本日はメンタルヘルス大全第2部の各論の第2章および第3章です。
社会問題およびライフステージを取り上げてみようと思います。
まずですね、年齢ごとにどんな脳の変化があるのかという主要なポイントと、では具体的にどんな社会問題があるのかということをちょっと取り上げてみようかなと思います。
できるだけ網羅的に書いたつもりなんですけども、ちょっと思いつく限り書いた感じなので漏れがあるかもしれないです。
漏れがあるかもしれないんですけども、その点はご了承くださいというか、また後日修正しようかなと思います。
脳の成長
人間の脳は未熟な状態で生まれてきます。
脳のみならず人間は未熟な状態で生まれてくるんですよ。
他のほ乳類と違って、生まれた瞬間に立ち上がることはできなくて、かなり未熟な状態で生まれてきます。
それはなぜかというと、人間が直立歩行するようになって、胎盤が狭くなったからですね。だからお産が厳しくなったんですよ。
他の動物みたいにお産がスムーズにいかなくて、人間の場合は。
お産っていうのはかなり命がけになった。それはなぜかというと胎盤が小さくなったからです。立って歩くようになって。
そして、胎盤をすり抜ける為に脳は小さく産まれてくるんですね。
小さく産まれてくるので、産まれてから脳が大きくなっているという感じなんですよね。
人間は生まれてからどんどん脳が成長していくんですけど、まずは第一次成長期と言って0歳から10歳まで成長していきます。
続いて10歳前後から第二次性徴期が始まって、性ホルモンが活発に動くようになるんですよ。
それと共に脳が急激大きくなり、正確にはちょっと違うんですけど、脳の余分なところが刈り取られて、脳の最適化が行われるんです。
最適化が行われて、だいたい30歳手前くらいで脳は完成すると言われてます。
それまでは妙に感情的だったり、衝動性をコントロールできなかったりするんですよね。なぜかというと、脳がまだ未完成で、衝動や感情を抑え込む前頭葉が発達しきっていないからなんですよ。
それで30歳ぐらいで出来上がるという感じですね。
だから10代の脳みそはちょっと変なんですよ。
まあ、10代から20代中盤ぐらいまでは結構ホルモンの影響を受けるんですけれども、かなり変な脳みそなんですね。
まず、感情を抑えるべき前頭前野が育っていないんですね。
なので複雑にものを考えたりするのが苦手だったり、感情を押し殺すのが苦手で、ついつい衝動的に動いちゃったりとか、悲しんだら悲しくなり過ぎちゃったりとかします。
そもそも知識や経験もまだまだ足りてないですからね。そういう状態です。
だから若者がつい反抗的になったり、感情的に怒ってしまうというのはある意味仕方がないんですよね。脳みそがまだ育ってないので難しかったりします。
ホルモンの影響も受けやすいんですよ。
だからまだまだ感受性が強くて、性ホルモンの影響を受けやすいですね。
男の人はテストステロンも上がるので攻撃的になったりします。
危険な行為を好むようになるのがわかっている。怒りっぽくなっちゃったりするというのがわかってる。
女の人は女性ホルモンの影響で不安定になったり、うつっぽくなったりしがちということですね。
それから扁桃体ですね。
扁桃体というのは不安を感じる信号を出す脳の部品なんですけれども、ここも過活動している。活発に活動していて、前頭葉の動きからこの神経系を抑えることはできていないという感じですね。
若者のうつは、大人のうつと違って一人になりたいというよりは、むしろ繋がりを求めることの方が多いんですよね。
だから妙に友達と繋がっていったりとか、共依存のようになってしまうということも結構あります。
後は報酬系の問題ですね。
依存症になりやすいんですよ。不快を感じやすいし、快感も感じやすいんですね。
快感を感じやすいので、快をもっと欲しくなる。快感が出るものをもっと欲しくなる。危険なこととか悪いこととか、ドパミンが出るようなこともすごく楽しくてやっちゃうんですよね。
なのでスピードを好んだり、危険な遊びを好んだり、大麻とかアルコールとか、そういうものにも弱かったりします。ハマりやすいんですね、ギャンブルにも。
その時に覚えてしまうと一生覚えてしまうので危険だよね、ということですね。
これも前頭葉で抑えることは苦手です。
あと海馬ですね。
記憶は活性化していて、色々なことを覚える吸収力が強いんですよ。
なので逆に嫌なことも忘れにくかったりするのもこの時期の特徴ですね。
この時期は脳が出来上がりつつ、いらないところ、脳の使わないところを刈り込む時期でもあったりするんですよね。
こういう時期に虐待などのストレスを感じていると、やはり将来的にうつになりやすかったりするし、アルコールとかタバコ、大麻、覚醒剤、違法薬物等は脳に悪影響を与えてその後依存症になりやすかったり記憶力の低下とかうつになりやすくなることがわかっています。
若いうちに、特に10代のうちにドラッグをするのは危険ですね。
あとギャンブルとかもそうですね。ギャンブルとかゲーム依存とかSNS依存も若いうちになりやすかったりします。
あとは繋がりをすごく求める時期でもあるので、周りからの目もすごく気にするんですよね。
周りからどう思われてるんだろうとか、周りからの評価もすごく気になる時期だったりもするので、ついついSNS依存になりやすかったりとか、劣等感を感じやすかったりとか、摂食障害になりやすかったりもするのはこの時期の特徴だったりします。
あと境界性パーソナリティ障害とか、自傷しやすい人とか不安になりやすい人とかも、逆に言ったら30代になってくると落ち着く人って多いんですよね。
