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ひきこもりを解決

00:00 OP
01:18 親の教育
05:39 うつ病では?
07:33 薬漬けにされる?
09:04 居場所
10:35 働けない人の存在

本日は「ひきこもりを解決」というテーマでお話ししようと思います。

毎週土曜日は現代社会の問題を取り上げて、精神科医目線でお話ししているんですけれども、今回はひきこもりの問題をどう解決していけばいいのかをちょっと自分なりに再考してみました。

この動画を撮るにあたって、YouTubeでアンケートに答えてもらって、コメント欄でひきこもりの時の体験も聞きました。

不登校経験がある人多いですね、ひきこもりの人は。
不登校があって、その後大人になってからひきこもりになってしまったという人がありますね。
不登校があって学校へ復帰したけれども、大人になってから働き始めて潰れちゃったとか、そういう人は結構多いかなと思います。

親の教育

どうすればこの問題は解決するのかを精神科医目線で考えてみようと思います。

まず親の教育も重要じゃないかなと思いますね。
不登校の人やひきこもりになった人で良くなった人たちは親が変わったから良かったとか、親がうまくサポートしてくれたから復帰できたという人が多いんですよね。

逆に何でひきこもりになってしまったのかとか、何で苦しかったかというと、これも親の原因が多かったりします。
親が全然理解してくれなかったとか、親に情けないと言われたとか、親がいつまでも頑張れ頑張れと言うからそれが逆にプレッシャーだったとかというコメントが多いです。

だから親の対応を変えた方がいいというのはやっぱり思いましたね。
親の対応を考えた方がいい。
親がきちんとひきこもりとはどういうものなのか、それは精神科医目線でどういうものなのか、そして心理学的な理解があれば、どういう対応をするのが正しいのかがわかるはずなので、その教育をする必要があるなと思いました。

必ずしも育て方が悪いということではないとは思いますけどね。
育て方が悪いパターンもありますけど、教育的虐待や普通の虐待みたいなパターンもあるけれども、不適切な行動を取り続けることが多いんですよね。
だからきちんと脳というのはどういうものなのかを理解してもらう。正しい脳の理解ですよね。

人間の心は脳なので、脳のメカニズムを知った上で対応した方がいいわけですよね。
発達障害みたいなものもあるし、人によって脳の特性が違うので、そういうニューロダイバーシティな理解も必要です。
そして昭和的な勝負の理論で支配されてしまって、別の角度から教育を考えたり、人の人生を捉えることができないんですね。

学歴が良くないと、良い会社に入らないと、人生は負け組なんだ、幸せになれないんだという風な単純な思い込み、単純な理解しかなかったりするわけです。社会に対して。
社会や幸せとか思想に対する貧困なイメージしかないので、そこもきちんとポストモダンの理解とかポスト構造主義の理解も必要かなと思いますね。
そういう教育はとても重要かなと思います。

あとですね、10代の脳の特性も理解する必要があります。
10代というのはどういうものなのか。脳というのは特殊なんですよね、10代の脳みそはそれ以前の脳とも違うし、大人の脳みそとも違うんですよね。

感じ方も違うし、対応の仕方も違うし、どうしようもない本能的なものとか、傷つきやすさとか色々ある。
その10代の脳の特性も理解した上で対応した方がいいですね。

暴れるからといって抑えつけ過ぎてしまうと潰れてしまうし、かといって本人の自由のままにさせると潰れちゃう。
デリケートなものなので、デリケートに育ててあげなきゃいけないということですよね。

あとは学校だけが居場所ではないので、10代の居場所もしっかり行政とかとタッグを組んで作っていく必要があるんだろうなと思いました。

あともう1個あるのは、10代の脳の研究も大事ですよね。
研究も全然進んでいないし、精神医学と教育学を合わせたような理解や研究も重要なんですけども、それも進んでいないって感じですよね。
こういうのも大事かなと思います。

あとはスクールカウンセラーですね。
スクールカウンセラーが単独で存在してやっている、臨床家目線で言うと。
スクールカウンセラーの人たちが卒後教育をきちんと十分受けられてないとか、スクールカウンセラー同士の連携がうまくできていなかったりするので、そこも問題があるなと思います。

卒後教育や卒後の連携するやり方や、スクールカウンセラー同士が問題を共有してガイドラインを作っていくとか、教育委員会と一緒に考えていくというか、そういうものがないので、そこも問題があるなという気がします。

うつ病では?

