本日は「痩せたい」について考えてみます。
精神科の患者さんのみならず、日本人ほとんどの人が痩せたいと思っているんじゃないですかね。
国民病と言うか、痩せたいと思っているかなと思います。
もちろん、遺伝的な問題、生まれつきの問題として太りにくい人っているんですよ。
食べても太らない人、食べ過ぎたらお腹を壊しちゃって下痢になってしまう人とかもいるんですが、まあそういう人を除けば大体みんな痩せたいのかなと思います。
患者さんでよく痩せたいと言っている人がいます。
今回は「痩せたい」という言葉をちょっと精神科医的というか個人的に、益田祐介的にちょっと深堀ってみて、皆さんと共有したいなと。
このことで悩んでいる人ってたくさんいると思うので、できればこの動画が終わった後、コメント欄に色々書いてもらえると他の患者さんにも役立つと思うので、是非ご協力いただけたらなと思います。
コンテンツ
痩せたいのはなぜ?
まず「痩せたい」とみんな言うんですけど、なぜ痩せたいのかなということを考えると、痩せていると健康的に見える、あと活動的に見える、あと摂生ができているように見えるのかなという気がします。
自分の欲望を抑える力があるのかなとか、ということは感情を抑える力もあるのかな、我慢強い人なのかな、そういう風に見えますよね。
あとですね、痩せてるとスタイル良く見えますよね。
手足が長く見えやすいし、小顔効果もありますね。小顔効果もあって目が大きく見えるようになるんですよ。
目が大きく見えると人気が出やすいですから、そういう意味で目鼻立ちがはっきりするので痩せたいと思っている人も多いなと思いますね。
あと痩せると褒められるんですよね。
どうやって痩せたの、すごいねと言われるし、注目を浴びるんですよ。
どういう風に痩せたの、ダイエット法を教えてよ、と色々言われてる。みんな関心がありますからね、そういう意味でちょっと頑張りたいと思う人も多いという感じです。
あと摂食障害の患者さんは、心配されたいから痩せるという人も少なくないですね。
痩せることで周りが心配してくれる。
逆に痩せないと、太っていると元気そうに見えちゃうとか。
なので傷ついていることがわからないんじゃないか、自分の心の中がボロボロだということがわからないんじゃないかと思って、痩せないといけないと思っている人もいるということです。
なぜ痩せない?
じゃあ実際痩せたいと考えているけれど、なぜそれが実行に移せないかということを考えると、まずそもそも理想が不適切な場合があります。
いやいや、もうこれ以上痩せなくていいじゃん、ずいぶん痩せてるよ、スタイルいいよ、と言っても、「いやいや、私なんて太っているから」と言っている年頃の女の子はたくさんいますよね。
だからまず、そもそもゴール設定が不適切の場合というのもあるのかなと思います。
このゴールというのがSNSによって操作されているというか、刺激されているということは結構多いです。
加工したものを見たり、AIで作られた画像を見たりとかしている結果、何かボディイメージが歪んでしまって、これぐらい痩せてほうがいいのかな、と思いがちだったりします。
あとは昔だったら目にすることがなかった本当に綺麗な女優さんとか俳優さん、今だったら俳優さんって言わないとダメですね、俳優さんとか女性の俳優さん、男性の俳優さんとかを目にしますから、それで自分は全然なんじゃないかとか思いがちですよね。
でもああいう人たちは照明もあって、本当にベストの状態を作って見せていますから、常にそういう綺麗な状態じゃないんですよ。
むしろ普段の時はバレないようにかえってダサい格好したりしますからね、ああいう人たちって本人だとわからないようにね。
それはちょっと余談ですけど、そういうこともあるので、ゴール設定がちょっと変になっているということがあるかなと思います。
あとはルッキズムに支配されていることが多いですね。
日本人は結構そこまで酷くないんだけど、韓国は今結構ひどいですよね。
しかもちょっと差別的だったり、攻撃的なところまで発展してますので。ルッキズムが悪化して自殺とかもあったりしますから。
