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社会問題を2クール終えて

00:00 OP
00:37 2018年ごろ
02:36 2023年現在
04:58 人権問題
06:13 社会問題を扱う意義

今回は「社会問題を2クール終えて」というテーマでお話ししようと思います。

毎週土曜日は、社会問題を中心に精神疾患を解説していくことをしていたんですけれど、今回は2クールを終えたので、その振り返りをしてみようかなと思います。
2クールは3ヶ月+3ヶ月、計半年のことですね。

2018年ごろ

メンタルヘルスの問題というのは、社会の変化に合わせて様変わりしているんですよね。

僕が開業したのは2018年4月です。
この時どういう患者さんが多かったかと言うと、一つは過労の患者さんです。当時はめちゃくちゃ残業していたんです。
働き方改革前で、大手も働いて残業して飲みに行って、飲み会に終わったら若手社員は会社に戻されて残業する。
そして残業中に先輩から呼び出しを食らってカラオケに参加させられて、2、3曲歌ったらまた職場に戻らされるみたいなことがあったんですよね。本当に。

夜、居酒屋でみんなで同じ釜の飯を食うというか、酔っ払いながら飲みニケーションするというのがある意味サラリーマンとしての常識でもあった時代だったんですね。

そういう中では、残業時間が多く、そこからうつになってしまう、適応障害になってしまう、そして過労死につながる。
残業時間が多い、ピリピリする、パワハラ、アルハラ、セクハラがある、そこから適応障害なるというのもいろいろあった時代でしたね。
クリニックも夜遅くまでやっていて、ここら辺の診断書を書くとか治療をよくやっていました。

あとは発達障害の治療がまだまだ一般的ではなくて、薬物治療でもコンサータの登録制が始まったぐらいなんですよね。
登録制が始まって処方できるところが少なかった。
コンサータというのはこういう薬でこういう風に処方するんですよ、登録の手続きはこうですよ、みたいなことを僕は当時説明してたし、それを書いたブログの記事がすぐバズって、一時期コンサータや発達障害と言うとだいたい僕の動画や記事が検索のトップに来るみたいな時代が一時期ありました。
それが2018年です。

2023年現在

そこから5年経って、今はどんな患者さんが増えているかと言うと、発達障害の人の奥さんですね。カサンドラ症候群。
発達障害のパートナーの人がうつっぽくなってしまう。
発達障害の人の子ども、お母さんが発達障害で共感してくれなくてとか、過干渉で子どもの方がうつになってしまうパターンも多かったり。

あとは障害とは言えないグレーゾーンですね。
いわゆるグレーゾーンで発達障害傾向があって、転職を繰り返してしまう、なかなか出世できない。
いわゆる障害とは言わないんだけど、その一歩手前の人たちの治療というのも結構増えている感じですね。

あとはYouTubeをやるようになって色々なニュースも扱ってきたんですよね。
例えば、安倍首相が亡くなった際に、宗教2世の話題が出ましたね。
宗教2世の人がどういうトラウマを抱えているのか、どういう苦しみがあるのかを動画で解説した中、自分もそうなんだということで、精神科の門を叩いて治療を受けたいという患者さんも増えたと。

あとはジャニーズですね。
ジャニーズの問題も経て、性的虐待がある。そしてそれが数10年経ってもまだ苦しい。
それを治療したいということで、門を叩く人も増えたなという感じです。

あとは妊活うつですね。
結婚が遅くなっています。だから、僕が結婚したのが28か29かな。
今だとそれぐらいで結婚するというと、ちょっと早いなという感じもしますよね。全体的に結婚する年齢が後ろの方に来ていて、子供を産むのも遅くなっている。
不妊治療もある意味一般的になりつつあって、そこでのやりとりでうつっぽくなってしまう人も結構いますね。

この背景にはフェミニズムの問題もあったりします。
女性というものの社会でのあり方とか、価値観、その変化、無理解とか色々なものが重なって起きている。
これも社会問題から来るうつですよね。

