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宮本武蔵から美意識を学ぶ

00:00 OP
02:30 武道文化
04:27 集団訓練の禁止
05:40 五輪書、枯木鳴鵙図

本日は「宮本武蔵」を取り上げてみようと思います。

毎週金曜日は思想、哲学、倫理に関することをやっています。
7月から日本の美学というテーマで、最初は平安時代初期に活躍した紀貫之、平安時代後期から鎌倉時代初期に活躍した西行、次に室町時代に活躍した世阿弥、次に戦国時代に活躍した千利休を取り上げました。
幽玄から侘び寂びに移っていく。その中で、禅、Appleのスティーブ・ジョブズに影響を与えた禅のことも取り上げたりしたんですけれども、今回は宮本武蔵です。

宮本武蔵は、戦国時代の終わりから江戸時代初期に活躍した武芸者なんですね。
客分としていろいろな大名に仕えた人です。
日本の武道文化と独自性を発展させた人物の一人です。

日本は侘び寂びの国でもあるんだけれども、一方で武士の国ですよね。
武士という身分の人たちが持つ美意識は、どういう風に確立されていったのかというと、戦国時代から江戸時代初期にかけて確立されていったということです。
宮本武蔵だけじゃなくて柳生家とか色々いるんですけども、有名どころということで宮本武蔵を取り上げました。

江戸幕府に近いとより儒教文化が強くなっていくので、いわゆる武士道というか、僕らが好きな武士道は宮本武蔵とか、そこから発展した歌舞伎の世界で活躍した宮本武蔵なのかなという気もします。

武道文化

日本の武道はちょっと特殊なんですよね。
日本の武道は他の国にはなくて、宗教がない国の中で芽生えた美学というか、追求した美学なんですよね。

豊臣秀吉が刀狩りをして農民達から武器を奪ったんですよ。
戦国時代は別に誰が戦っても良かったわけですよね。豊臣秀吉自体が武士階級出身ではなくて農民上がりですからね。
そして士農工商という身分制度も確立させていったという時代背景があります。江戸時代に入っていき。

そういう中で武士とはどういうものなのかを考えていったということです。
これまでの話を聞いていくと面白いと思うんですよ。
元々日本の美学は貴族のものですよね。貴族のもので、しかも中国からの文化、漢文のカウンターカルチャーとして平仮名を作って歌の文化が栄えた。

そして貴族のメインパートから外れた形で紀貫之や西行が活躍して、でも貴族じゃない武士たちがどうにか自分たちのアイデンティティを確立しようとして、世阿弥が能を発展させようとしたり権威づけをしようとしたり、千利休がお茶を権威づけしようとしてきた。
そういう中で、とうとう武士階級の人たちが、独自の美学というか権威を作ることができるようになったということです。

■集団訓練の禁止

江戸時代になっていくと集団訓練が禁止になるんですね。
集団的な訓練をするなということになってきて、個としての修養が求められる時代になるんです。
個人として剣を振るのはいいんだけど、集団で槍を突く練習とか、そういうのはやっちゃいけないよということになります。

武士のたしなみとして、元々武士というのはソルジャーですからね、ソルジャー(兵士)であることを忘れないために自分達で剣を振ったということです。
宮本武蔵はそういう中で活躍した人物です。関ヶ原にも行った。

その後に世の中が荒れるんです。
今まで荒くれ者だった人たちが、戦がなくなったものだから荒れているんですよ。平和なんだけど荒れている。
そういうところで宮本武蔵はいろいろなところに行って、道場破りをしたり戦ったりしたということです。

この活躍ぶりが後の歌舞伎として伝わっていって、脚色されていくということになります。

五輪書、枯木鳴鵙図

宮本武蔵は何をしたかというと、「五輪書」と「枯木鳴鵙図」を書いたんですね。

「五輪書」というのは兵法です。
兵法というのはどういうものなのか、武士はどうあるべきなのかを書いた、ビジネス書みたいな感じです。今で言うところの。
禅に重きを置きすぎず、実践を重んじる。合理性と人心術みたいなものが書かれています。

「枯木鳴鵙図」というのは、百舌鳥(モズ)の絵です。枝に止まる百舌鳥を描いてる水墨画です。
水墨画なので一発で書かなきゃいけないんですよね。すごい集中力なんですよね。
書道にも似たような形。だからすごい集中力で書いてあるというものです。

絵の美しさもあるし、余白の美しさもあるんだけども、それをバッと書き上げた。ミスは許されない。
そういう筆遣いを見るのも水墨画の良さだったりするし、宮本武蔵が名人だったと言われる所以です。

五輪書には「常に兵法の道を外れず」みたいなことを書いています。

宮本武蔵はいろいろなことをするんですよね。
武芸者として戦いもするし、色々な人と試合もする。
決闘をする一方で、勉強したり、学んだり弟子を育てたり、養子を取ったり、養子を政治につかせたり、政治のことにも口出したり、いろいろなことをするわけですけれど、それは全て兵法のためなんですよね。
個人として鍛えていくことは、集団戦でのやり方にも通じるところがあるみたいなことを言ったりします。

天下無双になるためにはどうしたらいいのかを、ただ鍛えるだけじゃなくて周辺からも学びながら天下無双を目指したというのが、宮本武蔵の学ぶ武芸者の形です。求道者たる所以ということです。

なんか憧れますよね、男の子は。
剣とは何なのか、強さとは何なのか、そういうことを考え続けたということです。

日本というのは宗教がやはりあまり強くなくて、そういう中で「道を目指す」というところが日本の宗教観でもあるんですよね。それが禅的でもあるし、ある意味プロテスタンティズムにも似ているような感じです。

今回は、宮本武蔵を取り上げました。


2023.8.18

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