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発達障害を改善した人から学ぶ、コミュニケーションの秘術

00:00 OP
00:47 記憶の問題、パズル力
03:39 相手の知識を利用するのが苦手
05:42 AIを駆使していく

本日は、精神医学を日常生活に活かす、より幸せになるために精神医学を活かす、というテーマでまた動画を撮っています。

今回は、発達障害(神経発達症)から僕ら精神科医はどんなことを学んだのか、神経発達症の治療の中からどういうことを学び、そして日常生活に活かしているのか、自分たちの生活を彼らからの診療体験から学んで、それを活かしているのか、ということを話をします。

記憶の問題、パズル力

発達障害の問題は何なのかと色々考えます。
この病気の本質はどこなのか、どの回路の問題なのか、とよく考えるんですけど、やはりベタにワーキングメモリの問題、処理速度の問題もあるかもしれないですが、処理速度の問題よりも、やはり一度に覚えておける量というのが少なかったり、注意散漫でぐちゃぐちゃになっちゃったりする記憶の問題と、あとパズル力です。

1を聞いて10を知るというか、一部分だけを見ることで色々なものを把握する、そういうパズル的な能力が低かったりするなと思います。
クイズ番組で、一部分を見てこれはなーんだ、モザイクの状態から見てこいつはなーんだ、と当てる力、これが弱かったりします。

それが弱いから自分で喋っていても、最初と最後で自分の話している内容がわからなくなったり、相手と会話している時に妙にズレてしまうことがあったりします。
いわゆる国語力みたいなものがあります。

患者さん側でなく治療者側がパズル力を駆使して相手を理解しようとすると、会話が成立ちゃうんですね、上手く。
その結果、上手く文法が通っていなくても会話が成立してしまう。
人間はそんなに複雑なことを普段喋らないですから、上手く行ったりしちゃうんです。

でもこれが複雑な話題をしようとすると、上手く行かなくなることが、発達障害の人によくあるなと思います。

例えば、英語ができない人が、海外に行ったときに「I’m hamburger、I’m hamburger」と言っておけば、向こうが気を利かしてハンバーガーショップに連れて行ったりしてくれるんです。

だけどそれは観光というか旅行用の英会話であって、やはりビジネス英会話、より複雑なコミュニケーション、国同士の交渉事やネゴシエーションだったら、I’m hamburgerじゃできないです。

I’m hamburgerって何なんだ、冠詞さえないですから。
まあ、そういうことです。

上手く行くんだけれども、より複雑なことを話そう、情報を共有しようとすると、もっと複雑な国語力が必要とされる。
そこが上手く行かなかったりします。

相手の知識を利用するのが苦手

それだけじゃなくて、人間ってちょっと不思議なんです。
他者とどうやって知識を共有しているのかというのは、結構面白いポイントだなといつも思います。
発達障害に限らず精神疾患の方は、相手の知識を上手く利用するというのが苦手だなと思います。

例えば僕らは地球が丸いと思っていますけど、でも何で丸いかってよくわからないですよね?
この前子どもと喋っていて「何で地球って丸いってわかるの?」「だって、丸くないじゃん」と言われたんですよ。

「それは遠くから見たら丸くなるんだよ。丸く見えるでしょう?」みたいなこと言って、「遠くから見たことあるの?」と聞かれて「いやないけど、遠くから見たらそうみたいよ」と言って答えたときに、「何で僕は人が言ってることを信じてるんだろう?」と思ったんです。

逆に何で患者さんの一部は、人が言ったことを信じられないんだろう、ということを結構真剣に考えました。

宇宙飛行士は地球が丸いと知ってますし、丸いということを知らなかったら上手くやれないです。

地図上で真っすぐ飛ぶのではなく球体を意識して飛んでいたり、球体を意識してルートを組んだりしているので、航空関係の人は球体ということがよくわかっている。

あと運輸関係もそうですよね。
船もわからないと上手く行かないんだけれど、僕ら精神科医は日常の中で、地球が丸かろうが平坦だろうが、別にどっちでも生活に困らないんです。
けれども丸いと信じている人がいるから、僕らも丸いと信じているというのはあって面白いなと思います。

AIを駆使していく

実際、ワーキングメモリやパズルの力、国語力をどうやって補ってあげたらいいのか、どうやって解決していけばいいのか、ということです。
最近僕が考えているのは、AIをどうやって利用するか、というのは結構重要かなと思います。

僕自身ChatGPTを使いながら、YouTubeの台本とかも含めてちょこちょこ使っているんです。
タイムパフォーマンスを良くするためにこういうものを使うんです。

やはりこういうものを使っていくと、要約ってこうやってするのか、物事の本質をどう掴むのかが分かります。
パターンによる拡張、データをもとに新しいものを生むというのはどういうことなんだろうというひとつの側面。全部とは思わないですけど、結構大きなひとつの側面を理解することができるので、こういうものを使ったりとか応用することで、自分の苦手なところ、苦手なパラメーターを補ってあげるのはいいんじゃないかなと思います。

タイパが悪いと言いますけど、タイパは良いです。
タイパを意識しなきゃダメですよ、これからの時代は。

テレビとか見てよく思いますけど、「タイパを意識しすぎると人生の本質を失うんだ」と言ってる人がいますけど、そんなのはウソで何言ってんだと思います。

これからは大量の情報を大量に扱わなきゃいけないので、これからの若い人たちは。タイパを意識したようなことをやらないと追いついていけないですから。
だからタイパを意識して情報処理する力というのはとても求められます。
それは専門家であろうが、ジェネラリストであろうが変わりません。

そして地位を得た人であれば、そんなことをしなくてもいいのかもしれないけど、僕らが診ている患者さんたちというのは、決して確固たるものを持っていなくてチャレンジャーの側なので、色々な情報に触れる必要があるし、色々な情報をもとに自分で生存しやすい環境を選び出さなきゃいけないので、やはりタイパを意識しないとやれないと思います。

大変だなと僕はいつも思います。
若い人たちや転職しなければいけない人たちを見て、大変だなと本当に思います。

自分の家族だったら、自分の子どもだったらどうなんだろうと思わず思ってしまいますし、胸が苦しくなりますが、だからキレイ事なんか言えないです。
できるだけ彼らが有利になるような情報発信をしたいですし、僕もノウハウを貯めたいなと思います。

そして、他の患者さんから聞いた良いことは、できるだけ早く別の患者さんにシェアして良いものが生まれるようにしたいと本当に思ってます。
それは偽善とかそんなんじゃなくて、よく思います。

ということで、今回は精神医学を活かす、というテーマで、特にワーキングメモリパズルの力とか、AIとかの絡みをちょっとざっくり話しました。


2023.2.24

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