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精神分析(基底想定グループ、α機能、β機能、ビオン)を解説します。メンタルヘルス大全第3部第3章

00:00 OP
03:19 ビオン
06:14 作業グループ、基底的想定グループ
07:50 集団であることは見直されている

益:第Ⅲ部の精神分析の先程までは、精神分析における誤ったコミュニケーションだったので、精神分析的なところから見た誤ったリーダーシップをお話しします。

ただ、これはなかなかあまりないんです、話としては。
個人個人のコミュニケーションの連続体として集団を捉えるということはしているんですが、集団そのものに精神分析的アプローチしたという研究は基本的にあまりないんです。

日本も海外もそうですけど、集団を用いた治療というのはなかなかあまりなくて、医療とかは。
どちらかというと福祉の方になっていっちゃう。
福祉の方に入っていくと、どこか知的な問題にかかわってくるから、高度なカウンセリング技法というのは無視されてしまうと言うか、忘れ去られてしまって、寄り添いとか、どこまで本人達の能力の範囲でやるのかとか、そういう世界に入ってきちゃう感じはあるんです。

難しいんですよね。
集団の治療は難しくて、現実的に復職訓練とかはあるんですが。当たり前ですけど良くなるのでみんな、良くなっていくと、その集団は解散されるので、何となく維持しにくかったり、その集団を運営するのは難しかったりもするし。

あと日本だと特にピアカウンセリング、ピアのセラピー、自助会というカルチャーがまだ根付いてないので、そこの研究もまだまだ後手後手になって、福祉の領域になっちゃったり。

福祉の領域も、ちょっと雑談ですけど、僕的には色々NPOとか応援したい部分もある反面、横の繋がりが弱かったり、よくわからない政治家がよくわからないうちに補助金をバラ蒔いてグチャグチャになっちゃってるんですよ。
継続的にお金を払う訳じゃないし、その運営する側も何か燃え尽きちゃうことも多いし。
そういう難しい業界ですね。

でも最近は統一協会の解散という形で、あれも一つの福祉という形もあって、でも、あれは悪い部分もあったんで、解散ということになるし、

あと推しカルチャーですね。
アイドルカルチャーというのもある部分では、日常の不満がある人を集めている文化でもあるんだけれど、ジャニーズ問題しかり、どこか闇があったり、まあ難しいですね。

これは難しいですけど、でもメンタルヘルス大全が普及することによって、みんなが精神医学の知識を得れば、また集団運営のあり方もまた変わってくるのかなという気はしていますけどね、という設定でやっています。

ビオン

じゃあ誰が研究したかというとビオンという人なんです。
有名な人でインド出身のイギリス人。

有名なのは、α機能、β機能と言って、言葉になる前の感情とかを考えたんです。
言葉になる前の原始的な感覚とかで、それから言葉になっていくものをβ要素とか言ったりするし、心の中で今後言葉になっていくものをα要素とか言ったりします。

何かわかるようでわからないですね。
でも臨床しているとよくわかるんですよ。

この患者さんは声にならない訴えを言ってる、声にならない涙を流してるんだけれど、これはβだからこのまま行っても多分治療にはならないよね、だから言語化はこっちからしなければいけないよね、というアプローチだったり。

SV、先輩のドクターが後輩ドクターに説明するときに、βの要素が強いんじゃないか、この人統合失調症の妄想だからβの要素が多いよね、知的な問題があるから、難しいからβな感じなんじゃないか、やはりこの人がこの問題を扱うには難しいのかもね、そういう複雑なジレンマの問題とかはβって言ったりする。
だけど何か言葉になりそうだよね、この子どもの涙はこれから生まれそうだよね、今はまだ問題が起きているかもしれないけれど、これは治療は進んでいるんじゃないか、というときに、αだよねみたいなことを言ったりします。

何でわかるのかと言われそうですけど、何となくわかるんですよ。
見ている人もわかると思いますけど。

何かこのまま行っても上手く行きそうにない言葉にならない感情をβと言ったり、でもこれは何か言葉になっていないし、一見無駄なことをしているように見えるけど、すごくα要素を感じるからちょっと粘ってみようかとか、もうちょっと話を聞いてあげたらとか、介入が早すぎたんじゃないか、そういうこと言ったりします。

これもすごく臨床的な感覚の話です。
エビデンスは何ですかと言われたら全然ないですね。

こういうことを言った人ですね。
インドの影響、インド哲学というか、そういう影響もやはり受けている感じですね。
だからちょっとアジアな感じがします。
ヨーロッパの人にとっては結構斬新な概念だったと言われています。

ビオンは第一次世界大戦は戦車軍として従軍して、第二次世界大戦は精神科医として従軍したということは知られています。
その中でメンタルヘルス領域のことをやってたんです。
戦争から離脱してしまった人たちを集団療法で治していくということも試みたんです。

作業グループ、基底的想定グループ

その集団でみんなで議論をしていこうとか、何かを考えていこうということをやったんだけれど、上手く行くときと行かないときがあって、上手く行くときをちゃんと作業をしているということで「作業グループ」と呼んで、上手く行っていない時を「基底的想定グループ」と言ったりしたんですね。
ベーシック・アサンプションとか言いますけど。
難しいんですけど、原始的な本能に支配されている状態だったりすると言ってます。

