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精神科の病気をざっくり全部網羅して解説

01:15 器質
02:16 内因性疾患
03:46 うつ病の仲間
04:49 不安障害
06:06 強迫性障害
08:07 依存症
09:08 解離
10:52 認知症
11:16 人格障害
12:31 知的な問題
14:21 記憶・ストレス
14:45 正常と異常?

本日は精神科の病名をざっくり全体的にお話しします。

全体的に話すことで疾患同士の対比や似ている部分がわかると思います。
似ている部分や違いがわかることで、自分の病気がどんな病気かということがよりクリアにわかってくるのではないかなと思います。

一個一個の病名を見ていると、これは自分なんだろうか、自分じゃないんだろうか、とよくわからなくなってきます。
ですので、複数の疾患を知るということは重要です。
対比が出ることで差がわかります。

と言いつつ、精神科の病名は一つだけではなくて複数付くことも多いです。
全体的な話をすればその理由もわかるのではないかと思いますので、病気をざっくり全体的にお話しします。

器質

ホワイトボードの左上から始めます。

「器質」と書いてあります。
これは体の病気が原因で起きる精神疾患です。

ステロイド精神病、甲状腺機能低下症から来るうつ、脳炎からくる精神の異常など器質性の精神病と言います。
体の調子が悪いから気持ちに影響が出る、幻覚妄想が出るということです。
体の病気を治すことでそれらも解消します。
何となくイメージがつくかなと思います。

一時的なものをせん妄と言ったりしますので、せん妄も器質の仲間といえば仲間です。
せん妄は結構短かったりするので、書いてありません。
器質性の疾患はこれらに該当します。

内因性疾患

器質性の疾患ではないけれど、何か脳の問題があるのではないかと考えられるのが「内因性疾患」と言います。

昔は外因、内因、心因と分けました。
器質性疾患のことを外部の影響、外部の原因だから外因性疾患、内部の原因からくる病気を内因性疾患と言って、気分障害の「うつ病」「双極性障害」と「統合失調症」の3つは精神科の中でも特殊な病気として考えられていました。

実際、薬が結構効いたり、薬が必要だったりするのも内因性疾患です。
入院が必要なケース、入院まで発展する幻覚妄想、気分によって支配されてより狂気に近いというか、了解不能と言ったりするのですが、ちょっとよく分からないことが起きるのが内因性疾患の特徴です。

内因性疾患は、まだ現代の医療では気付かれていないけれど、将来的には遺伝的なものなのか何かしらの形で病気の原因がはっきりするのではないかという疾患を内因性疾患です。
これはうつ病、双極性障害、統合失調症などがあります。

適応障害

うつ病に似た疾患として「適応障害」があります。
ともに「うつ状態」になりますが、適応障害の場合はストレスなど原因がはっきりしているものを言います。
うつ病はあまり原因がはっきりしないものです。

産後うつ、月経前気分不快症候群

うつ病の仲間で「産後うつ」、出産前後のホルモンバランスの変化でなるうつ、「月経前気分不快症候群」という月経の影響でうつになる人たちがいます。

季節型うつ

冬が来たらうつになる「季節型うつ」もあります。

これは結局は気分の問題、辺縁系の問題です。
脳内のエネルギーを司っている部分がちょっと変になる病気です。

不安障害

同じような辺縁系の病気としては「不安障害」という病気があります。
不安を感じやすい人、ということです。
ストレスをきっかけに、体質も重なって、普通の人よりも不安を感じやすい人たちを不安障害と言います。

例えば「SAD(社交不安障害)」は人前に出たり人前に立つことが苦手だったり、そういうことを想像するとすごく不安になる人を社交不安障害、全般的に不安を感じやすい人、色々なところに不安を感じて常にビクビクしている人を「全般性不安障害(GAD)」と言ったりします。