こういうものが増えているかなという感じはします。

人権問題

もうちょっと振り返ってみると、元々1970年、80年ぐらいは統合失調症とかがメインだったんですね。精神科の治療は。
あとうつや躁うつ病もあったと。

この当時はやはり人権問題ですよね。
障害のある人の人権問題をすごく訴えていたということのようです。
去年の暮れまでうちのクリニックで働いてくれた心理士さんがいたんですよ。その心理士さんが最後の送別会の時に、「私の最初のキャリアは人権問題からスタートしました。最後益田Dr.のところでこういう話をするようになっていって、私もたくさん学ばせてもらいましたし、すごく感謝してます」みたいなこと言ってくれましたね。

本当に何て言うのかな、色々なことを教わりました。その心理士さんから。
でもそういうことだなと本当に思いましたね。
だから時代を見ていくとか、時代の中で変化していく、そして何とか対応していくという僕ら治療者の生き方を教わったという感じはしましたね。

社会問題を扱う意義

ここの問題は今どうなっているかというと、認知症に問題が変わってきているんですよね。
長期入院していた人がだんだん今認知症になってきている。

あと入院ですね。
今日本は入院病床が多すぎるし、長期入院が多過ぎるんですよ。
だから入院のあり方とか地域移行の問題。あと社会の中に溶け込ませるインクルージョンの問題というのもすごく議論されています。

世界的に日本は隔離しすぎなので、やはり障害がある人をしっかり地域の中に入れていく。
家族や社会の中に認知して溶け込んでいくということが必要となっています。

その一方で、障害がある人が犯罪を犯して社会の注目を浴びることがあったりします。
そして、妄想や病気のせいで自由意思を奪われるがゆえに、犯罪を犯してしまうことがあるわけですね。
時に狂気的な殺人事件を起こすこともあります。
例えば、京アニの事件の問題とか。
そういう中で僕らはどういう風に社会で受け入れていくのか、どういう風に社会は考えていくべきなのかをやはり問われていると思います。

例えば精神発達遅滞や境界知能の問題もあって、人間というのが必ずしも皆同じではないということですよね。
うまくいっている人たちは運が良かったということとか、環境の影響でそういうことになってしまうということ。
僕らは本人の意志ではどうしようもないことをもう一回再び理解し、そしてその上で平等とは何かということを考え直す時期に来ているんだろうなと思っています。
そういうことを考える上でも、社会問題をこのYouTubeチャンネルで扱うことはとても意味があるんじゃないかなと僕は思っているという感じです。

色々な事件がありますけど、そういう中で精神科医がどういう風に発言をしていくべきなのか考えなければいけないなと思いますね。
先日新聞社の記者の人とちょっと喋ったんですよ。
その記者の人はベテランの方で、5、60代の方なんですけれど、新聞の発行部数が落ちていく中、これからは専門家が直接、新聞社を通して新聞を通して意見を言うのではなく、ダイレクトに伝えられる時代になってきましたよね、みたいなことを話していて。
その中でじゃあジャーナリズムって何なのか、どういう風に僕らは伝えていくべきなのかを考えていかなきゃいけないし、学んでいかなきゃいけないし、難しい話になってきますね、ということを言っていましたね。

わからないですよ。これからのジャーナリズムとか、これからのニュースの伝え方を人類がどういう風に選択していくのか、どう変わっていくのかわからないですけど、でも一つの未来としては専門家が直接伝えるという未来もあると思うんですね。
そういう中でどう振る舞うべきなのかというのは、引き続き考えていきたいなと思っているという感じです。

これを撮っているのが9月23日なんですよ。
10月以降、次のワンクールですね。10月~12月をどういう風にやるかがまだ全然企画が立っていなくて困っています。
またシリーズを組みたいとは思っているんですけれども、今忙しくてバタバタしていてしばらくちょっと単発の動画が続くと思います。
毎日投稿は続けられると思うんですけどシリーズを組むまでは至っていません。ちょっとゆるい動画が続きます。
今度フリーの編集者を入れて今後のYouTubeチームをどうしていくかというのを考えています。
また期待してもらえたらなと思います。


2023.9.30

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