起立性調節障害が原因で不登校になりましたという人もいるんですけど、それはそもそもうつ病なんじゃないかなと思いました。コメント欄を読んでいると。
それって普通に子供のうつ病なんじゃないのと思いました。

うつ病の人に頑張れと言ってはいけないって常識じゃないですか。
なのに親は子供のうつ病に対しては頑張れと言っていたりするので、それ逆効果ですよね。

ひきこもりの人たちを精神医学の言葉で捉え直していくとか、診断していくカルチャーがなさすぎて問題があるんじゃないかなという気がしました。

あとは統合失調症、躁うつ病、不安障害、トラウマの問題とか色々あったりするので、単純にひきこもりとして一つの言葉でまとめるのではなくて、色々な病気がありますから。
その病気に合わせた治療法や対応策があるので、受診してもらうのが大事だと思います。

精神医学の偏見は百害あって一利なしですよね。
本人も嫌がるかもしれないし、親御さんも嫌がってるのかもしれないしわからないですけど、とにかく偏見なくきちんと受診して、今の問題は何かを判断してもらうことはとても重要じゃないかなという気がします。

だから起立性調節障害と診断されてしまうのは、結局精神科につながってないからですよね。内科とかそっちの方で診断されているから、そういう言葉になってしまっているのかなと思ったりしますね。
起立性調節障害は日本以外では使わないですからね。この用語は。
海外だったら普通に子供のうつ病と診断されているわけですから。

薬漬けにされる?

精神科に行って薬漬けにされてしまうと思う人が多いんですけれども、そして医師側も問題があって、薬物治療の対象にならない人は精神科の病気ではないよみたいに思っているかもしれないですけど、薬を処方しない精神科の治療もありますよね。
だから薬がメインじゃない精神科の治療が必要な人もいるわけですよね。
カウンセリングということですよね。

脳科学の知識とか色々な知識があった上で、精神医学的な知識があった上で、薬をメインにするのではなく、適切な対応をしていくということですよね。
必ずしも薬だけで治療していくわけではありません。

医師側も薬を使わない治療もちゃんとやっていかなければいけないんだけども、どうしてもそれができてないですよね。処方しない診療です。

薬を出すのではなくてカウンセリングとかアドバイスを治療の中でしていく。それを堂々とやっていく。
薬を出さなくても、自分たちが誇りを持ってやるということが大事なんだけども、どうしてもできていないんじゃないかなと思います。

居場所

あとは居場所ですよね。

学校以外の居場所がない、会社以外の居場所がないということに問題があったりするんですよね。それも考えていく必要があるんだろうなとは思います。社会全体として。

でもすでにあったりもするわけですよね。
「いやいや、俺たちのことは放っておいてくれ」と思っている人たちもいっぱいいるんですよね、ひきこもりの人たちって。

「社会とか親が許してくれて、時々集まる場所があればOKです。あとは生活保護でもいいんですよ。そんなお金を使わないし僕ら」みたいな意見も結構多かったです。
確かにガッツリやるっていうよりは、今の状況にプラスアルファ足りないものを足していくというのもsいいのかなと思います。

きちんと理解していく、社会全体に僕らが持っている知識、ひきこもっているけれども、その原因はうつ病だからなんじゃないかとか、統合失調症とか躁うつ病があるからじゃないかとか。
原因があるわけですよね。
それは親子問題が、だけじゃなくてやはりプラスアルファ、もうちょっと深く入っていくと、脳科学的に考えるとこういう病気なんだろうなとか、こういう状態なんだろうなというのがあるわけですから。
それも理解した上で偏見なくやってもらうのがいいんじゃないかなと思いますね。

働けない人たちの存在

社会構造上、働けない人たちというのは存在するわけですね。今後も存在すると思います。
むしろ増えていく可能性があります。
ロボットが進化して、人間の代わりに労働する、AIが進化して、人間の代わりに労働していく。そうすると、ロボット以上に働ける人、AI以上に働ける人じゃないと経営者が雇う意味がないですから、そうなるとあぶれちゃう人は増えていく可能性があります。

今はひきこもりの人は140万人ぐらい人口の1%ぐらいなんだけども、これが2%に変わる可能性だってあるわけです。
精神疾患がある人は400万人くらいいて、それだって増えていくかもしれない。
そういう中でどういう生き方が幸せなのかも思想として考えていく、社会として考えていくことは重要じゃないかなと思います。

とにかくひきこもりは精神科医目線でいうと、重度のうつ病ということなんですよね。
重度のうつ病、重度の躁うつ病、重度の統合失調症、重度の不安障害だったりします。
回復したんだけれども、なかなかリハビリがうまくいかない、復帰が困難になってしまっている。
その結果再発しているという状況が多いんですよ。実際、臨床で見ていると。

うつ病にプラスして親子問題があったりして重症化していたりすることが多いので、単純にひきこもりは誰でもなるから、誰でもある状態なんだではなくて、もう一歩踏み込んでいく。
そもそも精神疾患だって誰でもなるんですから。
踏み込んで、脳科学的な見地から今の状態像を理解してもらうのはとても大事なんじゃないかなと思います。

今回は、ひきこもりを解決というテーマで動画を撮りました。


2023.7.29

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