不安が高まっていって発作のような動悸が起きたり、手足の痺れや冷や汗、死ぬんじゃないかという恐怖感に襲われることを「パニック障害」と言います。

パニック障害の人は外に出るのが怖い、人混みが怖い、また発作が起きるのではないかと思って不安に襲われたりするので不安障害の仲間に入っています。

パニック発作自体は疲労で起きたりするので、ちょっと適応障害っぽいですが、カテゴリーとしては不安障害に入っています。

強迫性障害

昔は不安障害の仲間と考えられていましたが、最近は報酬系の仲間と言われたりしますが、「強迫性障害」というものがあります。
自分ではやってはいけないと思いながらもやってしまう、やめられないというのが強拍性障害です。

例えば手洗いは、もうこれ以上洗う必要がないのに、洗わないと怖い、不安だという形でやり過ぎてしまう。
鍵締め確認や火元の確認、もしかしたら鍵を締め忘れたかも知れないと職場まで行ってまた自宅へ戻るなどを強迫性障害と言います。

すごい不安に駆られたときに手を洗うことで安心します。
安心するからリラックスできるのですが、また時間が経つと不安になる、そして手を洗うと安心する、と繰り返すことで報酬系が病みつきになってしまいます。
病みつきの脳内サイクルができ上がってしまってやめられなくなります。

脳内のやめられない感じ、ぐーっと不安になって何かをやったら楽になる、だから不安になるとやりたくなるというのを報酬系と言います。
強迫性障害も報酬系の仲間と言われたりします。

強迫性障害はなかなか頭からとれない、なかなか変えられないというものなので、似たようなものとして「ためこみ症」というものもあります。
いわゆるゴミ屋敷、また要るかもしれないと捨てられない、捨てたら困るんじゃないかと思ってなかなか捨てられないことをためこみ症と言います。

また、特定の恐怖症、一つのものが怖くて、こんなもの怯える必要はないのにと思っても怯え続けてしまうのを恐怖症と言います。
蛇だったり死の恐怖だったり、武器だったり地震だったり。
あまりいないんですが、たまにいます。

依存症

同じような報酬系の仲間としては「依存症」というのがあります。
アルコール、ギャンブル、買い物、性依存、自傷行為や過食嘔吐も同じです。

ストレスが溜まる→アルコールを飲む→楽になる→またストレスが溜まる→アルコールを飲む→ストレスを解消する… と続ける結果、どんどんどんどんやめられなくなる、アルコールを飲んだときだけ楽になるので、また欲しいまた欲しいとなってしまう、ギャンブルをする→気持ち良くなる→またやりたくなる→止まらない、というものです。
これが依存症の仲間です。

セックスもそうだし自傷行為もそうです。
不安になる→自傷行為をする→ちょっと頭がスッとする→楽になる→不安になる→やってしまう…
過食嘔吐も同じです。
ここら辺は依存症の仲間です。

解離

幻覚妄想が出るのを統合失調症と言い、統合失調症の場合は脳の病気としてあるのですが、そうではなくて心理的抑圧、我慢しているから自己暗示にかけてしまう形で同じような症状が出たりするのを「解離」と言います。
または身体症状症と言ったりします。

どうして体が痛いのか、どうして手足が動きにくいのかよくわからない。
解離の場合は記憶が飛んだりします。
自分で自分の暗示をかけて、何でそういうことになってしまったか分からないけれど、そういうことになっています。

自己暗示をかける原因は何かというと、例えば虐待だったり家族の問題、仕事の問題があるのですが、現実の問題から目を背けるために自己暗示をかけてしまう。
知らず知らずかけるのをヒステリーと言ったりします。

身体症状症もヒステリーの仲間と言われていますが、実はそうではなくて体の問題があるんじゃないか、ということが最近少しずつわかってきています。

過敏性腸炎や線維筋痛症はただの心の問題ではなく、体のメカニズムがあるのではないかということが最近ちょっとずつ分かってきています。

古典的にはヒステリーは心の問題だと言われていましたが、実は違うかもしれないと考えられています。
内因性疾患と、外因、内因それ以外を心因性疾患と言っていたのですが、心因性と内因性の垣根が段々と取れてきたりしています。

