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精神科の再診時間が短い問題に対する解決策およびYouTubeを活用した場合の問題など

00:00 今日のテーマ
01:30 精神科の再診時間
05:03 そもそも良い診療とは?
08:25 時間と頻度を増やすために
13:57 自分でできること
16:10 YouTubeを開始して
17:14 1万人を意識したところで思ったこと
19:33 4大メディアの時代からSNSの時代へ
22:22 医療メディアは何を求められている?

今日は精神科の再診時間が短い理由と、それに対して僕がどのようなアプローチで解決しようとしているのかを話してみようと思います。後半はYouTubeをやりながら何に気づき、今どのような問題意識を持っているかについても語ってみます。

この動画は自分の中で考えていることを整理、言語化するために撮っているのですが、この過程を見せることで解決思考を具体的にお見せできるかと思います。何かしらのヒントになれば幸いです。

精神科の再診時間

精神科に通院し慣れていない人は再診時間の短さに驚かれます。「益田は話を聞いてくれない!」と怒られますが、保健診療の点数の付き方の決まりがありますのでこれはある程度仕方ないことです。診察時間を長く取ってしまうとクリニックの採算が合わなくなってしまいます。

お金儲けのために医療をやっているのかと言われるとそういうわけでもないのですが、あまり無理をするとモチベーションの維持というか、体力的にきつくなってきます。雇用の問題も起きてきますのでなかなかできません。

この問題に対するアプローチとしては、「行政的なアプローチ」と「患者さんを区別する」というものがあります。

「行政的なアプローチ」というのは「保険診療のやり方を変えてくれ」ときちんと言うということですが、医療費が上がっている問題もあり行政が動くのは難しいと思います。

もう一つの「患者さんを区別する」というのは、安定している人は診察時間を短く、神経症や人格障害の人など時間のかかる人は長めに取るといったやり方ですが、僕はあまり好きではありません。患者さんを区別するのが良くないとも思いますし、長く治療していく過程で共依存的になりすぎて治療がうまくいかない感じもあります。患者さんの退行をうながすことにもなります。これは自分の経験からも、他のドクターを見ていても思います。

あまり話さない人には時々雑談を振ったりしますが、これも読めてない説があり、早く診療が終わってほしい人に雑談を振ってムッとされることもあります。

そもそも良い診療とは?

そもそも良い診療とはどういうものかと言うと、質・時間・頻度・間を活かすものです。

ここで言う質とは「患者さんの心がどう変化したら治療が起きるのかということを知っている、意識する」ということかなと思います。患者さんが賢くなった、強くなったから治療が進んだとは思いません。「変化に対応できた」から良くなったという気はします。ダーウィンの進化論でも同じようなことが言われていますね。コロナの時代になって、変化に対応することの意義をよく考えるようになりました。

「変化に対応する」とは、合理的・論理的に納得する、俯瞰的に物が見られる(メタ認知)、自分の考えを言語化できる、自己肯定感が増す、安心することで変化を受け入れられる、などです。
このように、どうして良くなったのかを考えていくことが大事ですし、経験的に理解していくことが質を高めるということかと思います。

質を良くすることに加えて「時間・頻度を増やす」ことも大事です。
診察と診察の間を活かすことも大事で、例えば認知行動療法のホームワークもその1つです。診察の中でヒントを出すことも良いかなと思います。これをお土産と言ったりします。

時間と頻度を増やすために

時間と頻度を増やすためには医師以外の力を借りることも必要です。

・カウンセリング(オンライン化、外注化)
カウンセリングで診察を補うこともできますが、時間とお金の問題があります。オンライン化は一つの答えかなと思いますが、そうなると治療者の管理や質も問題になってきます。

心理士さんが個人事業主になって自分の責任でどんどんやっていけば、責任感がある分どんどん腕も良くなりますし、売り上げが一緒でも経費に使えるようになるので手取りの収入が増えたりもします。今後、個人事業主になっていく心理士さんをどう支援していくのかを今考えているところです。ただ、アルバイトの方がやりやすいということもあるのでいろいろな兼ね合いで決まります。

・デイケア
作業療法士さんと治療していくというのもあります。デイケアは時間も長いですし通う頻度も増えますので治療的には良いです。ただ、ビジネスモデルが行政に決められているのでその枠を超えて自由にやることはなかなかできませんし、集客の問題もありやはり難しいものです。

・就労移行、自立支援
就労移行や自立支援は医療法人ではなく民間でできます。デイケアより競争も激しいのでより質を担保できるかと思いますので、就労移行支援と連携を組むのは良いと思います。Kaienさんやリバトレさんとできるだけ情報共有をするように努めています。

・座談会、自助団体
当事者同士の座談会、自助団体もあります。今はオンライン化の流れが進んでいます。うまく行くと良いなと思いますが勉強中です。
もし動画を見ている方で自分たちもやっているよという人がいましたら教えてください。

自分でできること

・プリントでの疾患説明
これは船井総研から学んだのですが、実際やってみると紙だと患者さんが無くしてしまったり困ることもあったのでHPで説明するようにしました。
そのうちYouTubeでやるようになりました。喋れば良いので文章を書くよりコスパがよいのです。流行にも乗っかっていますし、更新し続けることで間を活かす作用も起きますので、四苦八苦しながらやっています。

