今日のテーマは「女性差別と精神科臨床」です。もしこの患者さんが男性だった場合このようなトラブルには見舞われていなかっただろうし、うつにもならなかっただろうというケースを解説してみたいと思います。
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1.仕事での差別
仕事での差別の相談も多いです。
・入社時
・派遣から正社員になる時(男性優先)
・新人研修
・産休、育休(男性上司、男性部下から、女性同士)
・出世
(・不倫、セクハラ)
今は会社は「ピラミッド構造」ではなく「エンピツ構造」のようになっています。トップがいて幹部がいて、正社員、派遣、アルバイトといますが、正社員〜アルバイトがほぼ垂直です。垂直ならばまだ良く、逆ピラミッドになっていることもあります。
そうなってくると、上の人がアップデートされず幹部のおじさんたちの意見で苦しんでいるケースがよくあります。「女なんだから○○しろ」というようなことを平気で言うのです。開き直って転職する人もいますが、泣き寝入りになることが多いのも実情です。
2.恋人からの差別
・DV
男性の方が腕力が強い→シェルターへ
・不倫、浮気
結婚していることを黙っていることも→弁護士へ相談
・経済的不利
不倫、浮気問題はかなりあり、出産やお金の問題も絡んでくるので女性が不利になることが多いです。統計学的には男性の数の方が少し多いのですが、人間は動物なので強いオスがメスを囲ってしまうことがあります。そうすると女性が不利な状況になることが多いです。
ただ、難しい議論をする必要はないと思っていて、だいたいこういう場合は男性側が精神的に未熟だったりします。また、なぜそのようなパートナーを選んだのかという問題もあります。生い立ちや虐待の問題が絡んでいることもあるし、単純にそういう人がパワーがあって魅力的に見えて押 しの強さに流されてしまうという構造上の問題ということもあります。
3.家族からの差別
・母→娘
母親が娘に「女なんだから○○しなさい」というのはいまだに多いです。
・父→娘(性被害)
・介護
女性に押し付けてしまう
・不倫、浮気
夫が不倫をしている。8:2か9:1くらいで男性の浮気問題で女性が困っている感じです。男性側から相談に来ることは少ないです。
昔ながらの父権制度が意外と残っていて、お父さんがアスペルガー的で子ども過ぎる感じで、女性が被害を被っているという形もあります。
さいごに
以上、さらっと話してしまいました。僕自身がこの問題を詳しく語るだけの知識がないこともありますが、それ以上に話すほどでもないくらい未熟な議論でもあります。
巧妙なテクニックで女性を騙したとかそういう話でもなく、単純な女性差別がすごく多く、わざわざ語るまでもないことの方が多いです。複雑な構造が隠されているわけでもなく、ただ女性を差別している、道具としてしか見ていないことがまかり通っています。それは臨床していてもよく思いますし、患者さんも笑ってしまうくらい「本当にくだらないんですけど、うちの会社はね…」と語ったりすることも多いです。
時事ネタは今回のように「未熟な議論だから…」のような話になってしまうので、これまで動画にする気持ちも起きなかったのですが、このような問題をちゃんと取り上げるべきなのだろうなと改めて思いました。
仕事の悩み
2021.2.15