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精神科医目線で語る、よく眠る方法

00:00 OP
00:48 睡眠市場
02:47 眠るために大事なこと
03:52 ストレスとうつ
06:01 本当に重要なこと

本日は「よく眠る方法」というテーマでお話しします。

よく眠るにはどうしたらいいですか、とよく質問を受けますし、みなさん知りたいと思います。
よく寝たいです、熟睡したいです、しっかり寝たいです、と。
どうしたいんですかとよく聞かれますけど、そんなに難しい話じゃなくて、「ストレスを減らす」というのが答えなんですよ。
それだけなんですけど、それだと芸がないので、しっかり精神科医目線で真実を話そうかなと思います。

睡眠市場

睡眠市場というのは、高齢者も増えてますし、お金が大きく動くマーケットになってます。
広告市場みたいな感じで、青汁と一緒です。
青汁サプリとかと似ていて、広告をかけて演出すればするほど儲かる疑似科学の分野になっています。

布団、枕、サプリ、食事を変えることでよく眠れるんだと言いますし、これはエビデンスがあるんだと言うんですけど、まあ嘘だと僕は思っています。
ほとんど嘘に近いです。
多少は影響があるかもしれないですけど、それよりも悩みごとが減る方が100%上手くしっかり寝られますから、まあほとんど嘘です。

いい布団は本当にいいのかというと、硬すぎると良くないかもしれないけれども、柔らかすぎると寝返りをうたなくなります。
寝返りをうたないと褥瘡(じょくそう)の原因になったりしますから、ほどよく寝返りがうてるくらいの硬さが大事だったりします。

枕もしかりです。
あまり高すぎると良くないし、柔らかすぎるのも良くなくて、寝返りがうてる感じがとても重要です。

サプリで変わると言いますけど、サプリでそもそも変わるんだったら、ちゃんと薬として認められます。
食事でもし変わるのであれば、精神科病院の食事はきちんと栄養学に基づいた食事ができるはずです。そんなのないですから、病院も普通の食事です。塩分の摂りすぎやタンパク質制限とかありますけど、「よく眠れる食事」はないですから。
脂っこすぎないとかそういうのはありますけれど、まあ常識の範囲内じゃないかなと思います。
だからここら辺はもちろん嘘なんです。

まあちょっとありますけどね。
睡眠に作用する薬に似たやつ、キャベツでしたっけ、レタスでしたっけ、あるとは思いますけど、基本的にはあんまり関係ないと思います。

眠るために大事なこと

重要なことは何かというと、適度な運動です。
やっぱりひきこもっているとなかなか寝られなかったりするので、1日1万歩を頑張って目指すというのはとても重要です。
なかなかできないですけど。

運動と、あとは規則正しい生活です。
不規則だと寝にくかったりします。

あとはお酒です。
お酒は睡眠の質を下げますし、きちんと寝られなかったりするので、お酒を控えるというのはとても大事だったりします。

あと、細かいのはあります。
うつのときは寝られない、発達障害の人・傾向がある人、概日リズム症候群の人、睡眠時無呼吸症候群の人、太りすぎている人、いびきをかきすぎると寝られない、等々あります。まあ、常識の範囲内というか、そういうのはあるかなと思います。

少なくともよく宣伝とか広告で見るやつとはまた別です。
布団、枕、サプリ、食事などのメディア受けするものにはあまり騙されないようにしてくださいと思います。

ストレスとうつ

重要なのはストレスです。
ストレスとうつの問題なんじゃないかなと思います。

だいたい寝れないと言っている人はすごいストレスを抱えていたり、うつ病の一歩手前だったり、実際うつ病になっている、適応障害になっているということが多いです。

そもそも知られてないんですけど、1年間のうちにうつになってしまう人は人2.2%いるんです。
うつ病の診断基準を満たす人は2.2%くらいいて、生涯で7~8%、1割近くの人がかかるといわれてます。

アメリカの場合は、この前UpToDateを見ていたら驚いたんですが、10%ぐらいの人が1年でかかるみたいです。
一生のうち21%くらいの人がうつにかかってしまうということみたいです。

ええ!?みたいな感じがしそうですけど、今回のTwitter騒動とかあれだけTwitterの裏ではエンジニアの方が、色々な企業でクビになったりしてますけど、やはり自由な社会というか、競争が激しい社会なので、アメリカも過酷だなと思います。
貧困の差も大きいし、格差も大きいし、チャンスの問題、すごく競争にさらされているので10%もあり得るなと思います。

