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若者がなぜ恋愛をしなくなったのか? メンヘラだからメンヘラと付き合いたくない、という言葉。メンタルヘルス大全第二部第二章社会問題編

00:00 OP
01:53 10代、20代の脳
05:57 恋愛
07:46 家庭環境
08:47 モラトリアムの延長とキャリアの多様化
10:08 新しいフェミニズムと弱者男性
12:13 恋愛の教科書?
15:03 成長を伝える

注意:この動画にはいつもより刺激的な表現が含まれています。調子のすぐれない方、恋愛にトラウマがある方は試聴をご控えください

本日は「若者が恋愛しなくなった理由」というテーマでお話しします。

若者といっても、みんなが恋愛しないわけではないんですけど、若者のある一部の層が恋愛に対して消極的なんですよ。
その理由を聞くと、
「メンヘラだから付き合いたくない」
「私はメンヘラだから付き合いたくないんです」
「相手に迷惑かけるかもしれないから付き合いたくないんです」
「付き合ってもどうせ相手はメンヘラだから、メンヘラの世話なんかしたくない、だから付き合いたくない」
という意見が結構あるみたいなんです。
今回はその話を掘り下げてみようと思います。

「メンヘラ」は結構差別的で、精神科医がこんな言葉を使うなよと思われそうですが、一般的に使われるので、敢えて言います。
ただ僕は別にもちろん当然ですけど、差別する意識はないです。
そういう人たちに対して差別する意識は全くなくて、むしろ協力してあげたいというか、助けてあげたいと思っている側なのですが、わかりやすく説明するためにメンヘラという言葉を使っております。

メンヘラというのは、人付き合いが苦手だったり、自分の感情のコントロールが苦手だったりする人たちを指したりするんですけど、必ずしも全員が精神科に通っている人たちというわけではないです。「病み系」と言ったりしますけどね。
メンヘラって何の略なんでしょうね。
メンタルヘルスがヘラいとかなんでしょうか。
わからないんですけど、メンヘラ、メンヘラと言いますね。

10代、20代の脳

そもそも10代、20代の人たちはどういう人たちなのかというと、感情コントロールが苦手なんです。
10代、20代というのは特殊な脳みそで、思春期に入ってから脳は性ホルモンの影響を受けて色々な風に変化していくのですが、まだまだ未完成な脳みそなんですよ。
30代、40代に比べるとかなり未完成で、感情コントロールがとても苦手です。

性ホルモンの影響を受けて過敏に反応してしまう。
女性だとよくわかると思うんですけど、落ち込む人がいるじゃないですか、ホルモンの変化で、生理とかの変化で。
それと同じように若い子は特に落ち込んだり、女性は落ち込んだり、アップダウンを繰り返しやすいですね。
男性の方もテストステロンが出てきて、すごく攻撃的になったりするというのがあります。

次に、ドパミン系の刺激に弱いんですね。
ドパミン系というのは興奮したり、新しいことしたり、怖いことをしたり、危ないことをするときに出る脳の伝達物質なんですが、その影響を受けやすい。
だから依存症になりやすかったり、危険な行為を楽しんだり、危ないことをするのを好むんですよ。
その結果、感情がグチャグチャとなりやすい。

あと周りの目をすごく気にするんですよ。この時期の子どもたちというのは大人よりもかなり気にする。
相手からの評価、仲間内の評価、同年代からの評価をすごく気にしますね。そういう脳みそなんですよね。
その結果、感情コントロールが苦手ということです。
特殊な状況なんです、脳自体も。

知識経験も当然ながら乏しいです。だから、このときはどうしたらいいんだろう、こういうときにどうやって対処すればいいんだろう、ということがよくわかってない。
失敗経験が少ないんですよ。
成功体験も少ないですけど、失敗する経験も少ないので対処できない。

対処できないと、やはり奥手な人たちは、もう失敗したくない、じゃあ問題から避けよう、問題に触れないようにしようということで、回避的になっていく。
そして人付き合いを避けちゃうということになりやすいですね。
人付き合いを避けるから成功体験を積めず、失敗も活かせず、失敗も増やせず、ますます苦手になっていくんです。
失敗を重ねながら人は成長していくので。

