今日は「精神科に通院して自分を変える方法」について解説します。
自分を変える方法はいろいろありますが、なかなか難しいことです。その中で今回は精神科への通院を通じて自分を変える方法をお話しします。
精神科の通院は初診と再診に分かれます。
治療とは、通院を繰り返しながら少しずつ変わっていくという流れです。
ここではどのようなことが起きているかをお話しします。
何が起きているか分かると、自分を変える方法もわかるのではないかと思います。
現代では認知行動療法的なやり方がオーソドックスだと思いますので、それをベースにお話しします。
参考書籍:『臨床医のための精神科面接の基本』(新興医学出版社 2015)
コンテンツ
初診
初診では、家族歴や仕事のことなどいろいろ聞きます。
聞いていく中で、このようなことがわかってきます。
・診断
・性格、気質、認知の歪み
・困りごと1
・困りごと2
この人がどういう人なのかという見立てをある程度立てた上で、治療方針(薬、外来カウンセリング)を決めたりします。
これを30分+αでやっていきます。
再診
再診は5分+αになります。
1.前回から今回までどんなことが起きたかというオープンな話
2.「テーマ」に基づいた会話へ
・完璧主義でうつになってしまった→今回もこういう完璧主義なところが出たよね
・人付き合いの苦手さ→また過去の嫌な上司のパターンを思い出したね
3.「認知の歪み」を伝える
・やはり完璧主義なところがあるよね
・人を恐れすぎているよね
自分で気づくように質問を投げかけてみたり、言葉ではなく安心感など関係性の中で伝えていく、無意識の空想を解釈するなどいろいろなやり方があります。
僕は結構シンプルに「あなたはこういうところがありますね」「こうしないと難しいかもしれないですよ」などと伝えることが多いかもしれません。
4.「宿題」を出す
・次回までにこういうことを考えてみたらどうですか
・次回までにこういうことに挑戦してみたらどうですか
・次回までによかったら僕のYouTubeのこの動画を見てください
といった宿題を出します。
何が起きているか
自分、他人を知る
何が起きているかというと、「自分や他人のことを知っていく」ということです。
「自分にはこういう部分があるのか」「他人はこういう時にこう思うのか」といったことです。
当たり前と言えば当たり前ですが、知らないこともありますし、それが病気や息苦しさを生んでいたりします。ですから、第三者の視点からそれを伝えたりします。
僕自身、人生経験がものすごく豊富というわけではありません
が、他人からはよく見えるものです。
多くの人は友人など利害関係にあるので、シンプルに気づいたことを言ってくれる人はいません。ですから利害関係のない第三者である僕らの意見を利用できることは大事だと思います。
問題を解決
宿題を解決するのでも日常の現実的な困りごとを解決するのでも良いのですが、解決をしていくことを通じて「しなやかな思考」「不安と正しく向き合う方法」「世界を信頼すること」を獲得していきます。
そうすると、自分は変わっていくし生きやすくなってきます。
多くの神経症圏の病気は、自分や他者の理解、日常の問題解決を通じて先の3つを獲得していきます。
これはすぐに身につくものではありません。
年単位での外来を通じて少しずつ変わっていくものです。
今回、なぜこの動画を撮ろうと思ったかというと、患者さんはこのような再診の流れを意識したことがないのではないかと思ったからです。
診察ではこのように説明しませんが、言わないとわからないこともたくさんあるなと思ったので動画にしました。
前向きになる考え方
2021.7.4