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摂食障害をゼロから学ぶ 

00:00 OP
00:32 摂食障害とは
01:40 認知の歪み
03:17 合併症
03:45 摂食障害の治療
05:33 治療のイメージ

本日は「摂食障害の治療」を解説します。

摂食障害、難しいですね。
治療といっても、なかなか一言では言い表せないんですけれども、どんな感じなのかを全体的に知ってもらえたらなと思い、今回動画に撮ります。
摂食障害入門という感じです。

摂食障害とは

摂食障害というのはどういう病気かというと、「痩せるしかない」という思いにとらわれている病気です。

強迫性障害みたいにずっとそれに支配されてる感じにも似ているし、依存症のように何度も過食嘔吐したり、不安が高まると過食嘔吐したり、食べ物のことで頭いっぱいになってしまうのとも似ている感じです。

とにかく食べ物や外見に頭が支配されてしまって、他のことは考えられない、日常が全てそれに支配されてしまう、というのが摂食障害の基本です。

拒食タイプみたいな形で全く食べられないタイプ、制限型と言われたりしますけど、そういうタイプもいれば、過食嘔吐するタイプもあります。
食べ吐き、チューイングというんですけど、食べてクチャクチャしてペッと吐き出す、飲み込まないタイプもいるし、色々なタイプの摂食障害があります。
もちろん過食症というのもありますけれど、それらをまとめて摂食障害と言ったりします。

認知の歪み

ボディイメージを中心とした認知の歪みがあるということが知られていて、所々個性といえば個性、変わった価値観と言えば変わった価値観、でもそれで収まりきらないだけの歪みというのがあります。

ここは難しいんだよね。
10代の子とか若い人も多かったりするんだけれども、「それって私の生き方でしょ? 私の自由な意見じゃない」と言ったりするんです。
「痩せてるのはいいでしょ」「私の自由にさせてよ」と言うんだけれども、自分という人間、自分の身体をどう労るのか、社会とどう付き合うのか、というのが何となくズレてしまってる。

でも「これは相性なんだ」「個人の自由なんだ」とか、そういう言葉でごまかされちゃう、回避されちゃうというか、そういうことも起きたりします。
そういう時は全然話がかみ合わなくて治療が進んでいかないんです。

もちろん自分が苦しんだ末にたどり着いたその人なりの結論であり、アイデンティティなので簡単に否定しちゃいけないんだけれども、そうは言っても、それだとたぶん生きていけないよねみたいな話になるんです。

そうすると「いや、私は生きていかなくてもいいんだんだ」とか色々言ったりしますけど、色々な歪みがあったりします。
さっき言った通り、嗜癖、依存行為にも似てるし、強迫行為のような感じでもあります。

合併症

摂食障害は合併症が多いです。
境界性パーソナリティー症、発達障害(ASD、ADHD、LD)との合併、あとは境界知能、精神発達遅滞(知的障害)の問題、うつ病、不安障害、回避性パーソナリティー障害、総合失調症など幅広く色々な疾患と合併したりします。

最近多いのは発達障害です。
発達障害的な傾向があって摂食障害になるパターンというのも珍しくないかなと思います。

摂食障害の治療

認知行動療法を中心とした精神療法が基本的な治療法です。
薬で治すものというよりは、少しずつ認知の歪みを取ってあげる、認識を変えていく。
低い自己肯定感を持ち上げつつ、自己肯定感を回復させながら現実を受け入れていく、ということになっていきます。

薬物治療というのは基本ではないんですけれども、やはり食欲が出ない、衝動性のコントロール、うつのコントロールとして、オランザピンを使うということが知られてます。
オランザピン以外だと治療成績はあまり良くなかったりします。
だからオランザピンがいいでしょうということになるかな。

あとは、痩せすぎている場合、急に食べるとリフィーディング症候群と言って、肺や心臓に水が溜まるみたいなことが起きてしまうので、今まで全く食べられなかった場合は入院して、徐々に栄養療法をする、栄養を増やしていくということが必要になります。

だいたい入院の目安はどれぐらいかというと、BMI22の0.7掛けぐらいから考えます。
平均体重、理想体重の70%以下から考える。60%を切ってくるとやはり入院を急がないといけないかなと色々考えたりします。

もちろん本人の急激な痩せ方、本人の体重、その時の社会環境、地域の医療体制とかにもよるんですけれども、7割を切ってくるとそこら辺も検討し始めるというところはあります。

治療のイメージ

治療のイメージとしては、地に足をつけるというか、平凡を受け入れる、平凡よりも少しちょっと弱い、少し地味な私を受け入れるというのが重要で、そのためには客観的な現実を通り抜けて地に足をつけるというのがイメージです。

やはり若い時になる病気、発症が10代、20代が多いので、アイデンティティ、社会とどう付き合うか、そういうところから含めた治療というのが求められるんじゃないかなと思います。それは中高年になっても一緒です。

家族との関係はどうだったのか、自分の大事にしている価値観とは何なのか、そういうことを色々考える、太っている人というのはどういう扱いを受けて、痩せていないとどうだったのか、そういう話もしつつ、落ち着くべきところに落ち着くのが大事なんじゃないかなと思います。

なかなか難しい病気ですけれども、食べるのは楽しいじゃないですか?
太ってたっていいじゃないか、みたいなことですよ。

摂食障害の人は優しいし、他に太っている人がいたときに、その人が嫌いかとか憎んでいるかとかダメだとか思っているかというと、そんなこともないんですよ。
自分だけを許せないというパターンなので、じゃあ周りの人と同じように自分も許してあげましょう、みたいなことになっていくかなと思います。

今回は、摂食障害の治療について解説しました。


2023.3.27

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