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サブ主治医について

00:00 OP
02:26 YouTube→影響力・親密感
03:54 鏡のようであるべきか?
10:48 我々の生活はどう変わるのか?
13:37 イノベーションとは?

本日は「サブ主治医」について解説します。

YouTubeをやっていると、他の先生からもよく言われるんですよね。
「益田先生の動画を見た人が来ましたよ」とか、益田の動画を見てきた患者さんが「本当は益田先生のところを受診したいのに、予約が取れないので我慢してきましたと言われた」「益田の動画を誤解してきた人の訂正からしなければいけなかったので迷惑だったよ」とかいろいろなことを言われます。

今見てくれている方は、僕のことをすごく親近感を持って見てくれているようです。
動画を見て、いろいろなことを学んでくれているようです。
もちろん全体的に見ればメリットの方が多いし、好意的に受け止めてくれている人の方が多いのですが、一部害をなしているところはあるのかなと思います。
それは僕自身も反省しているところです。

「サブ主治医」という形で僕は最近呼ぶようにしていますが、とにかく僕という存在が、だんだんYouTubeの登録者数も増えて影響力を増していく中、YouTube自体も影響力を増してきて、多くの人がYouTubeを自然に見る、YouTubeで検索して何かを見るようになってきました。
そういう中で僕がセカンドオピニオンというか、サブ主治医として機能するようになったということです。

YouTubeを始めたのが2019年12月14日ですが、YouTubeを始めたときにはYouTube検索をする人はほとんどいませんでした。
ただ適当に流れているものを見たりとか、面白いものをちょこちょこ見るだけでした。

でもこの2年間でだいぶ変わりました。
何かわからないことがあったらYouTubeで検索して調べて勉強する、ということが一般的になりました。
本当に変わってきたなと思います。

YouTube→影響力・親密感

YouTubeはやはり影響力があります。
「親密」と書いていますが、親密な感じがする。

親近感というよりは親密感です。
小さいスマホの画面で僕と一対一で会話をしていくので、とても密な感じがするということです。
これはなぜかというと、単純接触回数が多いということですね。
何度も何度も見ているので、だんだん僕のことを好意的に思うようになってしまうのです。

サンクコストという観点もあります。
つまり、わざわざ見た、わざわざ自分が無理をしてこの動画を見たということは、この動画は素晴らしかった、この動画を作っている益田は素晴らしいと思いたい。
損はしたくないんですよね。
損はしたくないという気持ちが湧くので、その気持ちが強ければ強いほど僕のことを良い人だと思いたくなります。
良い情報を与えてくれたんだと思いたくなる。
そういうことで影響力を増す。

あとは動画というものですね。
動画はブログやテキストよりも遥かに影響力があります。
SNSは相互的にやり取りする、レスポンスの要素があるので、より親密感を感じやすいし影響を受けやすいです。

鏡のようであるべきか?

これはあまり精神医学的には正しいやり方と言われてきませんでした。
それはなぜかというと、治療者は鏡のようであるべきだ、という教えがあるからです。

こちらの情報や人間性で、患者さんに悪影響を与えてはいけないということです。
患者さんに自由に喋ってもらうためには、患者さんが自分の思いを話して自分の気持ちに気づくためには、こちらが鏡のような存在であるべきだ。 
治療者の色がついてはいけないと教わります。

けれどももう今日では昔のやり方とはちょっと違います
ホームページ上には僕ら治療者の情報は出ています。
開業医であれば院長の情報は絶対に出ます。

そもそも「鏡のようであるべきだ」と言った先生たち、有名なドクターは、自分の名前や顔をバンバン出しているわけです。
だからそもそもそれはどこまで成立するのかというのはありました。

「これは専門家向けに書いている本だから、一般の人は読まないよ」と治療者は言ったりするのですが、そんなわけがありません。
医師が医師の本を買うよりも、患者さんや周りの人が医師の本を買う方が圧倒的に部数としては多いですから、それは方便なのか、もしくはその有名なドクターは事情を何も知らないということなんじゃないかなと思います。