日本も韓国ほどじゃないにしてもルッキズムの問題がありますから、これでずっと気にしているということもあります。
あとは年齢とともに代謝が落ちてたり、老いの問題もありますから、これがなかなか受け入れ難かったりするというのもあるだろうかなと思います。
そもそも誰も気にしてないじゃないか、痩せたいと口では言ってるけれど、本人は言ってるけれど、実際はそんなに思ってなかったり、瞬間瞬間でテレビCMを見る時のように「ああ痩せたいな」と思って、10分後には「ああラーメン食べたいな」と思って、その欲望の振れ幅が激しくて、だから思っているけど、本当に思っていないんじゃないか。
周りの人も別に一般人のAさんが痩せようが太ろうが別に関係ないんですよね。
ただCMをやってて、その人がちょっと太っちゃうとCMが打ち切られて5億円とか10億円が動くとかだったら、気にしますけど、普通の人は別にそれで何か変わったりしないですから、キャリアが。
誰も気にしないという感じはします。
ここの問題を言うと、若い子というのはどちらかというと、外見でものを判断しがちです。
なかなか外見以外で人を評価するというのがまだまだ難しくて、どうしてもそうなりがちなのかなという気はします。
外見以外で自分を評価してもらおうとしても、まだお金を稼ぐ力とか知識、経験も大人ほどなかったりして、でも大人と対等でありたいし、大人に負けたくなくて、そうすると自分たちが勝てるのは外見だったりするから、より外見に固執してしまうというのもあったりする。
女性だとやはり外見で本当にちやほやされる感じが違ったりもするので、精神科医がいくら心が大事なんだよと言っても、若い子には響かないということが結構あったりするなとか思ったりします。
心は目に見えない
あとは超自我とお金ですね。
痩せなければいけないという自分の中の強迫観念というか、社会からの教えや常識に支配されちゃって、常に自分を責めていること、つまり超自我に支配されちゃってるということもあれば、それが資本主義のお金と結びついている、つまり僕らはCMやSNSとか色々なもので、刺激を受けて無意識にコントロールされてるんですよね。
本当は欲しくないものを欲しいと思わされている可能性がめちゃくちゃあるわけです。
こんなにいらないんですよ。
そもそもこんなに大量の化粧品も、こんなに大量の香水も、こんなに大量のブランド品も要らないはずなのに、欲しいと錯覚させられているんですね、広告とか色々なものによって。
そしてそれを持っていない自分はダメなんじゃないかという劣等感も同時に押しつけられている。
その結果、苦しんでいるということは多いなと思いますね。
心というのは目に見えないですし、周りの人も見えないものを見る力が足りなかったりします。
患者さんもそういう力が弱かったりします。
だから僕らは目に見えないものを見る力を身につけていかなければいけないんですね。
患者さんは特にそうなんですよ。
患者さんは治療が終盤になると仙人のようになっていくんです。
色々な欲望から距離を取っていくんです。
これを見ている皆さんも「益田先生って結構知ってるな、物知ってるな、摂生ができてるな、人間としてちゃんとしてるな」と思っている人もいると思うんですね。
全員とは思わないですけど、思っている人もいると思うんですけど、そういうコメントもいただくんですけど。でも本当に治療が済んだら、患者さんは僕なんかをポーンと乗り越えちゃうんですよね。
僕なんかよりも人格としてすごく高いところに行くことが多いですね。それだけ苦労してますからね。
僕はそんなに苦労してないので、やはり何かそういうのは思いますね。
かといって別に僕は苦労したいとは思わないんですけど、苦しみたいと思わないですけど、でもそういうのがあります。
目に見えない力というのは、最終的には僕なんかをはるかに超えちゃっていくんですけど、別にプレッシャーを与えてるわけじゃないんですけれどね。
そういうものだと思って、この問題も捉えてもらえると治療が進むんじゃないかなと思います。
今回「痩せたい」について考えてみました。
人間関係
2023.9.19