益:じゃあ次の話題に移りますか。
池:はい、お願いします。
先程書けないというのを先生に分析していただいて、次は何かその周辺というか、人生設計みたいなところで悩むクリエイターも多いんじゃないかなと思いまして。
私も出版社にいたところから独立してフリーでやっているので、一つ一つの仕事がきちんとできたとしても、今後10年、20年どうするんだろうとか。
あるいは今インフレになってるんですけど、フリーランスの報酬ってなかなかインフレになりづらいとか、そういうお金的な問題もあると思いますし。
益:もうね、それね、僕毎回思うんですけど、それ別に就職すればいいんじゃないですか。
お金なくなったら。仕事探したらいいんじゃないですかね。
池:それで解決しちゃいますよね。
益:就職できなかったら、究極的に本当に最後までないんだったら生活保護もあるから。
別にそれでいいんじゃないかなと思うんですけど。
池:思い入れが強い。例えばわかんないですけどイラストレーターであったり、動画クリエイターみたいな、この道でやるぞみたいな思い入れが強いと、その夢をいつ諦めていいんだろうがみたいな。そういうこともあるんですよね。
益:まあ、いつ諦めるか難しいよね。
池:年齢の壁とか、あるいは結婚して子供も生まれたとか、芸能人の方でもお笑いタレントの方でもいらっしゃいますよね。一般的にテレビではあまり出てないけれど、活動されている方とか。
益:うん、こういうジレンマの問題ってどうするかってことですよね。
池:はい。
益:このジレンマ問題ってよく何て言うんですかね。動画とかでは「いや、夢を諦めない方がいい」とか色々言うんですけど、このジレンマ問題って答え出ないんです。
これ毎回言うんですけど、答えを出してくださいみたいなこと言うんですけど、答えが出ない問題に答えを出そうとすると、結局その瞬間瞬間は、その時は安心したりとか洗脳されて少し落ち着くんですよ。
ああそうか、さすが某ひろゆきさんが言ってる通りだとか、益田先生の言う通りだ、よし僕は諦めないで行こうとか、これは諦めた方がいいな、じゃあ次移ろうとかになるんだけど、結局1日経ったりとかすると、30分とか経つと洗脳が解けるんでやっぱり悩むし。悩まない人もいるんですけど。数年騙されちゃう人もいるんですけど、そうするとかえって人生を棒に振っちゃうんでうまくいかないですよね。
池:はい。
益:これ臨床的にはジレンマ問題をどう解決するかっていうと、全ての選択肢を洗うってことなんですよね。結局普通のことですよね。
精神科だからなんかのウルトラCみたいなものがあるかというと、そんなことなくて、やっぱり全ての選択肢を挙げてみて比較してみて、どこを妥協点にするかっていうことなんですよね。
これは結局、全部の選択肢を洗わざるを得なくて。1年頑張るプランと2年頑張るプラン、3年頑張るプランというのを明確に可視化して決めるということになるんですよね。
勇気がない?
益:できないのは勇気が足りなくてできないってパターンが多いんですよね。
「いやー」とか言って。
勇気が足りない場合は、カウンセラーとか誰かと一緒に協力してやるってことになるんですよね。うんまあそういうことですね。
うん、実際、才能ある人とない人も色々いるだろうし、才能あってもやっぱりもうちょっとお金欲しいなという人もいれば、才能なくても体力があるから結構やれている人もいるだろうし、まあわかんないですしね。
池:フリーの人って相談する相手もいないじゃないですか。いきなりこうカウンセラーってなかなか日本ではハードルが高いよなって。
益:でもこれも結局全ての選択肢を探していくしかないので、SNSはどうなのかとか、プロの仲間はどうなのかとか、仲間を作ってないんだったらどうやって仲間を作るのかとか、そういう泥臭い作業をするんですよね。
池;確かにおっしゃる通りで、選択肢出さないと駄目だよねというのはわかったんですけど、選択肢を出すのに躊躇しちゃう人っていっぱいいると思うんですよね。見ないというか。
益:勇気が足りないから。
「勇気」って僕は言ってるんですけど、それ言うと患者さんが「いや、勇気なんですか?」ってみんな言うんですけど、言うんですよね。
でも、不安な時に一歩足を出すことって、勇気以外のどんな言葉を使えばいいかわかんないんですけど。
池:現状ってある種心地良かったり。苦しいけど今を持続できるじゃないですか。その一歩を踏み出すのって勇気なんですけど、どうやったら。
益:これ結構難しいんですよ。悪循環の問題というのがあって。
例えば引きこもりの人って悪いながらでも安定しちゃってるんですよね。
家にいるから傷つかない。でも傷つかないけれどもじわじわと自分を蝕んでいるし。外出して社会に出ないと成功体験を積めないから成功体験を積まないとそもそも自信が持てないし。
でも自信がないから結局仕事できない。でも仕事をしないと自信もつかない。
池:確かに。
益:そういう悪循環が生まれてて、これは他にももっと細かい要素がありますけど。でも全部が悪い循環になってるんで、やはりどこかで大きな介入をしてあげないといけないんですよね。
でも、いきなりやってもうまくいかないんで1個ずつ緩めていって言語化していって、できるところからちょっとやっていって、最後は大鉈を振るうようにバッといかないといけない。
池:なるほど。
益:精神科医だからすごい特別なことあって、ウルトラCみたいな知らないことがあるんじゃないかと思うじゃないですか、皆さん。
そんなことなくて特別なものはないんですよね。
池:でもメンタルヘルスというか、精神科の観点からのクリエイターの人生設計というのは新鮮でした。
益:新鮮というか何か結構そうだよねって感じの話ですよね。
池:言われるとそうなんですけど、確かに勇気が出ないとsか。
益:そうそう勇気が出ないんですよね、結局。うんということですね。こんな感じでした。
池:ありがとうございます。
メンタルヘルス大全
2023.11.1