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HSP、繊細さんの受容

00:00 OP
01:21 多くの人は現実的・客観的な世界を生きている
03:10 言語化すると失われてしまう
04:02 感性が違う
05:41 HSPの人の障害受容

本日は「HSP(いわゆる繊細さん)の障害受容」というテーマでお話しします。
よく患者さんは「自分はHSPですか?」と言うんですけれども、HSPは医学用語じゃないんです。
医学的には、SAD(社交不安障害)、不安障害、回避性パーソナリティ障害、ASD(自閉スペクトラム症)などが該当するのかなと思います。

例えば、感覚過敏で、すごく色々なものが気になったり、不安に支配されやすい人たちのことです。
なかなか理解されないというところがあります。

まずそもそも医学的に理解されていないですから。
医者からも理解されてないので、可哀想と言えば可哀想な人たちだなと思います。
社交不安の一部、回避性パーソナリティ障害の一部、自閉スペクトラム症の一部の人たちがHSPに該当するという感じです。

多くの人は現実的・客観的な世界を生きている

HSPの人たちの特徴は、「豊かな世界?を生きている」ということです。
言語化困難で、混沌とした心象風景が色々変わっていくような、そういう世界に生きています。
それに対して一般の非HSPの人は、現実的・客観的な世界を生きようとしているというか、できるだけ客観的に見ようとしています。

情緒的なものを重視する人たちにとっては、真逆のことをみんなやってるんです。
自分の気持ちにもっと正直でありたい、自分の気持ちをもっと理解していきたい、という人たちとは逆を多くの人が生きています。むしろ感情なんかない方が楽だとぐらいしか思ってないんです。

僕もどちらかというとそっち側です。
現実・客観的な世界を生きている側なので、タフじゃなきゃ生きていけない、そこまで言わないですけど、あまり自分の気持ちを考えるよりも、どう現実的な問題を考えていくのかの方が重要だと僕も考えがちなので、HSPの人たちというのは理解されないだろうな、と思います。

こちらは気をつかってるのに何で相手は気をつかってくれないのかな、と思っていると思います。
他の人はそこに気をつかってもらわなくていいですから、そもそも。
余計なお世話だよとは言わないですけど、まあそういうのがあります。

だから時代に合ってないんです。
現代はどんどん科学的になっていく、より客観的で現実的な世界を生きようとしているので、そちらに価値観がシフトしている中、やはり合ってないな、と思います。

言語化すると失われてしまう

じゃあ言語化していけばいいのかというと、そういう気持ちも言語化していったり、数値化していけばいいのかというと、そうすると失われちゃうんです。

多くの患者さんはそう言います。
「喋ると失われてしまうから言えない」「でも恥ずかしいから言えない」「言ってしまった瞬間、なくなってしまう」みたいなこと言ったりします。

老荘思想の渾沌みたいな感じで、渾沌に七つの穴を与えたら死んでしまったみたいな形で、グニャっとした、理解されないかもしれないけれども、その感情、繊細さや機微を理解してもらいたいという欲望を持ってたり、ややこしいというか、面白いなと思います。

感性が違う

どういうことかと言うと、やっぱり違うんです。
違うんだろうな、感性が違うんだろうなと思います。
甘えや完璧主義というわけじゃなくて、感性が違うんです。

そこは驚きなんじゃないかなと思います。
それは発達障害の人たちが感性が違う、感覚の受け取り方・考え方が違うのと似ていて、HSPはHSPで結構違うんです。

人間は考えているよりもみんな違う世界を生きているというのは、僕は最近よく考えます。
境界知能の人であり、知的障害の人であり、うつ病の人、発達障害の人、統合失調症の人、色々ありますけど、違う世界を生きているなと思います。

人間がなぜ多様なのか?
人類はなぜ多様な関心を持っているのか?

おそらく学習だけでは説明がつかないと思うんです。
学習や教育だけでは説明がつかなくて、やはり遺伝子レベル、脳の構造からして違っていて、だからこそ多様なんだろうなと思います。

日本人はみんな似ているんだけれども、そういう日本人でさえ多様性があるように、発達障害の人やHSPの人がいるということです。
島国だから、みんな同じような方向を向いていたら絶滅しちゃいますから。
何か面白いなと思います。

HSPの人の障害受容

HSPの人の障害受容というのはどうなのかというと、人のことが気になるけれど、「みんな違うんだな」「私ほど気にしてないんだな」ということに気づくということだと思います。

あとは自分の考え方、自分が安心できるもの、自分のゴールと皆も同じだろうと思ってわざわざしてあげても、窮屈と思われるんだなということです。

当たり前と言えば当たり前のことなんですが、人と自分が違うという感じ、自分の感覚の繊細さが手に取るようにわかって、相手はそこに関心がないということがわかったりすると、障害受容は結構進むんだろうなといつも思ってます。

ちなみに真逆だから、HSPと発達障害の人って結構相性が良かったりして、友達になったり、恋人になったり、結婚したりすることも多いです。
HSPの人が結婚をきっかけに良くなってくると、社交不安や回避性パーソナリティ障害が良くなってくると、発達障害の人の変わらなさ、特性が妙に嫌になって離婚したり、逆に理解してくれないということが募っていってカサンドラ症候群みたいになったりすることも結構あります。
ここも臨床していてよく思うことです。

面白いって言うとアレですけども、興味深いというか、よく見る事象だなと思います。
今回はHSPの受容というテーマで何か思いつくことをダラダラと喋ってみました。


2023.1.3

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