AIと一緒ですよね。
失敗を繰り返しながら成長していくのに、トライ&エラーが少ないから、だんだん差が開いてしまう。
元々苦手なので、どんどん差が開いてしまう感じです。

あと、若者というのは地位もお金も少ないですよね。
地位も低いので、なかなか自由にやらせてくれないし、お金もないからなかなかやれることが少なかったりします。
働いたり勉強しなければいけないなどやるべきことも多いので、なかなか恋愛にエネルギーを割けないというのもあるのかなと思います。
だからちょっとかわいそうだなと思いますけど、こんな状況で恋愛もしなければいけないというのは結構きついなと思います。

空いた時間に遊ぶものもいっぱいあるんです。
SNS、スマホゲーム、スマホの中のもの、ネットのもの、いっぱいあったりして、そっちの方でエネルギーを割かれて、生の人間と恋愛していく方にエネルギーを割けない。
SNSでキラキラしたものや成功しているものを見過ぎてしまって、自分はダメなんじゃないか、自分はメンヘラなんじゃないか、と劣等感を感じ、ますます積極的になれないというのもあるだろうなと思います。

あとは妙に知られちゃうとかね。
みんな互いに敏感だから、恋愛をしてもすぐ知られちゃうとかね。
コミュニティにすぐバレて、恥をかけないな、そういうのもあるんだろうなとは思います。

恋愛

恋愛の変化としても、マッチングアプリの誕生というのはやはり大きかったんじゃないかなと思います。
マッチングアプリを使うことで色々な人と出会える、たくさんの人と出会えたりした結果、市場の最適化が行われてしまったという弊害があるのかなと思います。

つまりモテる人、かっこいい、綺麗な人、外見が良くて、運動神経も良くて、頭も良くて、気遣いができて、お金を稼げて、実家も裕福で、みたいな、モテる要素というのはあるわけです。
それは否定もしがたいですよね。
人間心が大事と言いつつも、そういう属性によって評価される、されにくい、あると思います。

人間は動物としての本能があるので、そういうことが起きる。
その結果モテる同士が、恋愛のパワーバランスの高い同士がくっついたりして、低い同士がマッチングしちゃうようになってしまっている。
よりメンヘラだからメンヘラと付き合う、ということが構造上起きやすくなっているのかなとも思います。

だから格差恋愛みたいなのが起きにくいのかなと思います、昔よりも。
あれば、こっちが人付き合いがうまかったら下手な人を引っ張ってくれる、逆もあったと思うんですよね。
それが起きにくいですよね。

互いにコミュニケーションが苦手同士が付き合わなければいけない状況になりかねない。マッチングアプリを使うと。
そういうことが起きているのかなと思います。

それだったら推し活している方がいいよと言って、ジャニーズその他アイドルを応援しているときの方が楽しいと言う人も多いんだろうなとは思います。

家庭環境

あとは家庭環境ですね。
家庭環境が良くなかった、親が離婚していた、家族の中がグジャグジャしていた、そういうものを見ていた結果、子供時代が辛かった結果、自分はもうやりたくないな、恋愛したくないな、そう思っている人もたくさんいるということです。

虐待が表面化してきているというのもあるし、昔だったら強制的に結婚しないといけない、家庭を持っていないと一人前じゃないみたいな、そういう社会の圧。社会圧というのはあったんですよ。
今の若い人はあまりよくわからないかもしれないですけど、独身ということが気まずい時代があったんです。
それが今はないので、じゃあ選ばなくていいんじゃないかみたいな。

気まずいから結婚して、気まずいから離婚もできず家の中が荒れてて、家庭の中で一番の弱者である子供たちが被害をこうむっていたという歴史があります。
そういう人たちはもう恋愛したくないなと思っていることも多いです。

モラトリアムの延長とキャリアの多様化

あとはモラトリアムの延長とキャリアの多様化です。
大人になるまでが時間がかかるんですよ。
モラトリアムというのは、子供が大人になるまでの期間のことをいうんですが、これが延びている。
精神年齢が基本的に幼いんですね。