論文でさえ、医師同士が見るよりも、他の人が読んでいることが多かったりします。
それだけ患者さんは病気の情報や主治医の情報を切実に求めているというか、求めていたということです。
とにかく鏡のようであるべき、というのは程度の問題なんじゃないかなと僕は思っています。

どこまで個人的な情報を出すのかというのはすごくバランスが必要です。
出し過ぎてももちろんダメだし、出さなすぎてもきちんと相手に必要な情報を伝えることはできません。

患者さんの治療が進む、患者さんの心が癒えていく、心の傷が治っていくというのは、どうしても僕らの人格というものを使うのです。
僕らが出している彼らに対する優しさだったり愛情が治すという要素は、絶対含んでしまいます。
それはどんな治療であっても、どんなカウンセリングの流派であっても、それは含まれてしまう。
だから加減の問題だということです。

ただリアルとは違うんですね。
リアルでの診察室とこういう動画上の情報提供というのは違います。
動画上の方がより僕のキャラクターを出しやすいし、出しても問題がないというのはあります。

僕の診察をリアルに受けている患者さんは、動画よりも益田は診察室では淡白だとか、冷たいとか言います。
でもまあそれは当然の話で、診察室と動画はまた別のものですし、診察室で同じようなテンションでできないというのもあります。

あとはそもそも隠しきれないんですね、これは。
これからYouTubeを撮りたい人とか、いろいろな人にも伝えたいのですが、動画はもう「隠せない」のです。
自分の性格や人柄はどうしてもにじみ出てしまいます。

ましてや1回、2回ではなく、毎日こうやってカメラ越しにみんなに伝えているということは、僕の人柄が出やすいのです。出てしまうのです。
逆に言ったら人柄は出てしまうので、それを利用するのはとても重要じゃないかなと僕は思っています。

僕が誠実だとか、真面目にやっているということがわかればわかるほど、患者さんの治療効果は高まると思います。
だから気をつけるというのもあるし、気をつければそれがダイレクトに治療の効果に繋がるのでやりがいがあるという感じです。

気をつけるべきことというのは、まず当たり前ですが「主治医に迷惑をかけない」ということです。
臨床というのは理想ばかりでは済みません。
話を聞いてあげるべきだと言っても、実際の診療では5分をちょっと超すぐらいしか聞けません。
そりゃ、オープンダイアローグをできたらいいですよ。
できたらいいなと僕も思いますけど、まあ、理想論ですよね。
なかなか時間を取ったり、治療的に必要なものを提供するのは難しいです。
それをビジネスに乗っけて日常の診療としてやることはほぼ不可能です。

医師なんてそんなに数がいません。治療者はそんなに人数がいないのです。
患者さんもそこまでのお金を準備できないわけですから、動画の中で理想論を語って「こうあるべきなんだ」と言って誤解させてはいけないなと思います。

言いにくいこと、リアルな診療を必ず伝える。
そして主治医に絶対迷惑をかけてはいけないということは気をつけていますし、皆さんも気をつけてもらいたいなと思っています。

あとは僕らの欲望です。
逆転移の話とか商用利用の話です。
良い人に見られたい、自分の承認欲求を満たしたい、このまま僕が例えばYouTubeを利用してどんどん人気者になって政治家になってやろう、どんどんそれで有名になって信用してもらって高額な商品を売って商用利用してやろう、そういうものがあったらもう無茶苦茶になってしまいます。

そういうことが起きないように、僕も暴走しないようにYouTuberの会というのを作って、松崎先生らと相互監視してもらうようにしてます。相互監視というか、主に益田の監視です。
益田が暴走しないか見てもらっているということです。

怖いですよ、本当にね。僕も人間ですから。
モテたいはないかもしれないけど、美味しいものを食べたいとか、そういうのはあるじゃないですか。そういうことが動画を通じて起きないように考えていますね。

我々の生活はどう変わるのか?

