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女性のうつ病の特徴

00:18 女性のうつ病
03:36 年代別の鑑別

今日は「女性のうつ病」というテーマでお話しします。

女性のうつ病は男性のうつ病とどう違うのかについて、臨床家目線でお話しできたらと思います。

女性のうつ病

・男性よりも「不安」が強い
女性のうつ病は男性のうつ病よりも不安が強いと言われています。

・早めの受診
女性の方が男性よりも早めに受診することが多いです。
調子が悪い時に精神科の通院に至るケースは女性の方が多く、重症化する前に来ることが多いと言われています。
また早めに受診するためか、自殺率も男性より少ないということがわかっています。

不安が強いと書いていますが、これも益田の偏見かもしれませんが、感情を言語化するのが得意なので不安が強く出てくるのかなという気もします。
ただ実際に脳内で何が起きているのかというのはわかっていません。

・鑑別が多い、女性特有の悩み
もっと重要なことは「鑑別」の問題です。
女性のうつの場合は、男性と違ってこういう疾患を鑑別しなければいけないというポイントがいくつかあります。

女性は自分の気持ちを言葉にするのが得意な部分もありますが、隠すのも同時に上手だったりします。
男性の方がストレートに自分の症状や気持ちを言うのに対して、女性は隠していたり照れてしまい伝えなかったり、言ってはいけないものだと思って黙っていたりするので、工夫が必要だったりします。

女性特有の悩みというものもあります。
女性は最初は女性社会で生きています。女同士の付き合いだったり母と娘の問題だったり、女性社会のルールがあった後に、大人になってから男性社会のルールにまた飛び込まないといけません。

2つの世界を行き来しながらいろいろなことを考えたり葛藤したり、その社会のルールに合わせなければいけなくなります。

ですから、「自分らしさ」というものを見つけるのが結構難しかったりします。
いろいろな社会を移動しているので、自分らしさを見つけてもそれを貫くことの困難さがあったりします。

男と女はどちらが生きやすいのかというのがよく巷で話題になりますが、女性の生きづらさはたくさんあるなと思います。診察しているとよくそのようなことを考えます。

鑑別という点で、0歳から60歳までをお話しします。

0~10歳

・うつ病
10歳までで落ち込んでいるケースは「うつ病」が疑われるケースがあります。
子供のうつ病が疑われるケースがありますが、実際病気として発症することは相当少ないと思います。

「うつ状態」にはなっていますが、うつ病ではなく何かしらのストレス反応なのではないか、不適応の結果落ち込んでいたり食事がとれなくなっているのではないかと考えます。

子供の悩みはいろいろあるので、難しいです。
家庭内の問題なのか、発達の問題なのか、学校の友達関係の問題なのか、親の厳しさなのかなどいろいろあるので、きちんとヒアリングをします。子供は自分のことをなかなか言えなかったりするので、いろいろな人からヒアリングをして何に悩んでいるかを特定していく必要があります。

・気付かれにくい凹凸/虐待(性も)
男の子と違って女の子は気づかれにくいことが多いです。隠すのがうまかったりします。
発達障害の問題も女の子の方が男の子より見つけにくいです。

男の子は結構単純だったりするので嫌だったら暴れたり、授業中に座っていられなかったりしますが、女の子の発達障害で同じADHDの場合、椅子には座っていられるけれど頭の中はぐちゃぐちゃで絵を描いて時間を過ごしている。おとなしいので座って頷いたりしているけれど、全部演技でわからずに困っている時も結構あります。

虐待の問題もあります。虐待をされていると、男の子の場合は泣いたり動いたりするので親もぶん殴ってアザができるのですぐわかりますが、女の子は従順に虐待を受け入れたりするのでわかりにくいということがあります。教育的な虐待もありますが、女の子は割と親の言うことを聞いてくれるというイメージがあります。

性的な虐待は、何度もこのチャンネルでは言っていますが、あります。
こんな小さい子に対してもというところから性的虐待はあるので、本当に忘れないようにしなければいけません。
すごく心に傷を負うので正しくケアをしなければいけません。

・ヤングケアラー、いじめ
優しい子が多いので、親の介護、祖父母の介護、家事などをして自分が疲弊しているケースもたくさんあります。
優しい男の子もいますが逃げてしまう子も多く、女の子の方がやはり多いです。
また女の子の場合は「お前は女なんだからちゃんとしろ」という圧が加わっているケースがあります。
それから、女子のいじめもあります。

