益:はい、セルフモニタリングですよね。
池:はい。
益:さっきも言った通りそんなにアレなんですけど、目を閉じて今の疲れ具合とか、あと今抱えてる問題ですよね。自分が今抱えている問題や課題。あと目標や目的。
全ての問題を解決はできないので、これを1日の中で何度もチェックして整理されてるっていうのがセルフモニタリングということですね。
池:いっぱい浮かんじゃった時は浮かんだ状態のままにしておく?
益:いや、いっぱい浮かんでいるってことは整理されてないってことなので、片付けと一緒なので、毎日ちょこちょこ掃除はするけれども、年に一回大掃除するとか。
池:なるほど。
益:それと同じで、まあ、それが週に一回の日記なのか、月に何回かのチェックなのか。
やっぱり臨床とかもそうですよ。毎回の外来で全てをチェックするわけじゃないんですけど、どこかのタイミングで患者さんが全部まとめたものを作ってきてくれるので、どこかのタイミングで問題、目標、課題は整理してあげなきゃいけないという感じですね。
というのがセルフモニタリングの基本ですね。
疲れ具合
疲れ具合か。疲れ具合は感情的かどうか。
感情に支配されちゃっている。感情に支配されてるんだったらやっぱり疲れてるってことなんで。
自分の理性でというか、前頭葉によってコントロールできていないってことなので、疲弊しているってことですよね。
それが怒りなのか悲しみなのかうつなのかわかんないですけどね。
池:感情に支配されてるっていうのは、例えばどういう状況だと感情に支配されているって理解するんですか?
益:食べたくないのに食べているとか、過食しているとか。
池:なるほど。
益:だいたいそうですね。あとは身体の症状とかですよね。
基本的にそもそもうつになりますから、疲れている時って。
脳みそが疲れているとか、体が疲れてるってときには、人間は感情として意識はキャッチするわけですよ。当たり前っちゃ当たり前ですけど。
お腹すいてるなって思う時って、別に血糖値がいくらだって判断して胃の収縮具合がどうだって思わないじゃないですか。
お腹すいたなと思って食べるじゃないですか。
それと同じで、疲れて休まなきゃいけない時には落ち込ませるんですね。
池:あー、なるほど。
益:当たり前っちゃ当たり前の話ですけど。
落ち込んだら動かないじゃないですか。動かないと寝るじゃないですか。そしたら身体が休まるじゃないですか。だから基本的にはうつとして現れることが多いですよね。
池:そっか。
益:基本はだから落ち込むんですよ。
それがもうちょっと病的になってくると、落ち込んでるのに焦って何かやっているとか、ぐちゃぐちゃっとしちゃってますよね。
元気がないのに怒っているとか、そういう感じですけど。
基本は元気なくて落ち込んでいて、暗いところで一人でいたいっていう風になりますよね。
池:その時は、軽度であれば休んでしまえばいいってことですね。
益:軽度でも重度でも休むっていうのも大事で。
薬があった方が休息が早いんですよ。抗うつ薬とかを使うと。だけど基本は休むことですね。
問題・課題
あと問題や課題の整理っていうのは結構難しいんですよね。
目標や目的もそうですけれども。
結局ここら辺って自己理解の領域でもあるので、第Ⅱ部以降でも扱うことなんですけど、自分はどんな人間かってことを生い立ちを語るところからスタートして、親はどんな人間なのかということでもあるだろうし。
あとは「人生における7つの領域」っていうワークがあるんですけど。
簡単な例としては、例えば自分の健康今の健康はどんな問題があるのかとか家族の問題。
今家族はどんな問題を抱えているのか、親の介護なのか、子供の学費の問題なのか。
あとは友人関係の問題とか恋人でもいいですけど、これって結構適当ですけど、7つっていうのは僕が勝手に言ってるだけなんで。別に何でもいいんですよ。
池:はい。
益:あと仕事の問題。あと学び。趣味や娯楽を今どういうことしたいのかとか。
あとお金か、お金はどんな問題があるのか。
別に何でもいいんですけど、こうやって分解していって。
結局バッティングするんですよね。
仕事を重視したら学びを得られないとか、学びを重視したら趣味の時間が取れないとか。
結局お金の問題が出てきたりとかバッティングしていくんですよ。
でも、これ一覧にしなきゃいけないんですよね。例えば、若い子とかで10代とか20代の子とかで海外留学をしたいという時に、お金の問題と学びの問題と、でも恋人もいるしって混乱して、それぞれの利害関係がバッティングしあっちゃって、どれを選べばいいかわかりませんっていう人がいるんですけど。
確かに人生の中ではどこを優先したらいいかわかんない時もあるんで、それはこれを選べっていう正解はないんですよね。ジレンマ問題は。
でも一回明らかにしてみて、書き出してみて検討するっていうのが大事だったりしますね。
これを常に整理しておかないとダメで、まあそういうことかなと思いますね。
池:この7つのあれはシートみたいなのは用意されているんですか?
