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強迫性障害のケーススタディ

00:00 OP
00:39 ケース紹介
04:45 治療

本日は「強迫性障害の治療」をケーススタディー(創作)として扱ってみようと思います。

25歳男性のエンジニアの人ですね。
どういう形で治療につながって、どういう風に良くなっていったのかを、創作なんですがイメージしやすいようにお話ししていけたらと思います。

ケース紹介

A君ですね。A君は今25歳で妹さんがいて、妹さんは大学生。
父親が58歳で母親が50歳。父親は会社員で部長みたいなイメージかな。母親はパートをやっている。
4人で暮らしている。

A君は子どもの頃からこだわりが強かった。自分でしっかりやりたいみたいなね。頑固な子どもだったみたいですね。
友達づきあいもやりつつ、でも一人でいることが好きだったりとか、家でブロックをしたりとか、プラモデルを作るのが好きな子どもだったようですです。

中高時代から自分の見た目や髪型、部屋の掃除に対して凄くこだわるようになって、それがぴたっと決まってないと嫌なんだよね。
物の配置がちょっと変わるとすぐに気付いてお母さんを怒ったり、髪の毛が決まらなかったりすると学校に行かないとか。
遅刻すると思うとすごく焦っちゃうみたいな子どもだったみたいです。

それでだんだん汚れが気になるようになってくるんですね。臭いとか。
すごく手をよく洗うようになっていった。
自分の部屋をピカピカにしていないと気が済まないみたいになっていくんですね。

学校から帰るとすぐ着替えるみたいな形で、汚れたものが嫌。
家族が部屋に入ってくるとすごく怒る。
母親のことを怒鳴りつけてしまう。

ある時、父親からめちゃくちゃ怒られるんですよ。
お前何なんだとか、そんなにこだわるなとか言って。

ある種の清潔強迫とか、自分のこだわりみたいなもの。これは後に強迫症状とわかるんですけど、父親はわからないので、彼のわがままだと思っちゃうんですね。
だから壮絶な大げんかになる。

殴り合いの大げんかになって、それ以来、父親と長男は口をきかなくなってご飯を食べる時間も別々みたいな感じになっちゃう。
母親と妹が二人の間を取り持ったりとか、母親が気を遣ってお父さんこう言ってたよとか、A君は大学行きたいみたいよ、みたいな形でやり取りしたりとかしている。

母親と妹も彼の部屋に入る前はアルコール消毒をしないと部屋に入れないとか、そういう形になっていったということです。
巻き込まれちゃっているわけですね。
強迫症状に合わせている。

ただ、これは自分でもおかしいなということに気づいていて、母親に精神科に行ってみたらと言われるんですね。それで精神科を受診になったという感じですね。

外出困難というわけではないんだけれども、家にいるのが好きで、家から帰ってきた後は念入りに手を洗ったり、お風呂に入ったりするようなタイプですね。

大学も卒業しているし、仕事も就いてるけれど、ぎりぎり社会適応は保たれているというケースになるかなと思います。
強迫性障害は病気が重い人が結構います。
こういうケースだと巻き込んじゃたり、手洗いとか多いんだけども軽い方という感じかなかもしれないですね。

治療

精神科受診になって強迫性障害と診断されて、まずは生活リズムが乱れていることに気がついたんですね。
どうしても一人の部屋で過ごすことが多くて、音楽を聴いたり、ゲームをする時間が唯一リラックスできる時間だからついつい長くなっちゃうんだけども、それをやめて規則正しい生活を送りましょうよという話をします。

それができるようになってきてから、だんだん認知行動療法を導入していくという感じです。
特に曝露療法を中心にやっていくということをしていきます。
認知行動療法は病気の説明をしたり、ストレスが溜まると手を洗うと一瞬リラックスするんだけども、また不安が高まると手を洗いたくなっちゃうみたいなね。
そういうメカニズムを説明するんだけども、これだけでぴったり良くなるかというと、そういうわけではない。

薬物療法ですね。抗うつ薬SSRIを中心とした薬物治療をしたり。
一人でいる時間が多いので、誤った知識で支配されていることが多いんですね。
手洗いというのは、そもそもどういうやり方が正しいのか。彼は時間が大事だと思っているんだけども、時間じゃなく隙間をしっかり洗うのが大事なんだよとかね。

水と擦ることでだいぶ落ちるんだけど、細菌、ウイルスは落ちるけど、油汚れはなかなか落ちないので、石鹸を使うと落ちるんだよ。
油がたまりやすい手のシワが大事なんだよとかオペ室でもこうやって洗っているんだよとか、そういう説明をするんですね。

あとは汗は汚くないんだよとか、そういう話をしたりして、他の人はこうなんだよとか、そういうことをしていく中で、みんな言わないだけじゃなくて、こんな感じなんだということを外来で知りながら、だんだん症状が緩和されていくイメージですね。

彼の場合は強迫障害プラスまあ、ある種の社会的ひきこもり、社交不安障害的な要素もあったので、外来の中の人間関係を通じて、それが社会との接点になって、父親以外の男性、僕だったらね、男性と喋ることでいろいろなことを身につけたり、普通の男の子ってこんな気持ちになるんだなと知ったりして自己肯定感が回復していって強迫症状が軽くなっていくというケースという感じですね。

年齢も結構良くて20代中盤だったので、だんだん良くなっていくんですよ。
20代前半まではまだまだ脳が成長しきっていないので、不安に支配されやすいんだけれども、年を取ってくると理性の力が強くなってきて、不安を感じにくくなるんですよね。
そういうのも重なって良くなっていったという感じですね。

後は病気の説明をしたことで、ああやっぱり病気だったのかと両親の理解も得て、家族の仲も緩和して家族の緊張感がほぐれてきたことで、強迫症状は軽くなってきたとかそういう形ですね。

強迫症状が出てきて、薬も大事だし、認知行動療法も大事なんですけれども、認知行動療法を通じて正しい知識を得るってことも大事なんだけども、周辺のことをやっていく。
家族の中にある緊張感をほぐしてあげるとか、そういうのも神経症的な治療には大事かなと思います。

ストレスが溜まると強迫症状は悪化してしまうので、彼のストレスの原因はどんなものなのかとかね。自立の問題なのかとか、そういうのも同じように解決していくと良くなっていくという形かなと思います。

障害のもっと詳しい説明や治療法とかは他の動画でも喋っているので、今回はどういう流れなのかをざっくり解説しました。
もし良かったら他の動画も見てください。


2023.6.5

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