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精神科医目線で仏教をメンタルヘルスに応用する 

00:00 OP
02:18 仏教とは
04:07 マインドフルネス
07:14 幸福とは

ゴータマシッタールタに人生相談しながら、朝ごはんを食べる
https://youtu.be/eFR_XxbABzU

本日は「現代臨床と仏教哲学」というテーマでお話しします。

これは元ネタがあって、セカチャンの方なんですけれども、ChatGPTと仏教の話をしていたんです。
そこで盛り上がったので、それを動画にしてみようかなと思います。
(この動画は「実存主義療法」の回より前に撮影しています)

宗教的な概念、哲学、そういうものと僕らがやっている臨床というのは別のものという風に考えてしまう患者さんは多いです。
でも実際は別物ではなくて、繋がっていること、同じようなものを言ってたりすることはあります。

様々な信仰を持っている患者さんがいて、日本ではそんなに出てくることはないですが、でもやはり、患者さんの心や悩みを解決していく中で、そういうスピリチュアルなものというか、心のコアみたいなものを扱わなきゃいけなかったりするので、知識としては結構知っています。
知らなかったら教えてくれますし、患者さんが。
そういうことも臨床では扱います。

僕らは日本人なので、仏教的な考え方や概念に馴染んでいる人が多いですよね。
今回は仏教の教えの中で精神科に関係することを扱ってみます。

仏教の考え方というのは今、臨床の中で取り込まれているんです。
認知行動療法の第三世代と呼ばれるものには結構盛り込まれています。

仏教とは

仏教はどういうものかというと、ゴータマ・シッダールタ(ブッダ)という人が作ったとされています。正式な名前、本名はゴータマ・シッダールタという人です。
王族だったんです。
王族の人だったんだけれども、その身分を捨ててその当時の宗教的なものに入り、35歳のときに独立して自分の教えを広めていった、という感じです。

その時は紀元前七世紀ぐらいでどういう時代だったのかというと、当時の北インドは農村から都市文化ができあがってきた時期だったんです。

農村カルチャーから都市になってきて、都市になったということで今までの価値観が変わってきていたという時期です。
身分制度ができつつあるところだった。

そして、儀式が中心だったんです。
当時は儀式や修業が中心だったんだけれども、そこから「もっと合理的になっていこうよ」と、哲学的な形に思想をブラッシュアップしたというのが、ゴータマ・シッダールタがやったことなのかなと、現代人の僕らが宗教的なものを抜きに見るとそういう風に見えてしまうというか、認識できるのかなという気がします。
これはこんな言い方をしていいのかどうかアレですが、まあそういう見方もあるかなという気がします。

マインドフルネス

ゴータマ・シッダールタやその後の教えも色々加わってますけど、二千七、八百年ぐらい前の教えがブラッシュアップされて、どういう風にしなさいと言っているかというと、僕ら、悩みがある人たちはどういう風に生きるのが良いのかということを教えてくれています。

ざっくりまとめると、こんな感じです。
まず、瞑想しなさい、ということですね。

瞑想というのは大事なんです、マインドフルネス。
こうやって静かな場所で鼻から吸って口から吐く。
瞑想をしながら、自分の心の中のざわめきを鎮静化させていきましょうということです。

その中で自己認識や自己受容に務めていきましょう。自分のことを理解していこう、自分のことを受け入れていこうということです。
そして、煩悩から解放されることを目指しましょう、ということです。
自分のことをよく知って自分を受け入れて、弱い心、欲望にまみれるようなこと、何かしたい、人を恨みたい、欲しい、そういう煩悩からの解放を目指しましょうということです。

そして慈愛ですね。
他人の立場で考える、相手のことを思いやる気持ちを持ちましょう、自分と相手を分けるんじゃなくて、自分と他人は違う人なんだでなくて、自分と他人というのは同じ仲間なんだよ、だから他人も自分のように助けていこうよ、という慈愛の精神が大事だよ、と。

そして無常と諦観です。
世の中というのは無常なんです。
常に変わり続けて同じものはないんです。永遠のものはない、という考えです。
無常で変化していく。

そして空です。
物事の本質というものは空である。
変化していくし、その物事の本質というものさえないんだ、ということです。

そういうことを受け入れて、そして諦観です。
どうしようもないものってあるわけです。
世の中が変わっていくということの苦しみ、僕らは生まれてきたという苦しみですね。
生まれてきたということは、これから色々なものを体験していかなきゃいけない。
色々な別れや苦しみを体験していかなきゃいけない、そういうことを受け入れる。
病気になっていくということを受け入れていく。
老いるということを受け入れる。
そしていつかは死ぬということを受け入れる諦観がとても重要だと言われたりします。

あとは八正道ですね。
正しいことをしなさい、道徳的なことをしなさい、ということです。

幸福とは何か、不安な状況や精神が乱れているときにどういう風にやっていけばいいのか、という教えです。

幸福とは

教えとしては幸福を目指しなさい。
幸福とは何かというと、美食や贅沢、名誉を追い求めるのではなくて、そういうものは一時的な快楽、その瞬間はいいんだけど、中長期的な幸福をもたらさないんです。
ではなく不安から解放され、慈愛の心でいられることが本当の幸せなんだよ、ということを教えてくれた、それを目指しなさいということです。

給料を増やすとかありますよね、心理学の実験でも。
給料が増えたら幸福度が上がるのか、みたいな。
そんなに上がらないんですよね、年収いくら云々ぐらいまでは。

本当の幸福ってそういうものじゃないんです。
何かを達成するとか名誉があるとかではないんですよね。
そうじゃなくて、不安から解放されて、自己実現ができて、他人から差別されず、自分に自信を持てること、そして誰かのために何かができること、社会との繋がりを持てること、慈愛の心でいられること、というのが幸福なんですよね。
そういう教えですね。

マインドフルネスをしつつ、今の日常、今の瞬間、この瞬間に集中していく、未来のことを憂うとか変化していくことを憂うんじゃなくて、今この瞬間に集中していくということが重要だと言うことです。
こういうことのようですね。
なるほどなと思いますね。

今の瞬間に集中して、先のことはわからないし、慈愛の心を持って程々の諦観を持つということです。

僕は結構仏教的な考え方が好きなので、よくこういうことを考えます。
だからゴータマ・シッダールタは35歳ですから、ゴータマ・シッダールタより僕の方が年上なので、そして僕らはゴータマ・シッダールタの教えよりも後の教えも知りつつ、現代的な他の教えや他の学問も知り、精神医学や科学を知っているので、こう言ったら怒られるかもしれないですけど、ゴータマ・シッダールタより僕の方がよく知っていることが多いかもしれないですね。

彼がどんなことを、どんな臨床ですよね、どんな人の悩みをどういう風に聞いたのかなといろいろ想像しながら、こういう結論にたどり着いたというのはすごいなと色々思っています。おもしろい。

一人で考えたというよりは色々な人の教えとか、色々なものを受け入れながら作ってきた概念なんでしょうけど。結構身近な存在として考えます。
年齢も上になってくると、上というかまだ若いですけど、僕もそんな感じのことを思ったりするかな、という感じです。

案外仏教の教えは知らない人も多いと思うので、こういうことも知ってもらうと、うつや不安、発達障害の問題、人間の悩みなど解決していくと思いますので、良いきっかけだと思うので勉強してもらったらいいかなと思います。


2023.4.8

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