益:ああシートもありますよ。でも、自分で作れば良いんですよ、これぐらい。
どういう風に分類するかは別に何でもいいんですけど、僕は7つくらいこれにしてます、だいたいは。
7つだと多いのかなって気もしますけどね。人間の認知って5個か6個ぐらいまでが限界で。
電話番号もそうじゃないですか。7桁までじゃないですか。
だから人間の認知って7つがギリギリなんですよね。
だからもっとパラメーター減らした方がいいのかもしれないですけど、まあ一応こんな感じですね。
これを明らかにしていくというのが大事だったりしますね。
で、優先順位を付けると。
あと全ての問題が解決していくということはないんで。
例えば高校生の時に部活もできて勉強もできて恋人もいてみたいな。そんなのあり得ない。
たまにいるかもしれないけど、基本的にありえなくて。
何かどこかうまくいかなくて不完全燃焼のまま大学生になるとか、次のライフステージに移動するんですよね。
仕事はうまくいったけど、子育てイマイチだったなと思って次のライフステージに移るとかなるので。
全ての問題が解決することはないので、解決しないまま次のライフステージに移行するんですよね。
まあそれもわかりつつ、でも明らかにして、できるだけ解決していくということなのかなと思いますけどね。
池:優先順位をつける時、先ほどの留学の話だと色々やりたいことがあって、どう優先順位をつけるかというのを整理すれば自ずと出てくるんですか?
益:自ずと出てきますね。あとはもうちょっと生い立ちから語ってみるとか。
なぜそもそも留学したいのかとか、それは親に対する見栄なのか、友達に対する見栄なのか、本当に自分はそれがしたいのかとか。
まあ結局収まるべきところに収まることが多いですね、臨床していると。
あとは結局最後にエイヤって決めちゃうんですけど、失敗することもありますよね。
あとは運ですよね。
自分は散々悩んだけれども違ったみたいなことっていっぱいあるじゃないですか。僕も結構散々悩んで、結局受験勉強が遅れたし。悩み過ぎちゃって。
それで悩み過ぎて遅れてどこへ行くか決めれなくて、結局最後に防衛医大を受けた後にも東大も受けて、直前まで悩んで結局防衛医大にしたんですけど。
やっぱり東大よりも防衛医大だなと思って防衛医大を選んだけれども、合ってたかどうかわかんないですよね、自衛隊は途中で辞めちゃってるから。
東大行ってた方が良かったのかもしれないし。
でも、他のもっと地方の医大に行ってた方が良かったのかもしれないし。
池:確かに。
益:地方の医大、どこでもぶっちゃけ受けれたんですけど、なんか行く理由がよくわかんなくなっちゃって。
医師免許取るんだったら防衛医大で十分だろうっていう感じだったし、研究したいんだったら医学部じゃなくて、やっぱり理学部とか行かないと本当の研究ってできないだろうしとか、何かグチャグチャ悩んでいたらうまくいかなくって。
防衛医大かなと思ったらそれも合ってなかったんですけど。
方向転換、方向転換はありますよね。
池:ライフステージ持ち越して持ち越してということですね。
益:そう。で、なんか全然YouTubeなんかやる気なくて向いてると思ってなかったし、そんな人前で喋るキャラじゃなかったんですけど、何故かYouTubeはハマって。不思議ですよね。
不思議ですけど、でもまあそれは置いておいて、でも整理していくって大事ですね。
メンタルヘルス大全
2023.11.3