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精神科医の考えていることって変! 精神科医の独特すぎる思想について語ってみた

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00:00 今日のテーマ
04:24 記憶、感情、判断はすべて暫定的なものである
07:28 人間は合理的行動をとらない
09:37 人間は遺伝と学習環境によって作られていく
14:50 病気・障害という悲運に対し、社会や人々は助けなくてはならない

今日は精神科医、精神医学の思想について雑感を喋ってみようと思います。マニアックなのですが、どうして患者さんと治療者で価値観がずれているのかを理解してもらうには良いテーマなのではないかと思います。全員の医者が思っているかどうかはわかりませんが、たぶん同じようなことを思っているのではないかと思います。

小松さんとのYouTubeラジオで倫理の話をしたのですが、その時パラパラと見ていた倫理の教科書の最初の方に「諸子百家」が出てきます。諸子百家とは中国の古代思想で、戦国時代にどのように生きたら良いのか、戦術をどう組めば良いのかなどをまとめた教えです。僕はなぜ法家や孫子が思想なのかが高校生の時にはわかりませんでした。価値観を伝えているのか技術論なのかがよくわからなかったのです。

ですが、大人になって経営を少しずつ学ぶと、やはり企業や経営には価値観というか思想が必要だということがわかりました。企業ごとの価値観があり、合理的で味気のないものだけだと上手くいかないのです。これは結構面白いです。

僕ら精神科医には思想がないのかと思ったのですが、考えてみると科学は純粋でなければいけないので精神科医には思想という言葉は合いません。でも、科学は思想ですし、もう少し踏み込んで考えると精神科医には職業倫理がありますのでやはり思想があると言って良いのではないかと思います。

脳はさまざまなものから影響を受けるため、記憶、感情、判断はすべて暫定的なものである

心=脳で、基本的に僕らは魂(スピリット)を想定して考えていません。心は一つの臓器が映し出すなんとなくのものと思っています。記憶、感情、判断は永遠に続くものではなく暫定的なものだと思っています。

・自己、存在、価値、イデア?の否定
自己、存在、価値、イデアに対しては基本的に否定的な立場です。思想においては逆の立場の人もあるわけです。
記憶、感情、判断は常に作り変えられていきます。患者さんも変わっていきますし、患者さんの言葉をすべて真に受けて一喜一憂していたら疲れてしまいます。考えてみたら特殊な価値観かもしれません。

・言語、知性は脳の一部
無意識の方が大きくて意識が表面に乗っているというのが僕らの考えで、意識が使えるのは脳の一部です。だから言語や知性には限界があり、常に知性に対しては疑ってかかっているのが僕らの世界観なのかなという気はします。
ロジックに関しては1つの限定された世界だと思っており、それがすなわち心や脳だとは思っていません。1つの一次元的、平面的な世界だとしか思っていません。ロジックしかない人を平面的な人と言ったりします。心に立体感がないと。

とにかく、絶対的なものはないということです。

人間は合理的行動をとらない

・自由意志の否定

・対人関係、集団はトラブル多し
人間は合理的な行動を取らないので、対人関係や集団でトラブルや誤解があるのは当たり前です。人が増えると変数が多くなるから人がいないところでゆっくり休んだらと言うわけです。相手の意見は聞かない方がいいよと言うのも、そもそもトラブルが増えるからです。相手も合理的な行動を取りません。

・言葉は伝わらない
言語は不完全な情報ですし、そもそも発信する脳が言語を理解して発信しているとは思えないし、受け取る側の脳もきちんと理解しているとは思えません。それをわかった上でやっています。これも精神科医ならば当たり前のように受け取る事実ではないかと思います。

逆に合理的な行動をするというとカント的なのかなと思います。

人間は遺伝と学習環境によって作られていく

人間は遺伝子だけで決まるとも思わないですし、養育環境だけで決まるとも思いません。生まれか学びかと言いますが、両方の要素があります。当然ですが。

・なりたい自分、努力、甘え?
努力すれば夢は叶う、失敗が多いのは甘えではないかなどと言いますが、そういう次元では僕らは考えていません。この人甘えているなとも思わないですし、こういう家庭環境だったから頑張れないのかななどと考えます。努力しても意味がないとは言いませんが、頑張ることを求めたり言ったりはあまりしないです。そういうもので決定しないと思っているからです。

・運命論
僕がもうちょっと頑張っていれば、もうちょっと集中していればというようなことはあまり考えないような気がします。考えることもありますが、考えると疲れてしまいますし仕事として続けられません。運命論的なものをなんとなく受けれいれていると思います。

・治療は部分的介入の連続
遺伝には薬を効かせ、学習環境には精神療法を効かせます。環境に関しては社会福祉もありますのでできることをやります。本当はできたはずのことができなかったという判断をしないように、できるだけできることは全部やれるように常に準備しています。

病気・障害という悲運に対し、社会や人々は助けなくてはならない

自由意志もないし運命論で決まっていると言うならば、病気や障害は仕方ないと諦めろということですかと言うかもしれません。そういうことを言う患者さんも結構いますが、そうも思わないです。職業倫理もあって助けなければいけないと思っていますし、助かったら幸せになると僕らは思っています。そこは疑っていません。悲運があったとしても救えるものは救えますし、みなさん幸せになっています。

・命>自由、競争?
命の方が自由や競争よりも価値があると思っているような気もします。

・マインドフルネス>人工的価値観
人間も動物ですが、動物が幸せを感じるのは安全な場所で食べられて眠れて仲間がいる状態です。お金・成功・名声など人工的に作られた価値観も魅力的ではありますが、本質的には関係ないと思っています。悲運があったとしても、衣食住安全な場所にいられたら幸せになれることはわかっています。

こういったことが僕らの価値観であり思想です。喋ってみて改めて変わった価値観だなと思いました。

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2021.1.22

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