昔の高校生だったらデートしてたみたいなものが、初デートは大学生になっている、結婚が20代だったのが30代になっている、全体的に大人になるまでの時間が延びている。
寿命も延びているので、大人としての覚悟ができるまでが延びているという感じです。

あとはキャリアも多様化していて、色々なことを勉強しなければいけない。
人間としてというか、恋愛的に大人になるまでも延びているし、なるまでの期間が、恋愛を開始するまでの期間が延びているというのもあるし、社会人として一人前に働けるまでの期間が延びているというのもあるなと思います。

それはキャリアが多様化して複雑になってきているので、身につける技術が増え過ぎていて、なかなか一人前になれない。
一人前になれないから勉強しなければいけない。
余裕がなくて恋愛にエネルギーを割けない層というのもいるだろうなと思いますね。

新しいフェミニズムと弱者男性

あとは新しいフェミニズムと弱者男性というやつですね。
今は女性像が変わってきているんです。
仕事もできて、家事育児もできて、旦那さんとも上手く行って、みたいな、全てを求められるような女性像というのが主流になってきてますよね。

昔の良妻賢母のイメージが変わってきていて、昔のお母さん+仕事でも成功している、という条件が加わっているので、なかなかそこまで達しないだろうということで、恋愛までにエネルギーを割けない、自分のことをダメだと思ってしまう。
ダメだと思うので、挑戦できないということも起きているのかなと思います。

男性もしかりですよね。自分はダメだと思っている。ダメだと思うから挑戦できない。
どうせ嫌われるんだろうとなってしまっているというのもあるだろうなとは思います。

まあ挑戦しちゃえばいいんだけれど、挑戦がしにくいし、挑戦した結果悪い噂が立ったらどうしよう、実際悪い噂が立つとSNSで回ってしまうんですよね、情報が。
なぜかというと、若い子たちというのは大人と比べて他人の失敗が大好物なんですよね。
だから回ってしまうんだろうなと思います、そういう脳だから。

悪いこともしちゃいますからね、刺激的だし。
大人たちだったらしないことをやる。
ちょっと悪いことをするということも大好物だったりするので、やってしまうということですよね。
その結果、できない子たちが増えているということです。

付き合ったとしても、マッチングの問題があるので、メンヘラ同士になってしまう、コミュニケーションが苦手同士がマッチングされやすくなってしまうということがあります。

恋愛の教科書?

もうちょっと言うと、恋愛の教科書みたいなのが欲しいという意見も聞くんです。

どうやったらいいんでしょうか?
どうやったら人付き合いが上手くできるんでしょうか?
自分がちょっとそういうのが苦手だとがわかりました。じゃあどうやったらいいんですか?
ということですよね。

どうやったら少しでも上手く行くんですか、上手く恋愛できるんですかということになるんですけれど、現実的に恋愛の教科書と呼ばれるものは、どういうのが多いかというとキラキラしているものですね。
キラキラ系やナンパ塾みたいな形で男向けの恋愛、どうしたらやれるのかみたいな話が多かったりします。

ワンナイトラブはどういう人とやりやすいのか、メンヘラ系の見分け方、メンヘラ系と別れやすくなる方法、そういうのを教えたりするところもあったりするという感じです。

あとはキラキラしてて、どうやったらモテるのか、どうやったら格好いい男性をゲットできるのか、となるんだけど、これも息苦しいですよね。
これも新しいフェミニズムというか、完璧を目指せということなので、苦しいなという感じかなと思います。

じゃあそうじゃない恋愛塾やれよ、という話ですけど、業者も個人の葛藤に付き合えないんですよね。
苦手な若者が一人前になっていく、コミュニケーションをトライ&エラーで覚えていく、そういう泥臭い作業に付き合ってられないよみたいなことなのかなと思います。お金にもなりにくいし。
ダサいな、コスパ悪いと思っている。
思ってるというとアレですけど、そういうのもあるだろうなと思います。

よく僕は「守りが大事だ」と言っていますけど、こうやったら上手く行くよ、こういうことをしてみたら、というアドバイス、攻めの部分が大事なわけではないんですよ。
もちろん僕のYouTubeでは攻めの部分を強調してコンテンツを作っていますよ。
それはYouTubeの特性上一方通行ですからそうなるんだけど、実際はもうちょっと泥臭い作業、守りの作業が大事です。
守りの力が大事なんです。

