東西線「早稲田駅」徒歩1分。夜間・土曜も診療。心療内科・精神科。自立支援対応

WEB予約はこちら

再診患者専用

03-6233-9538

予約制:木・日・祝休診

0362339538
初診WEB予約

  

再診患者専用TEL

03-6233-9538

死や自殺を考え続けてわかったこと(日曜シリーズの振り返り)

00:00 OP
01:44 「DEATH」
06:09 芸能人の死
09:57 精神疾患と死

本日は「死・自殺について」というテーマでお話しします。

毎週日曜日は死や自殺をテーマに動画を撮っていたんですけど、2クールを終えたので、ちょっと一度振り返ってみようかなと思います。

2クールと言ってもどれぐらいかわからないかもしれないですけど6ヶ月です。4月~6月と7月~9月です。
どんなことをこの半年で扱ったのか、そして今後どんな動画を撮っていきたいかもお話しします。

最初になぜこのシリーズをやろうかと思ったかというと、月曜日に自殺する人が多いんです。
日曜日の夜にそれを止める動画を撮りたいなと思ったというのがまず一点と、2つ目は人間の生きている価値、働かない人間にも価値があるんだという話を皆さんと一緒に考えていきたいということで始めたという感じです。

人間の命とはどういうことなんだろう、人間の生きている価値はどういうことなんだろう、ということを知るために、そもそも死ぬってどういうことなんだろう、ということから始めたという感じです。

「DEATH」

最初はこの『DEATH』という本です。
シェリー・ケーガンさんの書籍を解説するところから始まったんです。

この書籍では、宗教やスピリチュアルなことを扱わずに、死ぬとはどういうことなんだろう、死とは何なんだろう、ということを哲学していった本なんです。
イエール大学で23年連続の人気講義と書いてますね。

開業当初に当時あった早稲田のブックオフで買ったんですけど、今はブックオフ無くなりましたね、早稲田に。早稲田にブックオフ無くなったよね。無くなりましたけど、そこで買った本です。
開業当初は今よりもうちょっと暇だったので、ブックオフに行ったり、近所の本屋とか行ってました。

そこで買って面白くて、いつか動画でもやってみたいと当時は思ってなかったですけど、動画のシリーズものをやるにあたって、この本をちょっとやってみたいなと思って取り上げたんです。

死ぬというのはどういうことなんだろう、不老不死になりたいんだろうか、不老不死ってどういうことなんだろう、忘却とはどういうことなんだろう、ということをこの本の中で語っていました。
つまり、死ぬということは僕らは疑似的に体験しているんじゃないか、とこの著者は言っています。

夢を見ているとき、夜寝てる時には意識を失っているんですね。
朝になったら意識は戻っている。
つまり我々は死んで生き返ってるんだ、というような見方もできるんじゃないかみたいなこと言っています。

不老不死ですね。
不老不死になりたいのかと言った時に、不老不死になったときに健康状態が悪くて、身体がずっと痛い、どこかが痛むと思いながら永遠を生きるのは苦しいだろうということを言ってました。
不老不死というのは死なないまでにしても、今度は健康であるということが条件なんだということも言っています。

そして退屈はしたくないですよね。
延々と同じテレビやテレビアニメを見させられるのはきついじゃないですか。
同じ相手と永遠にオセロさせられたら楽しくないですよね。
最初は楽しくても次第に飽きてきて苦しいわけです。

だから我々は不老不死をするためには、忘却、記憶を失うということも必要なんじゃないかみたいなこと言っているんです。
そうしないと楽しくないだろう、退屈になってしまう。

あと、あまりにも多くのことを覚えてたら、もはや人間じゃなくなってしまうんじゃないか。
僕らと言えるのか。
全く別の存在なんじゃないか。
扱う情報量が増えたら全く別の存在となってしまって、およそ人間の意識を持ってないんじゃないか。
そこまでは言ってないかな。
そういう話までしてましたね。

忘却とは何かというと、記憶を失っているということです。
記憶を失ってるということは、我々は少しずつ死んでいるということでもあるんですね。
少しずつ生まれ変わっているとも言えますね、新しいことを覚えて行くので。

でもかつてのことを知らないわけで、それは僕らが少しずつ生まれ変わってるということなんじゃないかというような話をしています。
生きるとか死ぬということは、そんなに全く違うことでは案外ないのかもしれないなみたいなことまでここでは話されてますね。
自分の魂とか意識とか死というものを一回疑って考えてみようという本でしたね。

これ、シリーズをやっていて僕は面白かったんですよ、自分でやっていて、動画をやってて面白かったんですけど、結構ね不評、あんまり評判良くなくて、結局お前何を言いたいの、みたいなことをよくコメント欄で書かれていました。
結論は何ですかとか、そういうことを言われてましたね。

ただ哲学には結構そういうところはあるんですよ。
問いを立てて、問いについて色々なことを考え巡らせて、じゃあ終わり、みたいなところが哲学にはあって、それが哲学的な付き合い方なんですけど、それに慣れてない人は、じゃ結論何なの、という形でモヤモヤしてBADボタンというか、動画を見なくなったということもあったようです。