それはなぜかというと、脳が完成に近づいてきて前頭葉がうまく働き、ここら辺の感情に関する部分、扁桃体や報酬系に関する側坐核というところなんですけど、そこを中心とした報酬系を抑える力が強まるので、落ち着いてくるということになります。
妊娠をいつするかというのもありますけど、妊活でうつになっちゃうとか、産後うつとかもここら辺でよく起きる。
ホルモンの影響でうつっぽくなってしまうというのは、この時にも起きますよと。
50歳を中心に更年期が始まるので、更年期のときにもううつっぽくなっちゃう人は一部いますよということですね。
60代、何歳くらいからかというとあれですけども、記憶力が最終的に落ちてきて、認知症化していくのも人生の後半に待ってますよということです。
脳というのはこういう変遷をたどるんですね、一生のうちに。
どういう社会的な問題が起きるのか
どういう社会的な問題が起きるのかということですけれど、子供のうちは特に虐待の問題がやはり社会的な問題としてはあって、虐待の影響で将来うつになってしまうとか、複雑性PTSDになってしまうとかは珍しくないです。
あとは家族に病気の人がいて、特に精神疾患の人がいて、家族のフォローをしなきゃいけない。過度に奉仕してしまう人たちがいるんですね。
そういう人たちをヤングケアラーと言うんですけども、自分を犠牲にして家族のために活動していった結果、自分のためにエネルギーを使うということが大人になってもできないとか、それができなかった結果、自分に投資ができなかった分、大人になってから活躍できないという問題があったりします。
あと宗教2世の問題ですね。
狭い価値観の中で生きた結果、大人になってから苦しいということもあったりする。
あと親子の問題があったり、親が発達障害の問題が特に多いんですけれども、最近だと。
親子間の問題があったりとか、親が理解してくれない、発達障害があってネグレクト気味だったり、妙に過干渉だったりというのもよくありますね。
親子問題というのも結構ある問題ですね。
あとは10代ぐらいから性的虐待の問題とか、誰かから性的加害を受けるとかというのも若いうちに起きます。
その結果、PTSDとか複雑性PTSDが起きるとかあったり。
あと子供の内にいじめがあるパターンもあれば、10代とか20代のとき、特に10代の時にいじめが起きる時、ホルモン系の異常が起きて、成長していく段階で周りの人が気になって、この荒れた時期に弱い人が標的になっていじめになってしまう。
そして自分も繊細な時だから記憶に残りやすいんですよね。
その結果、将来的にひきこもりになってしまうとか苦しくなってしまうとか、うつの原因になってしまうこともあったりしますね。
この時期に不登校になってしまう人もいるし、そこからひきこもりになってしまう。
そして、ひきこもりでの悪循環から抜け出せないというのも、社会的な問題かなと思います。
あとは恋愛の問題ですね。
孤独が続くとか問題もあるし、失恋から立ち直れない問題。
あとは結婚してからも不倫の問題があったりとか、離婚の問題というのもある意味の社会的な問題かなと思いますね。
10代のうちはSNSの誹謗中傷、SNS依存も社会的な問題ですし、若いうちは自殺が多いんですけれども、1~2%くらい自殺で亡くなる人がいると言われています。
この時期にうつっぽくなってしまって、自殺になってしまうってこともあります。
自殺というのは30代ぐらいまでは結構多くありますね。
自分の自殺の問題だけじゃなくて、恋人とか友人とか周りの人が自殺することで、心に傷を負う。家族が自殺することで、心に傷を負ってしまうというパターンもよくあります。
あとは、無個性人間、無趣味の人たちというのも今ある問題ですね。
受動的だったりして、発達障害の問題とか何でもいいんですけど、無個性で自分のやりたいことが見つからなくて、社会にうまく適合できないとか、積極性が乏しくてうまくいかないという人もあったりします。
後はドラッグの問題だったり、アルコールやギャンブルの問題だったり。
あとは自分自身の発達障害の問題もあれば、発達障害の人と結婚することで起きるカサンドラの問題もこの年齢ぐらいから明らかになってくる。
結婚した後に気付くパターンもあったりします。
でも背景には、カサンドラになる側にも何か問題が隠れていることもあったりしますよね、と。
あとは性加害をする側の問題。
自分が加害者になってしまうとか、犯罪に巻き込まれる。
犯罪を受けるとか、犯罪をする側、詐欺とかもあったりしますね。
あと仕事の問題としては、転職でうつになってしまう。
転職のトラブルとか職場で左遷されてしまうとか、そういうのもよくある社会的な問題かなと思います。
あとパワハラ、セクハラ、業界特有のトラブル問題もよく臨床では扱いますね。
これの組み合わせでうつになってしまうとか、他の精神疾患を発症してしまうのもよくありますね。
あとは子育ての問題。
子育ての悩みだったり、自分自身が病気になってしまうとか。
貧困の問題も出てきますね。
意外と年をとってから生活保護を取る人って多かったりしますので、貯金ができず、とうとう働く場所がなくて、生活保護を取ることもありますね。
あとは介護の問題や相続の問題があったりしますよと。
各論で扱うべきなのは、こういう脳の変化の問題だったり、一個一個の社会問題だったりするなということです。
こういうのはよく精神科で扱うものですね。
色々なことがあって無限に思うかもしれないけれど、書き出すと案外こんなものだという感じですね。
もちろん一個一個見ていけば、またその中でも複雑な問題が隠れていたりするんですけど、一覧にしてみるとこんな感じということです。
今回は、メンタルヘルス大全の第2部の2章、3章ですね。
社会問題およびライフステージの一覧を述べてみました。
メンタルヘルス大全
2023.11.7