正解ナシ? 歌舞伎町タワー「ジェンダーレストイレ」炎上で露呈したLGBTQ対応インフラの難しさ=今市太郎 | マネーボイス
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本日は「ジェンダーレストイレ」の話題がネットで取り上げられていたので、この話をしようかなと思います。
4月の中頃に新宿の歌舞伎町に歌舞伎町タワーというのができたんですよ。
歌舞伎町タワーのトイレが「ジェンダーレストイレ」という形で、男女関係なく使えるトイレになっているんですね。
全部個室でね、そういうことみたいです。
ニュースを見ると、一部男性用の小便用のトイレもあるのですが、大便用のトイレは全室個室でジェンダーレストイレになっているということのようです。
そもそもこれは何のために作ったかというと、LGBTQに配慮して作られているんですよね。
LGBTQの人たちで男性トイレに行くのに抵抗があるとか、女性トイレに抵抗があるという人たちがいるので、こういう人たちに配慮してジェンダーレストイレにしているということです。
LGBTQの人たちは1割くらいいますから、決してマイノリティじゃないんですよ。
こういう人たちに配慮してジェンダーレストイレにしているということです。
また個室にすることで、親子連れだったり、小さい子どもがいる時に使いやすかったり、介護もしやすかったりもします。
介護をする人や世話をする親が同性だったり異性だったりするので、そこの混乱を防ぐためにジェンダーレストイレはいいということなんです。
問題が起きている
ただね、こういう大義名分はあるんですけど、実際問題が起きていると。
それは何かというと「パパ活」の現場になったりするんですね。
男女が入ってオーラルセックスをすることで金銭のやりとりをしていたりする。
あとは痴漢・盗撮の危険性があるんじゃないかみたいなことも言われてました。
その結果、怖いからやめてほしいとネット上で声が上がっていて、炎上みたいになっていますね。
こんなのやめてくれという大多数の意見と、僕らの権利はどうなるんだというところと。
こういうことがあって、炎上みたいになっていたようです。
背景にある問題
精神科医目線で少しだけ話すと、そもそもパパ活がなぜ起きているかというと、社会的な背景としては貧困の問題がありますよね。
女の子たちがお金を儲けて遊びたいぜみたいなのか、そういう子もいるかもしれないけれど、そうじゃなくてやはりお金がないから学費を稼ぐためにそういう活動をせざる得ない子たちもいるわけですよね。
もう一個背景には、過度な競争社会だったりする。
SNSで承認が欲しいからブランド品が欲しいとか、いろんな要素が絡んだりしますけど、そういう貧困の問題。
そして痴漢や盗撮をしてしまう人たちには、性依存症やそういう病気の問題があったりします。
また虐待を受けていて、そういう方向になってしまったとか。
性依存症の背景にはさらに他のメンタル的な問題だったり、環境要因だったり不幸があったりするんです。
だからここは、当事者たちが悪いかというと決してそれだけじゃなくて、その背景にある問題やメンタルヘルスの問題もあったりしますね。
貧困やメンタルヘルスの問題があるから、パパ活や痴漢・盗撮の問題が起きているのに、なぜ貧困やメンタルヘルスの問題が見えてこないのか。
結局、やめてほしい人とLGBTQの争いをあざ笑うというか、そういう風な形になっている。
そこの炎上だけの問題になっているんですよね。
それは結局、無知なんですよね。
LGBTQの人たちもいるだろうということをわかっていないんだこいつらは、という無知を笑うような成功者や大衆がいるとして、だけどやめてほしい人の中に含まれているPTSDの問題は見えていないんだよね。
意識高いことを言ってるんだけど、現実は見えてない。
かといって、パパ活や痴漢・盗撮をやっている人たちも、結局はLGBTQの人たちのことをないがしろにしているわけですよね。
彼らの権利を、こういうことをすることによって侵害しているわけだから。
だから社会の分断が起きているということなんだろうなとは思いますね。
結局わかりやすい形で大多数とLGBTQを対立させたり、パパ活とやめてほしい人を対立させたりいろいろしますけど、あざ笑う人とやめてほしい人を対立させたりしますけどね。
問題はそうじゃないんだよということですよね。
全体像を捉えていくことはとても重要だし、分断ではなくひとつひとつのパートのところがちょっとずつ近寄っていくことがとても重要だと思います。
ジェンダーレストイレというものがあることによってこういう議論が出てきているわけですから、この議論をもとに全体像を理解してもらえたらなと思います。
と言ってもね、僕が全体像と言っただけで、もっと俯瞰的な立場から見たら、益田これ抜けてるぞとかあるとは思うんですけどね。
今回は、ジェンダーレストイレの炎上問題について精神科医目線で解説してみました。
社会問題・現代精神医学
2023.5.13