東西線「早稲田駅」徒歩1分。夜間・土曜も診療。心療内科・精神科。自立支援対応

WEB予約はこちら

再診患者専用

03-6233-9538

予約制:木・日・祝休診

0362339538
初診WEB予約

  

再診患者専用TEL

03-6233-9538

嫌な頼みごとを断る秘訣 頼み事は断ったほうがいい?

00:00 OP
00:23 やはり迷う
01:41 可視化する
04:02 基本的には押し合い

本日は、嫌な頼みごとは断った方がいい、どうやって断るのか、どういうイメージで断ること/受け入れることを考えたらいいのか、というテーマでお話しします。

やはり迷う

臨床していると、「こういうことは我慢した方がいいんですか?」「こういうことは頑張った方がいいんですか?」とよく聞かれますが、その場にもいないし、その仕事のこともよく分からないので答えようがないのです。
もちろん食べられない、眠れない、出勤前に涙が出る、そういうことであれば、「これは休んだ方がいいね」「うつだから、ちょっと休もうか」と言えるんです。

もうちょっと軽い場合は、でもここは頑張った方がいいのかな、ここはもうちょっと調整して、上司に頼んだりしながら今は踏ん張った方がいいのかな、というのはやっぱり迷います。
休んで全て解決するんだったらいいけれども、なかなかそういう風にはいかないです。会社とかは。

会社のことだったらまだマシで、ストレスの原因が家庭にあったり、もっとプライベートでなかなか離れがたい場所にある場合は、答えにくかったりします。例えば親の頼みとか。

「断っちゃえばいい」と乱暴には言うことはできないので、やっぱり一緒に悩むことになるんです。

可視化する

悩む時にどういうことを考えながら断った方がいいのか、どういう風な基準で物事を考えたらいいのか、ということを臨床現場では説明することもあります。

ティーチングと呼ばれるもので、発達障害の人はそういうことを考えるのが苦手な方が多かったりするので、こういう説明をしたりします。
もちろん、うつ病や不安障害の人にもこういう説明をしたりします。

例えばゲームであれば、今やろうか/やらないか、という判断がつきやすいんです。
最近は女の子であってもテレビゲームする方は多いので、よくゲームで例えたりするんです。

ゲームであれば、自分のHP(ヒットポイント)やMP(マジックポイント)が可視化されていて、常に把握できるので、今から先へ進むのか、敵と戦えるのか、もしくは引き返して休んだ方がいいのかというのは一目瞭然というか、適切に判断しやすいんです。

ただ現実の自分の場合は、どれくらいヒットポイントが残っているのか、マジックポイントが残っているのかわからないですよね?
なので判断がしにくいということになります。

ではヒットポイントやマジックポイントに当たるものは何かというと、スケジュールだったり、今やるべきこと(ToDoリスト)だったり、自分の目的や今の体力、そういうものを可視化したり、書き出してみることはとても重要です。

今の不安ややるべきこと、そういうことを書いてみて、これだったら頼みごとを引き受けられるな、これだったら頼みごとを引き受けたら潰れちゃうな、ということを判断すればいいんです。

ただ何となく決めるのではなく、何となくで決めてもいいんですが、何となくで決まらないときは、もう一回冷静に自分の今の立ち位置、今のヒットポイント、マジックポイントはどれくらいなのか、具体的にはスケジュールややるべきこと、自分の目的、今の体力がどれくらいなのかを可視化した方がいいんじゃないかなと思います。

基本的には押し合い

どうして我々はこんなに忙しいのか、こんなに苦しい思いをしているのか、頼まれごとが多いのか、ということを考えてみます。

会社はどうなっているのかというと、まず株主がいるんです。
株主がいて、その命令を受ける社長的な人がいて、社長的な人が上司を通じて「これやれ」と言って、「これを絶対いつまでにやれよ」と仕事を投げるんです。

投げられると、今回は3人でやってますが、この3人で完結しなきゃいけないので、互いに押し合うんです。
仕事を押し付け合うというか、頼みごとを押し付け合ったりするという感じです。悪い言い方をすると。

自分も今厳しいし、基本的には自分のスケジュールや目的、体力等を管理するのも結構難しいのですが、上司であろうと、相手の事情は見えてこないので「ちょっとやってよ」と言って押し合っていくことになるんです。

これは常に押し合い続けるものなので、これで正解というのはないんです。
「1/3で決まりましたね。じゃあもうここまでやれば私の仕事終わりですね」ということはあり得ないです。
Bさんが突然風邪をひくということもあるだろうし、また次の仕事が突然来るということもあるだろうし。絶えず仕事量というのは、やりながらかつ調整しあう必要があるんです。

こういうことを言うと「面倒くさ! じゃあ自分がやった方が早いですね」と言うんですけど、そうなるとどんどん仕事が増えます。
いっそのこと自分がやった方が早い時もあるけれど、それだけだと毎回上手く行くわけではないので、基本的には押し合いというか、領域争いというかそういうことをやりながら、陣地取りをやりながら、適宜自分で消化していくというイメージを持つのが良いです。

こういう概念がなくて、もう何でもかんでも受けたらいいと思ってしまうと良くないです。潰れちゃいますから。
自分の余力を絶えず把握し、全体の仕事の中における自分が今やっているところはどれぐらいなのかを把握しつつ、相手にできそうなものを悪い言い方をすれば押し付ける、良い言い方をすれば譲り合うことがとても重要です。
これを常にやり続けることが大事だし、人間社会の難しいところです。

どうやったら上手く断れるかとか、どうやったら上手く相手に押し付けられるかに正解はないんです。
たった一つの正解というのはなくて、絶えず交渉し続ける必要があるので、それはちょっと面倒くさいんです。
9勝1敗を目指すというわけじゃなくて、5勝5敗、4勝6敗を目指せばいいので、ときには3勝7敗もあるかもしれないですが、全負けしないようにある程度調整していけばいいんじゃないかなと思います。

本日は、嫌な頼みを断わるにはどういう風に考えたらいいのか、ということをテーマにお話ししました。


2022.12.17

© 2018 早稲田メンタルクリニック All Rights Reserved.