イタリアは3%かな、ドイツもそんなものだった気がします。
ブラジルは10%とか書いてました。

うつというのは結構一般的ですし、日本はまだまだ診断されうるなと思います。
これから日本もアメリカに近づいていきますから、やはり2.2%と言わずにもうちょっと上がっていくと思います。

多くの人にとっては2%と3%ってそんなに差がないよ、変わんないよ、という感じがするかもしれないですが、現場から見るとこの1%の差は大きくて、だいたい今まで診ていた患者さんの数が1.5倍になる、2倍になるということですから、全然違います、1~2%違うというのは。本当に深刻だなと思います。

本当に重要なこと

こういう場合は、やはりメディケーション、薬物療法や休養がとても重要です。
睡眠薬を使って眠るというのもありますし、抗うつ薬を使ってしっかりうつの治療をするというのはとても重要だったりします。
休養をしっかりとる、働き方を見直すことがとても重要です。

そんなのよく知ってるよ、と言われそうですけど、この話を何でしたかというと、僕はやっぱり睡眠市場に対するちょっと怒りがあるんだなって思いました。

寝られないからどうしたらいいんだろう、自分で食べ物を調整してる、布団を変えてみたんだ、サプリを変えてるんだ、というんですけど、僕はそういう風に言ってほしくないなと思います。

きちんとストレスだとかうつだという風に思ってもらいたいというか。
それはなぜかというと、多くの人に精神疾患の偏見や差別を持ってほしくないし、自分の身近な問題として受けてほしいのです。
そして精神科医療を身近に感じて、色々な人に優しくなってもらいたいという思いがあるからだと思います。

ストレスやうつがあるときに、高額商品を買うとかではなく、誰かと喋る、対話をしてみる、家族と喋る、友人と喋る、素直な気持ちで喋ってみる、自分の働き方や人生を見直してみるなど、すごく重要だと思います。
自己開示をしてみる、自分の悩みをしっかり言う、相談してみる、なども大事です。

今の職場に問題がある、社会的な問題があるとき、夫婦の問題があるときに、その問題解決をあきらめている場合もあるかもしれないので、やはり勇気を出して一緒に解決していく姿勢はとても重要だと思います。

こちらが心を開けば、相手も心を開きますから、基本は。
最初の一歩がとても不安だし、緊張するし、勇気を出せないんですけれど、そこをグッと変えていくということをしてもらえたらな、高額商品を買うのではなくて、そういうところをみんながやってもらえたらなと思います。

発達の問題などももしかしたらあるかもしれないなというのはあって、子供の8.8%は発達障害という文科省のデータがありますから。
僕らもそうだと思います。やっぱりある種、医学部に来る人たち、僕なんて毎日YouTubeを撮って精神医学をやってますから、やっぱ変わってます。
変わってるというのは偏りがあるということだと思います。
人付き合いが苦手だったり、知識で補っているけれども、本質的にはすごく苦手だったりとかあると思います。

生きづらさというのはあると思うし、そこを認めたくないという思いもあるとは思うんです。
自分は勇気がないんだ、自分は照れ屋なんだ、人見知りなんだ、自分はちょっと空気読めないところがあるんだ、認めたくないじゃないですか。忘れ物が多いんだ、片付けできないんだとか。

恥ずかしければ恥ずかしいほど、本質的であればあるほど認めたくないし、他の人から見たら、益田そういうとこあるけど別にいいじゃん、そんなの別に気にしたことないよ、あんた片付けられないけど気にしたことないわよ、と言われることはあるんだけど、すっごい嫌なんだよね、本人は。

だけどそこをですね、やっぱりやっていく、開示していく。
そして認めてもらう、認めていくということが、ストレスの解決に繋がっていくので大事だと思います。

あとは理性vsひらめきと書いてますけど、運動や規則正しい生活、ノンアルコールと言うとすごく理性的で苦しいですけど、そういうのも大事だし、一方でひらめきというか、自由な心でやる、気にしない、ストレス解消のためにどっか行っちゃう、回避しちゃう、ということも大事だったりしますから、上手くやるのがいいと思います。

よく眠るためには、ストレスとどう付き合っていくのか、問題を解決していくのか、そしてストレス解消していくのか、ということに尽きます。
あまり高額商品に騙されないのがいいですよ。
という気持ちで喋りました。

今回は、よく眠る方法について精神科医目線で語ってみました。


2022.12.29

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