認知症

「認知症」の問題もあります。
認知症も幻覚妄想が出たりします。

普通のアルツハイマー型認知症もあれば、レビー小体型認知症と言って幻視が出るものもあれば、FTD(全頭側頭型認知症)という性格が変わってしまうような認知症もあります。

人格障害

性格が極端に違う、人格としてちょっと普通の人と違うことを「人格障害」と言ったりします。
A群、B群、C群と分かれます。

A群で有名なものは「パラノイア(妄想性人格障害)」「シゾイドパーソナリティ障害」があります。
統合失調症ではないが統合失調症のような性格の人たちをA群のパーソナリティ障害と言ったりします。

パラノイアの人たちは結構被害的な妄想を持ったりして、ときに暴力的な形をとってしまいます。
犯罪を犯してしまうこともあります。
でもそれは被害的な妄想に支配された結果、窮鼠猫を噛むような形で暴力に発展してしまうことが多いです。

B群だと境界性パーソナリティ障害、自己愛性パーソナリティ障害。
C群だと回避性パーソナリティ障害というのが代表的です。

知的な問題

また知的な問題もあります。

知的な能力の問題として、精神発達遅滞(昔でいう知的障害)や境界知能(普通の人よりちょっと知能が低め)、知能の中でも凸凹があるパターン、全般的に低いわけではないけれども一部苦手なことがあったりするとASD、ADHDという形で発達障害と言ったりします。

・クオリア

ホワイトボードには「クオリア」と書いてありますが、人間の心の構造が質的に異なる感じがあるのです。
僕らみんなが赤色を見たときに「赤だ」と感じているのですが、脳内では同じような赤を感じているのかどうか分かりません。

同じものを見ていて、言語や社会的な部分では共通したやりとりができているのですが、脳内では別のことが起きているのかもしれません。
それが極端な場合が、ここら辺の病気の特徴です。

どこか違う、外国の人と話していると言うと語弊がありますが、ちょっと違うのです。
この違いを口で説明するのは難しいのですが、発達障害のような違い、パーソナリティ障害のような違い、他に例えようのない質的な違いがあります。
それは他の病気とはちょっと違う質感があります。
これは臨床経験がないと分かりにくいかもしれません。

記憶・ストレス

脳内の記憶の問題、ストレスや記憶の問題があり、本来なら忘れるものが忘れられない病気としてPTSD、複雑性PTSDがあります。

以上がざっくりいう精神科の病気一覧です。

正常と異常?

正常と異常ってどういうことなのか?
何でもかんでも全部病名になるのじゃないか?
と言われそうです。

確かに正常と異常の区別は難しいです。

左上の外因性疾患、器質疾患であれば生物学上の異常を言うことは比較的簡単です。
炎症反応を見たり甲状腺の値を調べると生物学上の異常は特定し易いです。
ですが、他の病気に関してはなかなか生物学的な特徴は掴みにくいです。
認知症でさえ画像所見だけでは全部はわかりません。

心理学的な違いもあるのですが、説明がしにくかったりします。

社会学的な違いというものあって、結局極端なものを病気ということがあります。
例えばPTSDのフラッシュバックがあればそれは病気だと言えます。
全般性不安障害だと、誰の心にも不安なものはありますが、その不安が極端なものを病気と言ったりします。

発達の凸凹具合というものも皆にあります。
が、その凸凹具合が極端なものを障害と言ったり、知的な能力に関しても極端に低いものを障害と言ったり、でも極端でなくてもそこそこ低いものを境界知能と言って障害と言ったりします。

そんな話です。結構難しいです。
精神医学は臨床学問なので今困っている人たちを助けようとした結果、少しずつ知見がこのようにたまっているということです。

数学のように完璧に決まっている、物理学のような綺麗な科学ではないけれども、精神医学は精神医学で一つの科学として日夜頑張っているという感じです。

今回は精神科の病名をざっくり解説しました。


2022.2.8

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