺れていく、というのが普通の人間関係、健康な人間関係になります。
互いに尊重し合うということです。
なぜできないのか
じゃあなぜこれができないのかということになります。
正直に言っても、病気のことに対する偏見がある、LGBTQに対する偏見がある、そういう差別偏見があるのはなぜかということです。
これはやはり、過去に嫌な思いをしているからということです。
何かトラブルに遭った、嫌な思いをした、精神疾患がある人のせいで嫌な思いをした、迷惑をかけられたなど、色々あると思います。
でもその経験とこの人とは話は別ですよ、ということです。
そこがグチャグチャになって、先入観で嫌だな、面倒くさいな、となっていると、やっぱり上手く人間関係は築けないです。
あとは、過去にインクルージョン教育を受けているか、ということも重要です。
多様性を認めるような教育、多様性がある教育、色々な価値観や色々な考えを持っている人たちと交流をしてきたのか、ディスカッションしてきたのか、一緒に生活をしてきたのか、一緒に遊んできたのか、ということもとても重要なポイントです。
こういうものがないと大人になってから色々な人と交わっても、「コイツと付き合っても得はないな」となりかねないので、日頃からインクルージョンのあるところで生活していくことはとても重要です。
あとは、変化に抵抗があるときは上手く人間関係が築けません。
つまり、自分さえ良ければ良いので、新しい変化は嫌だよ、新しい価値観や新しい常識は受け入れたくないよ、そんなの面倒くさいよ、ということです。
新しいもの、変化というものは受け入れるのが結構疲れるんです。
だからやりたくないんです、原則的に人間というものは。
今のまま自分の領域を守りたいんです。
だけどそうじゃなくて、それを壊していく、自分の殻を破っていく、相手との境界線を壊したり作ったり、押したり押されたり、ということをきちんとやっていくということが重要です。
それが正しい人間関係ですから。
正しい人間関係の結び方
正しい知識を身につけていく。
精神疾患を学んでいく。
性的マイノリティの人に対する正しい知識を得ていく。
そしてそういう人たちの思いや苦しみをシェアしていく。
実際の耳で聞く。
その人から話を教えてもらう。
そういう知識が大事だったりしますし、その上で相手の人間としての尊厳、尊重するという気持ちが大事です。
相手に対して深い敬意を払うということです。
そういう正しい心を持った人、正しいメンターときちんと交流をすることが大事です。
道徳的に価値観が確立している人、倫理的に価値観が確立している人をメンターとして仰ぐことも重要です。
直接いなくても書籍の中で出会ってもいいかもしれないし、何か別の形で出会ってもいいです。
ただそういう人と交流を図ることで学んでいくことも重要かなと思います。
そういうことを身に付けると、健康な人間関係が結べるようになります。
まずきちんと正直に言う。
正直に話せるようにする。
怖いなと思わずに話してみる。
また傷つきたくないなと思っても話してみる、ということはとても重要です。
もしあなたを傷つける人ばかりだったら、そういう人には言う必要はないです。
だけどそうじゃなくて、助けてくれそうな人、一緒に協力し合えるような人には正直な気持ちや自分の意見、不安を話してみる。
それがとても大事だし、相手との境界線をペタッとくっつける、くっつけた上で押し合うという発想、発想というかイメージ、ここは大事にしてほしいなと思います。
今回は、健康な人間関係というテーマでお話ししました。
人間関係
2022.12.11