芸能人の死

合間合間に芸能人の死を扱いました。
ニュースがある時にそれが自死だった場合は、芸能人の死を扱いました。
疾患を公表している場合は疾患の話をしたり、自殺は後追い自殺があるよとか、これをウェルテル効果と言うんだよとか、そういう話をしてました。

芸能人の自殺によって、それが報道されると後追い自殺が増えるんですよ。
それをウェルテル効果と言うんですけど、だから報道の仕方に注意しなければいけないし、そういう場面で僕ら精神科医が何かを話すということは意味があるんじゃないか、ということでやっていました。

普段僕の動画を見ている人だったら、ああそういうことか、とわかるんですけど、普段僕の動画を見ていない人が見ると「コイツ何なんだ」というところから始まって、「急に出てくんなよ」みたいな形でご批判を受ける感じはありました。

特に芸能人を使って売名行為してるんじゃないか、芸能人の死を使って金稼ぎしてるんじゃないか、そもそもプライバシーのことなので言われたくないだろう、本人だって言われたくないことをなぜこいつはやるんだ、みたいなことで批判されることが多かったです。

ただ僕は、芸能人というのは公人だと思っているんです。
社会的な影響力のある人間だと思っていて、社会的影響力がある人間というのは、やはり普通の人と同じように扱われないんですよね。

影響力がある人たちは責任があるんですね。
その責任というのは死んでもなくなるものではないので、その責任に対して国民の知る権利を尊重し、動画を撮っているということになります。

そこら辺は、社会と個人というのは切っても切れないところがあるんですよね。
自殺というのはそもそも自分勝手な行為なんですよ、周りの人を傷つけたりするわけで。
だから自殺というのは身勝手なものなんだ、視点を変えたらね、という話をすると、「いやでもね、自殺した人は苦しいんだから身勝手と言わないで欲しい」みたいなことも言われました。

でも、別に僕は身勝手なことをしてもいいと思っているわけです、ある部分においては。
それだけ苦しいから仕方がないんじゃないか、と。
だから仕方がないんだけれど、でも傷つける人はいるよねみたいな話をしても、やはり全部を聞き取れなかったりとかして、その「自殺は身勝手」だけが独り歩きしたりとか、タイトルだけが独り歩きして何なんだと腹を立てる人もいたりしました。

ただ、まあこういう人は若い人たちなんじゃないかなと思いますね。
一つの真実なので、自殺をすることによって誰かを傷つけたりする、自分だけのものだと思うんだけど、自分だけではなくて社会に悪い影響を及ぼすということは、僕らは一見社会と無関係なんじゃないか、社会から弾圧されていて弾かれてるんじゃないか、と思いつつも繋がってるんですよね。
そういうことなんですよね。
だから身勝手と言われてしまうんですよね。

だから悲しいんだよね。
死んでもなお私の苦しみは認めてもらえないのか、認めてもらっているけれど批判もされるのか、というのは苦しいというか、どう捉えたらいいかわからない、混乱した人もたくさんいるのかなと思います。
ただそういう混乱を経て、葛藤を経てやはり受容していく必要がある、この真実を受け入れていく必要があるので、良い学びになってくれたらなとは思います。

精神疾患と死

最後に、ここ最近は精神疾患と死というテーマで疾患ごとの自殺率を軽く取り上げていました。
だいたい自殺で亡くなる人というのは人口の1~2%ぐらいいるんじゃないかなと言われています。
不慮の事故も合わせたりするともっと増えるかもしれないですけど、1~2%くらいいるんじゃないかなと思います。

精神疾患の人の場合は、例えば一番自殺率が高いかもしれない双極性障害の場合は5~10%ぐらいいるんじゃないかとなります。
双極性障害と診断された人の5~10%くらいは、自殺で亡くなるんじゃないかという研究データがアメリカの方であったりします。

この1~2%というのは日本です。
ただ自殺の統計をきちんと取れていなかったりするのでわかってないのですが、これは日本のこの1年の中の死亡診断書から出した数値です。

僕ら医者は亡くなった人を診た時に死亡診断書を書くんですよ。
そこで死因を書くんですけど、そこでわかるので、そこから1年の内に死んだ人の中から自殺で死んだ人の割合を出すと1~2%くらいということにです。

こういう動画を撮ると、統計的な見方や自殺というのが社会問題から引き起こされる、時代によって増減がありますからね、そういう見方もできるのではないかなと思います。
これも死を捉えるには重要な側面だし、自殺というのがやはり精神科の症状によって引き起こされるということもわかるんじゃないかなと思いました。

半年間なので、6x4=24、24、5本くらい動画を撮ったんですけど、10月以降何をやるかまだ企画を全然立てていないです。
日曜日に自殺を扱うかもしれないし、色々やりつくしちゃったので、一回別のテーマでやり直してもいいかなと、何か考えてもいいかなと思っています。
この動画を撮っている段階では、まだ何も決まっていません。

最後こういう総集編をしているだけなのであって、わりとネタを出し尽くした感もありますよね。
しばらく充電期間を置いて、またこのテーマを扱えたらいいかなと思います。

今回は「死と自殺」というテーマについて考えてみました。


2023.9.24

© 2018 早稲田メンタルクリニック All Rights Reserved.