実はこれ2回目の撮影で(1回目は音声が録れていませんでした)、めちゃくちゃ疲れてきました。

YouTubeを開始して

2019年12月スタート

2020年8月収益化(チーム制)
サムネイルを作ってもらったり、概要欄を書いてもらったり。そうすることで通院している患者さん以外にも見てもらえるようになりました。

2021年2月 登録者10,000人
ここで視野がガッと広がり不安になりました。

1万人を意識したところで思ったこと

・これで良いのか?
・倫理的におかしくならないのか?
・承認欲求
・収益化

正しい医療情報をきちんと伝えるにはどうしたら良いのかいろいろ悩みました。編集力をつけたほうが良いのか、どういう患者さんにどのような情報をどう伝えるのかなど。

チームやスタッフの幸せとはなんだろうということも本当に考えました。僕がYouTubeをやることでやりがいを感じてくれるのか、登録者数が増えることが彼らの幸せに繋がるのか、受付のスタッフの人たちもYouTubeをやることで嬉しい気持ちになれるのか、治療効果が上がれば彼らのやりがいも増すのではないかなどと考えました。

見ている人には僕が一人でやっているように見えると思いますが、診察は僕だけではなく受付の人、カウンセリングなどチームでやっていますし、動画についても外注しているといっても僕はチームだと思ってやっています。就労移行支援や座談会の人たちも同じチームだと思っています。

ですから、そういう人たちが幸せを感じたりやりがいを感じてくれるために僕はどうすれば良いのかを考えました。その中で、より正しい情報を伝えるなど「良い方向」に向かっているのが良いのではないかと考えました。

4大メディアの時代からSNSの時代へ

かつては新聞、ラジオ、テレビ、雑誌の4大メディアの時代でした。その時代は教授や偉い先生たちの発信力がありましたが、今はSNSなどで誰でも発信できるようになり玉石混淆になっています。それだと正しい医療情報がどれかわからなくなってしまうと思い、筑波大の松崎先生にこのことについて相談しました。その結果、医療系YouTuberの会を作ろうということになりました(元々会を作りたかったのですが)。会を通じて緩やかにつながっていくことで良い方向に行けるのではないかと思います。

患者さんが図の青いネットワークのどこかに一度引っ掛かれば、ネットワークの中で情報を取ることができ、そうするとより信頼できる情報を得られると思います。あとは何よりやっている僕らは楽しいですしね。これはコロナがあったからかなという気もします。コロナの時に孤独や不安を感じ、そのような圧があったから繋がりの会を作ったという感じです。

緩やかなつながりがあることで相互監視にもなりますし、正しい情報を共有しやすくもなります。僕が撮っていない動画は「〇〇先生の動画を見てください」と言えば診察もうまくいきます。
またYouTubeはその人となりが見えてくるメディアなので、コラボをすることによってその人の人間性がより立体感を増し、信頼が持てて治療につながっていくのではないかと思います。そして実現したのが先日のコラボ動画です。

医療メディアは何を求められている?

ここでまた視野がガッと広がり、「医療メディアは何を求められているのか?」を考えるようになりました。ヒントとして市川先生の動画を見てすごく思いました。そこであげられた議題と僕の考えをミックスしてみました。

・断言を好む vs 正しい情報
今の時代は断言が好まれます。ですが、医者は自己防衛もあるかもしれませんが正しい情報しか伝えたくないという気持ちがあります。ただ、正しい情報だけを伝えようとするとつまらなかったり伝わりにくかったりしますので、断言をすることと正しい情報との歩み寄りが重要なのではと思います。

・メディアとどう協力していくのか
素人が作っていてもつまらないので、面白い人、つまりメディアとどう協力していくのかも大事だと思います。自分たちがメディアになる、タレント化していくことは良いのだろうかという問題もあります。メディアとどう距離をとり、協力をしていくのかは1つのテーマだと思います。

・メディアと現場、医学のバランス
僕はYouTubeばかりやって、ビジネスばかりやってといった批判をされることがあります。それは医師はどうあるべきかという医師像につながっていくのではないかと思います。ドクター同士でも、あの人は研究ばかりやってとか批判することもあります。極端なものは医師とは呼ばず、バランスよくいろいろやっているのが医師なのかなと思います。

医学は患者さんと接する中でわいてくる疑問を解決していく学問なので実学なのです。そこから離れてしまうとちょっと違うという気がしますし、それを日々学び続けていないと医者ではないという気もします。

時代によってそのバランスの真ん中は変わります。答えはないけれど、時代の中で重心を探しているという感じです。やりながら考えていきます。

今僕にできることは、医療関係のつながりを作りつつ、目の前の患者さんにとって重要な情報は何かと考えながら動画を撮っていけたらなと思います。

・・・これ喋るの2回目ですからね、さすがに疲れました(笑)

【関連動画】

「医療の『い』と、メディアの『め』。」 いどばた​ vol.2 SNS医療のカタチ​
https://www.youtube.com/watch?v=sF563UKyZuo&feature=youtu.be

松崎先生とたけお先生と共に小松さんとのラジオ 毎週水曜日20時半から
https://youtu.be/DnNO6QyJ-hI


2021.3.5

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