原始的な本能とは何かというと、依存的だったりする。
誰かがやってくれるだろうという集団的な無意識に支配されている状態。

あと対立ですね。
責任を誰かに押し付けちゃう、外に敵を見つける、内側の敵を見つけたら犯人探しに従事してまともなことをやってない、建設的なことをやってない状態、そういう対立の状態で集団が集団的無意識に支配されている状態。

あと結合ですね。
あの人とあの人がくっつくことで上手く行くんじゃないか、あの人とあの人がやれば何か上手く行くかも、よくわかんないけれど、そこに依存するというか、実際手を動かさないときを結合状態とか言ったりします。

色々な想定グループというか集団無意識があるのかもしれないしれないですけど、有名どころはここということになりますね。

そういうことをしていると、ビオンは集団精神療法というのはあまり上手く行かないんじゃないか、みたいな結論を出してたりします。

集団であることは見直されている

今日においてはどうかというと、SNSの普及、病気の理解、発達障害の理解、色々な理解がある中で、やはり集団は今見直されていると思うので、当時とやはり違うなと思います。
それは新しい技術が入ることによって、よりやれることが変わってきたからなのかなという気もしますし。
集団であることで理解が促進されることがたくさんあるので、上手く失敗例や成功例を合わせて、また研究していければ面白いのかなとは思っていますけど。
そんな感じですかね。

何かありますか、質問とか。

池:海外とかで依存症のグループとか、ああいうのも集団なんですか?

益:そうですね。
元々僕は別に精神分析が好きだったから、発達障害にもそんな興味がなかったし、患者会も好きではないんですよ。そもそも。
心理の人を雇った時にその心理の人がやりたいということでやって、その人が辞めちゃって、それを引き継いで僕がやってたんですよ。

診察室とは違う患者さんの姿とか、患者さん同士の生のコミュニケーションが結構役に立つことは、自分がやるようになってわかってきて。
大学病院とか普通の病院でやっているときは何となく外野からやってたんですが、自分が主体的にやっていくと「あ、こういうアイデアがあったらちょっと変わるな」というのも出てきてわかってきて、断酒会もちょっと参加したりして、コロナになっちゃったんですね。

コロナになって会えなくなったんで、患者会が一回全部なくなったんですよ。
何かちょっとオカルティックな感じ、密着度の高いところだけ残ったんですね。

そういう中で、海外や英語圏ではZoomを使って結構活発にやってたんで、通院中の英語圏の患者さんから、こういうのあるんだよと言って勧められて、やりたいなと思いつつ、腰が上がらなかったんですけど、YouTubeとの兼ね合わせとかで、オンラインサロンとかのような形で応用すればできるのかなと思って、2022年3月ぐらいから始めたということなんです。
そういうことですね。

でも海外で、どういうノウハウでやっているのかというのをちょっとまだよくわからなくて、やはりキリスト教的なカルチャーがあるので、やっている仕組みも別に僕もそんな変わんないんですけど、そこにいるメンバーの常識や雰囲気が違うので、結果は全然違う形ですね。

池:よく映画のワンシーンとかでありますよね。

益:そうそうそう。

池:あれに参加したか、みたいな

益:みんなが集まってソファーに座って円を組んで。

池:はい。

益:それを昔やってたんですけど、やはりなかなか海外のカルチャーはやはり日本のカルチャーと全然違って、欧米のカルチャーと。
日本らしくするにはどうしたらいいのかとか、色々考えてますね。

不思議なんですよね、日本は対話のカルチャーがないんですよ。
仏教も説法を聞くって感じじゃないですか。

池:確かに。

益:だからどうしてもベースのカルチャーがないんですよ。
皆で喋るとか会議するとかが苦手な人たちが集まってるんで、そういう中で難しい話をしても仕方ないので、簡単なところからやって行きつつ、でもそれだとつまらなくなってしまうからとか色々考えながらやっているという感じですね。

でもそもそもリアルに会えるようになったのは今年の5月じゃないですか。
2023年5月からなので、まだ5ヶ月ちょっとしか経っていないので、まあこのメンタルヘルス大全ができて、それをバイブルとしてみんなが読みつつワークショップとか貸会議室でやれたらいいかな、と。
区民館でやったりすると、また変わるんだろうなとか思いつつ、うーん、考え中。

でもそれをやるにしても、今度はお金の問題が出てきて、そうそう。
お金がないから、やるにしてもデイケアでやると結構難しくて、区民館を借りるとお金が取れないじゃないですか。
かといって貸し会議室はめちゃくちゃお金がかかるので、気軽にワークショップとかできないんで悩んでいて、じゃあやっぱりネットかZoomかなんですけれど。

でもそうすると、やはり上手く教育ができないな、とか言って。
でもとりあえずバイブルかなということで、今メンタルヘルス大全を手探りでやっているという感じです。

そういう流れなんですよ。
じゃあ終わります。


2023.11.18

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