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人生の「マニュアル」が必要な発達障害+α

01:21 外側がなければ人の形を維持できない
03:47 正しく年輪を重ねられていない

本日は「マニュアルが必要な発達障害+α」というテーマでお話しします。

発達障害の人で、マニュアルだったり、常識だったり、趣味だったり、組織だったり、何か外側のもの、自分の身を包む何かが必要な人がたくさんいます。
今回はそのことをぼんやり語ってみようと思います。

発達障害には「ASD/ADHD/LD」の3つがあります。
特にASD(自閉スペクトラム症)とADHD(注意欠如・多動症)は合併することが多いので、まとめて「発達障害」として解説をしたり臨床にあたっています。

今回も「発達障害」と一括りにしてお話しします。
ASDの人もADHDの人もこの傾向がある、ということです。

外側がなければ人の形を維持できない

「外側がなければ人の形を維持できない」という特徴があります。

・組織に属していないと、なんだか取り止めがない
・自分では立っていられず広がっていく一方
・いつも外側を探している
このようなイメージです。

左上の絵は、「さまよう鎧」です。
鎧の中にスライムがあります。
鎧を着ているうちは人のように動けますが、鎧が外れると、でろーんとなってしまいます。

左下の絵は、「ヤドカリ」です。
ヤドカリのように、いつも自分に合う家を探しているという感じです。

例えばADHDの人で、趣味を絶えず探している、熱狂できる何かを探しては飽きるとまた次のものを探す、という人がいます。

趣味があって熱狂しているうちは気持ちも落ちついていますが、趣味に飽きたりそれを取り上げられたりすると、うつになったり、仕事ができなくなったり、遅刻してしまうようになります。

また、恋人や家族がいるとうまく回りますが、そういう人たちとべったりで、その人がいないとうまくいかないということもあります。
その人にいつもべったりとくっついていて、買い物に行くにしても、どこに行くにしてもくっついて行く。
「いい加減、離れてよ」「いつもくっついていられる嫌なんだよ」と言われると、泣き出したり興奮したり、自分の形を保てなくなってしまいます。
仕事以外の時間は常に寝ている、ということもあります。
そのようなことです。

正しく年輪を重ねられていない

どうしてこのようなことになるかというと、「正しく年輪を重ねられていない」ということがあります。

人間にはコアな部分があり、成長するにつれ少しずつ年輪が重なっていきます。
ですから内側は固いものなのですが、それがドロドロのスライム状で外側しかありません。

形式ばった挨拶や形通りのもの、マニュアルがあることはできるのですが、「どうしてそうなの?」と聞くと、内側に自分の意見がなく混乱してしまいます。

ではその人たちが成長するかというと、外側ばかり厚くなるだけで、「困った時にはこうしたら良い」「困った時にはこの本を読めば良い」といったマニュアルだけが増えて応用が効かなかったり、内側のものが成長していかないということがあります。

これは発達障害の人だけでなく、人格障害(境界性パーソナリティ障害、反社会性パーソナリティ障害など)の人にも当てはまります。
虐待を受けていたために、本来積み重ねるべきところがうまく育たないこともあります。家を出て虐待を受けなくなったら外側はしっかりするのですが、内側に入るとすごく弱々しくて自分の気持ちや意見を語れません。

これは健康な人でもそうです。
自分の意見がなく、考えがはっきりしない人はいます。
そういう人は、薄っぺらい人と言われたりします。

治療としてはどうしていくかというと、外側ではなく内側の成長をどう促すか、ということです。
内側を固めていく作業、内側を育ててあげる治療が必要です。
そのようなイメージで会話をしていくことが非常に重要です。

そういう風にしていくと、内側もだんだん育っていきます。
外側ばかりでなく、内側を育てていく、目を向けていく治療がとても重要です。

今回は、マニュアルが必要な発達障害+αというテーマでお話ししました。


2022.6.2

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