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治療のイメージを持たないと、治療はなかなか進みません。脳をイメージしよう

00:00 OP
01:45 不安や恐怖を感じる場所
03:40 本能と理性?
05:34 発達障害の問題
10:20 僕はAI側

本日は「治療のイメージを持つ」というテーマでお話しします。

治療をしていく上で、人間の脳をイメージできているかいないかで結構違うんです。
ボディビルの人や筋トレする人、スポーツ選手など自分の身体の構造を理解しながらやっているのか、どういう筋肉がついているのか、骨はどんな形なのか、どういう筋肉があってどういう風に身体が動いているのかを意識できるか、解剖学的な知識があるかないかで、やはりトレーニングの差は出てしまいます。

それと同じように、人間の心を治療することにおいても、自分の心を治療することにおいても、人間関係を学ぶ上でも、脳はどういうものなのかということを意識した方が、していないよりも治りが良い、成長が早いんです。

今回は、そういう話をします。
イメージを持つということです。

あとは例えるならば画家もそうです。
芸術家、絵を描く人、漫画家もそうですが、解剖学的な知識があった方がデッサンが上手いです。
こういうイメージは大事なので持ってください、という話です。

不安や恐怖を感じる場所

よく感情や不安や恐怖を感じる場所はどこかというと、扁桃体だとか大脳辺縁系だとか言ったりします。そこだけじゃなくて色々なところが関与してるんだよ、と色々な言い方をしますけれども、イメージはこんな感じなんです。

扁桃体というのは脳の内側にあるんです、イメージしにくいんですけど。
真ん中にあると思ってください。
真ん中にあってそこから海馬が繋がっている。記憶などを司る海馬や、その周辺の大脳辺縁系というものに繋がって、そこから大脳皮質、脳の表面に神経細胞で繋がっている。
そこで上手くやり取りが起きていて、心という現象、意識という現象は起きていると考えてもらうのがいいんです。

脳の真ん中に行けば行くほど原始的なもの、例えば心臓を動かすとか呼吸を司るものがあって、外側に行けば行くほど理性的な部分があるというイメージです、あくまで。

この大脳皮質が前頭葉といって理性を司ることも含むんですが、人間が一番進化してるところです。
中心があって、中心に対して大脳が外側あるんです。
メロンパンみたいな感じです。
パンがあって、周りにクッキーの生地があるような感じ。
このクッキーの生地がすごく進化して分厚くなっているのが人間という感じです。

シワも増えて表面積が増えて、その上巻き込んでいます。
それだけ大脳皮質というのが進化している。

本能と理性?

扁桃体が本能と呼ばれるもので、大脳皮質だけが理性なのかというと、それもちょっと違うんです。

心という現象は、感情と記憶や学習の成果物が全部混ざった状態で起こる現象なので、どっちが自分の心でどっちが自分じゃないというのは、あまり意味がない議論です。
二つに分けた方がいいというのは古典的な考え方になります。

とは言いつつ、現代でも臨床的には有用です。
感情に支配されない方がいい、不安に負けない方がいい、快楽に溺れない方がいいと僕らはよく使うじゃないですか。日常用語として。
自分の中で感情を名付けることによって理知的に振る舞いやすいので、現代でも有効かなと思いますけど、実際の脳科学としては明確に分けるものじゃないよ、という感じです。

イメージとしては、扁桃体や大脳辺縁系に対して薬が効くというイメージです、基本的には。
ここら辺に薬がしっかり効いてあげるというイメージです。

じゃあ、大脳皮質にはどうすればいいのか。
情報を保存したり、保持したりとか作ったり、ネットワークを作っているところはどうしたらいいのかというと、精神療法が有効という感じです。学習ですね。
カウンセリングなどが有効だったりします。

薬だけでいいというわけではないし、かといってカウンセリングだけでもいいというわけにはいかないのはなぜかというと、両方に効かせてあげた方がいいからなんです。

発達障害の問題

昨今、発達障害がよく話題になっていたり問題のテーマになったりしますけれども、やはりこの情報ネットワーク、大脳皮質にある情報のネットワーク、記憶の処理の問題というのが混乱が多いから精神疾患になってるんじゃないか、問題が複雑になってるんじゃないか、という風に考えられることが増えてきているので、発達障害の問題が出てきているという感じです。

ただ普通に話を聞くだけとか、普通にトレーニングするだけだと上手く行かないというのが発達障害の特徴なので、どうやって全体的に情報を統合していくのか、情報を整理していくのか、というのが結構重要なポイントかなという気もします。