つまり葛藤がある。葛藤があるところを一緒にサポートしていく。その葛藤に付き合う。
上手くいかない。やる、失敗する、やる、失敗する、、、を繰り返す横でちゃんと支えていく、フォローしながら付き合っていくということが大事で、こういうのは泥臭いし、お金も生みにくいですよね。

成果が出ていないから、お金も発生しにくいんですよ。
でも、そういうところをフォローしていくということが本当は重要なんだけど、なかなか資本主義という構造上そういうことはできないですよね。
コスパが悪いということになっちゃいます。

成長を伝える

じゃあその資本主義の中でどういうことが起きているのかというと、やはりSNSで嫉妬したり、やっかむ気持ちをかきたててモノを売るみたいなことが起きたり、推し活という形でモノを売る、こうやったらモテるだろう、こうやったら完璧になれるだろうという形で理想の自分になるためのモノを売るなどは結構あります。

コンプレックスを結局解決したいので、みんなは。
解決するための商品だったり、今度は逆に解決から回避させるようなもの、不器用を肯定するようなもの、回避するために目くらましとしての推し活だったり、孤独のグルメみたいな形でソロ活を応援するような、肯定するようなコンテンツというものが多かったりするのかなと思っています。
その結果、恋愛市場は活性化しにくいということだと思います。

大事なことは何なんだろうなと思うと、もちろん僕らは精神科医なので不器用さを肯定するし、ソロを応援するし、それを肯定をするんです。

こういうキラキラがいいんじゃないよと、キラキラを肯定するよりはどちらかと不器用を肯定するんだけれど、一方でこういうキラキラになれというわけではないんだけど、成長を伝える必要があるんですよ。
成長していく、解決していく、ということも同時に伝えたいので、じゃあどういう風にキラキラや押しつけではなく、彼らの成長に合ったものを伝えられるのか、ということを考えていかなければいけないんだろうなと思います。

でもまあこれ、よく出すやつですけど一緒です。
どうやって成長していくのかというのは、基本は一緒なので、またいつものメンタルヘルス大全、セルフケアのやつを出しますけど、自分はどういう人間なのかを理解したり、感情に支配されない方法を学んだり、どう生きるのかという問題の解決能力を高めていったり、戦略を考えたり、周囲に誤解されないようにコミュニケーションを取る練習、逆に周囲から誤解されたとしても、それを受け入れるトレーニング、孤独であることを解決するトレーニング、それを同時に受け入れるトレーニングをやっていくということになります。

オーソドックスには心は脳だということを理解してセルフモニタリングをしつつ、休むべきときにはしっかり休む、適宜自分の状態をチェックして休む、ちゃんと寝る、と。
寝る前に問題が片付いていないと寝れないんですよ。
なので頭の中を整理、明確化、言語化するということです。

これも結構難しいですよ。
心の問題、仕事の問題というのは抽象的ですから、見えないものを扱わなければいけないので、結構難しいんですけど、そういうトレーニングもする。

そしてその上で、そもそも疲れにくい考え方もしなければいけないですよね。
白黒思考、完璧主義をやめて柔軟でしなやかな考え方、主観2.0に移っていくということも重要です。

こういうことをするために何が良いかというとマインドフルネスです。
座禅を組みながら頭を整理していく。
そして考え込んでグルグル思考になったら、イカンイカンと思って呼吸に戻る。
呼吸に戻ったらまた何か考え事を始めるんですけど、またグルグル思考、同じことを考えるようになったらイカンイカンと思って、また呼吸に戻る。

そういうことを繰り返していく中で頭が整理されるし、感情と自分を切り分けるトレーニングにもなるので、客観的に自分を見るトレーニングにもなるので、そういうことをやっていくということになります。
あとは転移とか葛藤とか色々ありますけど、また別の動画で見てください。
なんかちょっと早口になっちゃいましたけど。

今回は恋愛系の話をしました。


2023.11.22

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