東西線「早稲田駅」徒歩1分。夜間・土曜も診療。心療内科・精神科。自立支援対応

WEB予約はこちら

再診患者専用

03-6233-9538

予約制:木・日・祝休診

0362339538
初診WEB予約

  

再診患者専用TEL

03-6233-9538

寿命が不平等であることは救いか?

00:00 OP
00:56 寿命は不平等
03:06 羨ましいもの
04:54 寿命がもし平等だったら?

本日は「死の不可避、寿命の不平等」というテーマでお話ししようと思います。

毎週日曜日は「死」をテーマに、色々な角度から皆さんとディスカッションしたいと思って動画を撮っています。
こういう動画を撮ることで、生きる意味や人生の価値を知ってもらったり、常識を疑う習慣を身に付けたり、何より自死を検討している方に思いとどまってもらいたいと思います。

寿命は不平等

死ぬということは避けられないですね。それはみんなそうです。
自分もそうだし、自分の親もそうだし、自分の子供たちもそうですね。
それが早いか遅いかだけの違いで、皆死ぬ。

人類全体の時間の中で早い人もいれば遅い人もいるし、一人の人生の中でも長い人生を送る人もいれば、短い人生を送る人もいる。
寿命が不平等だからですね。これはまあ当たり前と言えば当たり前なんですけど、意外と吟味したことないテーマなんじゃないかなと思います。

寿命が不平等であるということは、羨ましいとかずるいという話題になりますかということですよね。
あの人長寿だから羨ましいなとか、あの人長生きだから羨ましいなとか、あの人は早く亡くなっちゃったからかわいそうだなとかあるかなと思います。
ですが案外、長寿というのは現代においては欲望の対象、羨ましい対象にはなりにくいのかなと思います。

寿命が延びてきていますし、認知症になりますからね。長生きすれば。
90歳まで生きたらだいたい男性も女性も半分くらいは認知症になります。それを延ばすことはなかなか難しいんじゃないかなと思います。
わからないですよ。新しい薬ができたら変わるかもしれないけれども、神経細胞の限界というのもあるので、90歳くらいになったら認知症の人がどんどん増えてしまう。
だから100歳まで生きたらほとんどの人が認知症になる。

でも逆に、認知症になるまで生きられるようになってきているということです。現代において長寿はある種当たり前になってきているし、対象にはなりにくくなっているのかもしれない。

羨ましいもの

どちらかというと、羨ましいとかずるいと言えば、「若さ」ですよね。
あとは「お金」、お金持ちは羨ましいとかずるいとか。
「才能」がある人、頭が良い人、運動神経がいい人、何かの才能がある人は羨ましい、コンテストで1位になった人は羨ましいとか。
あと美ですね。美しいことは羨ましいというのもあるかなと思います。

長寿というのはある種の結果なんですけど、これらは結果というよりは可能性なんですよね。
だから可能性に関しては羨ましいとかずるいと思うみたいです。そういうことの方がずるいと思う人が多いんじゃないかなと思います。

逆にお金持ちを羨ましいと思うけれども、別荘とかこれを持っているから羨ましいですかとか、すごく具体的に言われたら「うーん」と思うと思います。
「明日からファーストクラスでイギリスまで行けます。羨ましいですか?」と。
いや俺、そこ行くよりもファーストクラスに乗るよりも、家でダラダラしたいな、ゲームしたいなと思う人も多いと思いますね。

でもイギリスまでのファーストクラスに乗るお金は欲しいですか、羨ましいですかと言われたら、欲しい人は多いんじゃないかなと思います。
だから色々なことをみんな考えるんですけど、案外寿命の不平等性にはずるいとか羨ましいと思いにくいのかなと思います。

若いとか早く成功した人は羨むのに、もっと自分が長生きして後から成功すればいいやと思える人は少ないなということです。
これも何か面白い着眼点だなと思います。

寿命がもし平等だったら?

あとは、寿命がもし平等だったらということです。
寿命がもし平等だったら、自分の死ぬ日がわかるんですね。

完璧な平等ということは、皆80歳で死ぬ、皆90歳で死ぬとわかっていれば平等。
自分も90歳で死ぬわけですよ。
寿命が不平等だから自分がいつ死ぬかわからないんですけれど、もし平等だったらいつ死ぬかわかるわけですね。

自分が死ぬ日がわかるということは嬉しいのか良いことなのか、ということですよね。
それを考えてみた時に、僕はSF小説、カズオイシグロが書いた「私を離さないで」という小説のことを思い出します。

これはクローン人間たちの話なんです。
臓器移植目的で作られたクローン人間たちが青春を過ごし、臓器移植のために寿命を早目に終えて死に向かっていく。それを描いた小説なんですけれど、面白いですね。
その時の描写とか、心のあり方はわりと丁寧に描いています。
介護うつっぽい話にもなるんですけど、なるほどうーんと思ったりします。

自分の死ぬ日を知りたいかというと難しいなと思います。
僕自身はどう考えてるかというと、75歳までは働いて85歳には亡くなるというちょっと長めの人生設計を立てているんですけど、まあそうかなと思いますね。

だから75歳まで働くから、あと30年ちょっとありますね。
YouTubeあと何年?という感じもします。いつ死ぬかわからないですけどね。

こういうことを考えてみると面白いですよね。
なぜ死は避けられないのか、なぜ寿命は不平等なのかとか、若くして死んでしまった友人のこと、長く生きた人、長く生きなかったパートナーの人、色々考えたりしますよね。

そう考えると、人間の人生や心はやはり不思議だなと思いますし、同時にこの不思議さゆえに価値があることを想像できるんじゃないかなと思います。
こういう時間ですよね。こういうことをぼんやり考えたりする時間が大事だなと思いますし、日曜日にやりたいことだったりします。

色々な観点からこの議題を皆さんにも考えてもらって、コメント欄でディスカッションしてもらえたらと思います。

今回は、死の不可避および寿命の不平等性というテーマであれこれ語ってみました。


2023.7.9

© 2018 早稲田メンタルクリニック All Rights Reserved.