そもそも記憶とはどういうものかというと、図書館の本とか、空のビデオデッキに情報を入れておくようなものではないんです。

1回保存したらそのまま永遠に残るものではなく、たくさん情報があって時々出すというものではなく、記憶というのは断片になっていて、その断片をその都度出してきて再構成して提案する、というイメージの方が合っているんです。

どちらかというと、昔のインターネットの情報というイメージではないんです、脳の記憶って。
検索をかけて、どこかのサーバーに入っている情報を取ってくるということではなくて、どちらかというとChatGPTと似ています。
プールされているデータがあって、そこからちょこちょこ出して再構成されているというのが記憶のあり方、思い出のあり方のイメージに近いです。

ChatGPTと違うのはこの中の元々あるデータを強めたり、もしくはいらないものを捨てたり、そういうのを無意識でやっているという感じです。
ChatGPTは元データは変わらないと言われていますから、そこが違います。

基本的には脳はコスパがめちゃくちゃいいんです。
少ない情報でそれを組み合わせることで、たくさんの情報を生んでいるので、めっちゃコスパがいいです。

脳の神経細胞で全部は860億とか1000億個と言われます。
ChatGPTが抱えている最初のデータ量は5兆個と言ったりしますから、人間の方がもちろんChatGPTより賢いので、やれることが多いので、部分的には負けてますけど、全体としては勝っているという見方は多い。間違いも少ないし、だからやはりコスパがいいんです、覚えているデータ量の割には。
そういうコスパの良い機械という感じです。

逆に悩んでいる人たちはコスパが悪いんです。
情報の処理や覚えているものを引き出したり、応用させたり、それを組み合わせて新しいものを作るという力が弱かったりします。

そういうのが弱いということは、発達障害であったり、他の不安神経症の問題だったりするんだろうなというのがあります。
もちろん元々生まれつきの扁桃体や大脳辺縁系の不安定さというのも問題としてあるんだろうけれども、それだけではないんだろうなというのがあります。
でも相関関係があるので、大脳皮質の問題や扁桃体が影響を受け合うので、どっちが先かというわけじゃないんですけどね。

元々辺縁系を中心としたものに不安定さがあるから、上手く理性的に育たなかったというのもあるだろうし、大脳皮質が育たなかったということもあるだろうし、逆に大脳皮質のバランスが上手く行かなかったから扁桃体への影響があった、トラウマがあったから逆に高ストレスを感じていて、新皮質が不安定に育ってしまったなど色々あると思います。

僕はAI側

この話をしているときに、患者さんに驚かれたんですけど、僕はどちらかというとAI側なんです。
AI側というと賢いということですかという気がするけれども、賢くないんです。
僕はいつも言ってるんですけど、時々信じてくれない人がいるんですけど、僕はそんなに賢くないんです。賢くなかったんです。
本当に成績もそんなよくなかったって感じです。

毎回言っているんですけれど、それは益田先生天才なんじゃないですか、と言われる。
違うんですよ、本当に悪いんです。

つまり、たぶん勉強しないと僕はわからないことが多いんです。
1で10を知るみたいなタイプじゃなくて、不器用でよくわからないんです。
わからないから辛抱強く勉強していたというか、要領が悪いから要領がいい人の気持ちがよくわからなくて、逆に勉強することができたりしていたという感じなんです。

だんだんそれが年をとるごとに最初は開きがあったのが、だんだん知識が増えてきて追い抜いた、だからChatGPTみたいな感じで、本当に部分的には人間より賢いじゃないですか、それと同じで、僕も要領が悪いから色々なことを勉強したり、YouTubeを撮ったりしてる中で、だんだん色々なことがわかってきて情報が取れてきて、その結果、臨床も上手くなってきたという感じなんです。

僕が研修医のときは本当にロクでもなかったなと思います、要領悪いし、運動神経も悪いから。
本当にそんな感じでした。

でもやはり苦労した経験はすごく役に立ったんじゃないかなと思って、患者さんの気持ちはよくわかります。
もちろん、お前の苦労なんて俺たちに比べたら、と思うと思いますけどでも何かわかります。

逆に言ったら勉強していくとか、知識を身につけていくということが本当に治療効果を生みますので、すぐ身に付くものではないし時間がかかりますけれど、半年とか1年とか、そういう単位にはなりますけど、ゆっくり知識を身につけていけば人間の行動のパターンは限られているので、トラブルの量もどんどん減っていくと思います。くじけずにやってもらえたらなと思います。


2023.3.17

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