11~20歳

・不安障害
これくらいの年齢になると「不安障害」を発症することが多くなります。パニック障害や強迫性障害もそうです。
不安障害に関しては男性よりも女性の方が多いです。
不安障害もうつ病との鑑別が重要かと思います。

・摂食障害
男性よりも女性が多いと言えば「摂食障害」です。
一番最初に女性は自分の気持ちを言葉にするのが得意と言いましたが、苦手な人もいます。
どうやって伝えたら良いかがわからず、その結果食べられなくなってしまうこと(拒食型)や過食嘔吐をしてしまうことがあります。

リストカットなどの自傷も女の子には多いです。
同じうつでも10歳までは我慢していたことが、行動できるようになってきます。行動化の結果が摂食障害や自傷だったりします。

男の子の場合は非行に走ってヤンキーになったり家出少年になることも多いのですが、女の子の場合はストレスの結果の暴力が外に向かうのではなく、跳ね返って自分にぶつかり自分を傷つけるような自傷や摂食障害になることが多いです。

もちろん非行少女もいて家出をしてしまうような子もいますが、そういう子たちもすぐ性的な被害にあったりしてすごく傷つけられるということがあります。
夜の世界に入っていってそこで妙に甘やかされる、スポイルされるという虐待を受けることもあります。

・双極性障害、統合失調症
10代だけでなく20代もそうですが、「双極性障害」や「統合失調症」の発症もあります。
一見うつ病に見えるけれど躁エピソードもある、一見うつ病に見えるけれど話さないだけでよくよく聞くと幻聴もある、妄想があるという場合もあるので注意が必要です。
ただこれは男の子にも言えることなので、女性だからというわけではありません。重要なので書いておきました。

・月経前気分不快症候群、貧血
女の子の場合は「月経前気分不快症候群」があります。
生理周期に合わせて落ち込むというパターンもあるのですが、なかなか言ってくれないですし気付かないこともあるのですが、ここのチェックも大事です。

落ち込んでいたり調子が悪い時に、気持ちの問題かと思ったらそうではなく、本当に純粋に体調が悪いということもあります。
これは意外と隠れていたりするので、チェックすることが重要です。
「鉄欠乏性貧血」ということで、鉄剤を入れれば気分の問題も改善することが結構あります。これも忘れないようにしなければいけません。

20~30歳

・男性社会へ入る困難
20代~30代になってくると、男性社会に入る難しさがあります。
今までは女社会、女友達、学生だったのが、急に男社会にぶち込まれるわけです。
日本は特にそうですがまだまだ男社会です。男性中心の社会なので、そこで合わせていかなければいけません。

自分たちの美意識や女性らしさがある意味否定されるような世界に入っていくので、苦しいのですが、そこで慣れていかなければいけません。そこでパワハラのようなこともあったり、性的な虐待、ストーカー、レイプをされてしまうという問題も起きます。

30~40歳

・産後うつ、妊活うつ
30~40代のうつは「産後うつ」や、妊活中に誰も理解してくれない「妊活うつ」があります。
子育てを手伝ってくれない「子育てうつ」もあります。

それから「カサンドラ症候群」の問題もあります。旦那さんが発達障害の場合に共感をしてもらえずうつっぽくなってしまうというものです。ここの辺りはうつ病とは別の病気なので鑑別が重要です。

40~60歳

40代~60代になってくると更年期の問題を考えたりします。
橋本病からの甲状腺機能低下症によるうつも、男性よりも女性の方が多かったりします。

甲状腺というのは喉のあたりにある「元気が出るホルモン」です。
ここが破壊されると一瞬とても元気になるのですが、甲状腺が作られなくなるので元気が出なくてうつっぽくなります。これを甲状腺機能低下症と言います。
この場合は、甲状腺を補充してあげるとうつが良くなったりするので、この鑑別も大事です。

60歳以降の女性に多いうつ症状だと、「敏感関係妄想」と言ったりしますが、あまり気にしなくても良いです。
あとは、認知症とうつ病の鑑別も重要ですが、男性も重要なので女性特有ということではないかと思います。

女性ならではのポイントはいくつかありますのが、女性はなかなか言わないので、こちらから聞くことでようやく話しやすくなったりもします。
ですから今回挙げたようなポイントをおさえることが重要かと思います。


2021.12.24

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