こういうサブ主治医ですが、そんなややこしいことを何で益田はするのかということですよね。
こういう影響力のあるものを何でお前ごときがやるんだ、というのはよく思うと思います。
ただ、やらないといけないんですよね。
我々の生活はどう変わるのか、ということを常に考え続けなければいけないのです。

精神科というのは社会的な影響をすごく受ける学問分野です。
治療のやり方というのも社会的な影響を受けます。

これから我々の生活は大きく変わっていきます。
テレビしかなかったのがYouTubeができた。テレビでしか動画を見られなかったのが、スマートフォンで動画を見られるようになった。
どこでも動画を見られるんですね。
僕の子供のときなんか、一家に1台しかテレビがなかったから、自分の部屋でテレビを見るなんてありませんでした。
それが今や一人でスマホで気軽に見られるわけです。

そしてこれから次の段階に進みます。
次の段階とは何かというと、メタバースの時代です。

オンライン上でもっとスムーズにコミュニケーションが取れる。
AIを使って必要な情報が手に入るような時代に変わっていきます。

ゲームのように別々の空間にいる人たちでコミュニケーションを取ることも可能になる時代が来る中で、どう僕らの生活は変わるのかということです。

過去にやっていた臨床の正しさとか、臨床の技法の正しさというのは、過去の生活上で起きていたことをベースにしている正しさです。
未来の生活では、それが正しいかどうかわかりません。

過去だとこれが正しかったのですが、未来の生活では、このやり方だと不十分だということはたくさんあります。

わかりやすく言えば、過去は仏教とかキリスト教とか何でも良いのですが、それがヒーラーの役割でした。
我々の心の悩みを助けてくれたし、お寺のお坊さんたちが精神科医の代わりに心を癒していたと僕は思います。教義が今でいうテキスト、精神医学だったと思います。

時代が変わっていけば、正しさは変わっていきますし、やり方も変わっていきます。
技術力も上がっていきます。
昔の正しさがそのまま今やって正しいかというと、そういうわけじゃない。
今の時代に合った、今の生活と合わせた「正しい治療」をやっていくべきだと僕は思っています。

イノベーションとは?

イノベーションを起こした方が良いということなのですが、イノベーションとはそもそも何かというと、技術革新です。
技術によって、諦めていた課題を解決することと言われています。

諦めていた課題とは、これまでできなかったことです。
例えば、診察時間が短い、患者さんの孤独感を解消する手段がなかなかない、デイケアぐらいしかない、周囲の人がなかなか理解してくれない、患者さんがなかなか外に出られない、お金がなくてカウンセリングを受けられない、時間がなくてカウンセリングを受けられない、遠方に住んでいる、などいろいろな課題があるわけです。

今まではこれを諦めていたのですが、どうやって技術によって解決できるかということです。
YouTubeを使えば、無料で無限のコンテンツを準備することができます。

それをずっとストックできます。
ということは、診察室で話すべき内容をYouTubeで代用できます。
そうすれば、診察の時間を他のことに割けるので、結果的に時間が延びます。

SNSによって物理的な制約というものが消滅します。
昔だったらなかなか同じような疾患の人に出会えなかったのが、インターネットを使えば出会えるようになります。
摂食障害の人などなかなか多くはいません。
県に何人というのが全国でぐっと集まるので、コミュニケーションが取りやすくなります。

外に出られない人もいますよね。
それがスマホでつながることができる。
顔を出せない人は顔を隠してアバターで参加できるし、会話できるし、声を加工することもできる。匿名で出ることもできる。
こういう技術革新を意識しながらできなかったことをやっていく。

新しいことをするというのはトラブルだって起きるだろうし、失敗だって起きるかもしれない。
だから慎重にやりつつ、でも諦めてはいけないものなんだと思います。

サブ主治医の問題もそうで、一つの問題ではあるんだけれども、その問題をきちんと見極めて、その上で解決していく方法を考えていくことはとても重要だと僕は思っています。
そういうことをYouTuberの会でやっているということです。

言葉にすれば単純な話なのですが、ここまで思考がいくとか、言語化するまでは結構時間もかかっています。
そういうことを伝えるために今回動画を撮ったわけです。
ということで今日は、サブ主治医とはどういうことなのか、を解説しました。


2022.8.15

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