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ひきこもりをゼロから学ぶ

00:00 OP
00:55 ひきこもり
04:01 今のひきこもりの人たちの特徴

本日は「ひきこもりの治療」というテーマでお話しします。

ひきこもりといっても概念は広いです。
ひきこもりという状態であっても、家から出ないだけというパターンもあれば、自室から出ないというパターンもあるし、外出はするけれども社会には出ていかない、会社では働けない人も広義の意味でひきこもりと言ったりします。

ひきこもりと一言で言っても色々な病状があるんです。
そこら辺もお話しします。
そもそも精神疾患を合併していないひきこもりの人もいます。

ひきこもり

だいたい人口の1~2%ぐらいいるんじゃないかという風に言われて、どの年代にも多くいるということが知られてます。
だいたい70万人くらいいるんじゃないかと内閣の調べでは出ていますが、隠したりすることもあるから、それだけではないという感じです。

精神疾患をどれぐらい持っているかというのは、半数以上という例もあれば、75%くらいというのもあったりして、ちょっとわからないです。
診断する医師によるというか、どれぐらい正確に病状を語るかどうかわからなかったりもしますし、しっかり調査できていなかったりします。
全員が精神疾患ではないとは思いますが、でも合併してる可能性も高いよ、という感じです。

昔は統合失調症の慢性期の人がひきこもりなんじゃないかという風に考えられていましたが、最近ではそれだけじゃなくて、双極性障害の人、うつ病の人が遷延化しているとか、発達障害(ASD、ADHD、LD)の人、境界知能や知的障害の人、社交不安障害(SAD)、回避性パーソナリティー障害の人、アルコール依存、その他色々な疾患がベースにあるんじゃないかという風に考えられています。

僕自身もひきこもりというか、そういう人の治療をしています。
10代、20代の子、色々な人を見ていて、強いて挙げるならば社交不安、強いて言うならば発達障害というか、そういう人もいます。
ASDというかD(disorder)はつかないかな、そういう感じAS特性があるみたいな人もいます。

生い立ちにトラウマ、虐待の問題があったり、色々なパターンがあったりしますけれど、精神科の病名だけでは語りきれないものがあって、そこはひきこもりならではの特徴というか、特性だったり、心理的な要因があったりします。

生物学的な要素だけじゃなくて、社会的な要素というのもすごく影響しています。
昔だと恥や世間体を気にしてひきこもりになってしまうパターンもあるし、もう少し後だと就活に負けたとか勝ち負けの意識、出世できなかったという形でひきこもりになってしまうパターンもあります。

最近だと周りと上手くコミュニケーションを取れない、ゲーム依存みたいになってしまう、そして発達障害の問題も隠れてる(グレーゾーン)ということでひきこもりになってしまう、不登校からひきこもりになってしまう、社会に出た後ひきこもりになってしまう、というパターンもあったりするという感じです。

今のひきこもりの人たちの特徴

今はひきこもりを抜け出せる 人もいたするので、今のひきこもりの人たちの特徴はどんなことなのか、どういう人がひきこもりになりやすいのかという話をすると、やはり自分のプライドというか自尊心と、社会に慣らす社会順化のうまいバランスが取れないんです。

自己肯定感が低いから会社で頭を下げられない、ちょっと叱られたらくじけてしまう、自己肯定感が低いからこそ理想が高くなってしまう、俺はここまでやらなきゃいけない、ここまでやらないと人として認められないんだ、誰からも愛されないんだと思ってしまう、その悪いループにはまっているパターンもあります。

自分というものをどういう風に捉えたらいいかよく分からないし、社会というものをどう捉えたらいいか、社会の人はどれぐらい許してくれて、どれだけ許してくれないか、というのが距離感を取りにくいということがあります。

そしてひきこもってるゆえに、更に成功体験や失敗体験が少ないからこそ、より周りと差ができてしまうという形で社会に慣れていけないというのもあります。

次の要素として、効率よく仕事をこなせないタイプ、チームプレイで仕事をこなせないタイプはひきこもりになりやすかったりします。

あともう一個行きますけど、言語能力です。
コミュニケーション力が低いから、ひきこもりになってしまう。
上手く相手の気持ちに立つ、相手が欲しい言葉をかけられない、そういうのもあったりするし、作業が遅くて舌打ちされてしまう、そういうのもあったりします。

こういう話をすると発達障害の問題というのは今すごく取り上げられやすいというか、発達障害特性がある人はすごく生きづらい世の中になっているなという気はします。
こういう特徴があったりします。

自分のプライドと社会をどう理解していくのか、現実をどう理解していくのか、というところの兼ね合いを慎重にやっていくということが重要です。

かと言って本人の望む言葉をかけてあげても治療が進まない。
本人の願望や欲望を肯定しすぎてもいけないし、効率よく仕事をこなすために職業訓練をしていくことの必要性など、そういうこととか、素直な気持ちを言えればいいと思っているんだけれども、言えなくなった理由がある。

人間関係とかコミュニケーションには駆けひきの要素はどうしてもあるんです。
「素直な気持ちを言えるようになったらいいんですけれど、言えないんです」とよく言われるんだけど、素直な気持ちを言うだけだとやはりダメなんです。
そんなことを言ったらもう一言も喋れなくなるよ、と言われそうですけれども、でもそこだけじゃなくて、やはりプラスαもうちょっと交渉していく、相手の意見があったら自分の意見を引っ込める、時に押し返す、そういう要素も必要だったりするので、そういうことも話したりします。

とにかく人間とは何か、社会とは何か、それは自分も含めて他人の部分もある程度把握しないといけない、把握しておかないとすぐ潰れるので、社会とはこういうものであるみたいな理解というのは結構重要だなと思います。

今回は、ひきこもりの治療入門というテーマでお話しました。


2023.3.30

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