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発達障害の差別、偏見

00:00 OP
02:22 発達障害、グレーゾーンの人の割合
03:16 職場や日常で起こること
05:40 発達障害であることの強み、多様性

本日は「発達障害と社会(差別)」についてお話しします。

最近、臨床をしていて、カサンドラ症候群、旦那さんが発達障害で奥さんはその対応をしていてうつになってしまった人や、自分の親は実は発達障害だったのではと自分の過去の虐待や辛かった経験を語るケース、ウチの上司は発達障害じゃないですかと、その人と仕事をしている中でうつになってしまったケースによく遭遇します。

僕は親だったり旦那さんだったり上司の人だったりを診察しているわけではないので、発達障害という診断はできないわけですが、そういう要素もあるかねとか、そういう部分はもしかしてあるかもしれないですね、ということは診察室で話すことがあります。
「先生の動画を見たので、ますます発達障害だと思ったんです」とかいろいろな話が出てます。

実際、そういうことは良いのか悪いのかと思います。
益田は発達障害のことをバンバン言って差別を助長しているのではないか、何でもかんでも発達障害と診断をするように仕向けているのではないか、そういう風に思われることが多いのです。

実際に目の前にいる患者さんたちと喋っていく中で、自分自身がどういう風にそのことを捉えているのか、そもそも僕は発達障害がどれぐらいの人数いて、どういう風に考えているかということ少しお話ししようかなと思います。

発達障害、グレーゾーンの人の割合

実際、発達障害的な人は、グレーゾーンまで含めると7~8%くらいいると言われています。10%くらいいると言われています。

それ以外の人を定型として、その他をグレーゾーンまで含めて発達障害の人だとしたときに、かぶっているところもあるとして人口の中の1対9の割合であるわけです。

そもそも人生の中でうつ病の症状が出る人が1割以上いるみたいな形で、発達障害的なもの、発達障害ではなくても、自閉スペクトラムの人(障害ではない)、注意欠如多動の人というのは1割ぐらいいたりするので、決して珍しくはありません。

職場や日常で起こること

こういう発達障害傾向のある人が、定型の人と一緒に暮らしていく中でどういうことが起きているのかということです。

発達障害があって、それが職場で不適応を起こして、二次障害としてうつになるケース。
これが一般的ですよね。

変わっているし、コミュニケーションを取るのが苦手なので、周りの定型の人から誤解されたり、お前は甘えているんじゃないか、ちゃんと真面目に仕事しろ、忘れ物をするなんて気合いが足りないんじゃないか、などと言われて責められ続ける。誤解されて信用を失って、うつになるのがよくある発達障害のケースです。これがまず一個あります。

また、発達障害の人の中で攻撃的な人がいます。
反社会性パーソナリティ障害や、子どものときには素行障害と呼ばれる人たちの中で、発達障害を合併している人の割合は結構多いです。

ちょっと攻撃的な人たちというのもいます。
こういう人たちが誰かを攻撃するとか、何か嫌なことがあったときに、自分ではなく相手に怒りを投影する、ぶつけてしまうことがあったりします。

そういう自己中心性と攻撃性の結果、うつになってしまってカサンドラのようになることもあります。相手が困ってうつになってしまうケースです。
それが職場の部下だったらパワハラと言われることもあるし、子どもだったら子どもカサンドラと最近僕は言っていますが(造語です)、子どもが虐待のような経験を受ける。
ネグレクトのような体験をしてしまうこともある。
奥さんが旦那さんに理解してもらえないとか、会話が通じない、子育てに協力してくれないとうつになるケースもあります。

これが定型の人と発達障害の人の中で起きる、相互理解がないために起きる不幸な事件というか事故です。

発達障害であることの強み、多様性

でも一方で、発達障害の人がなぜいるのかというと、自分自身の世界があって、こだわりがあって、自分の好きなことに全力を注げるという強みもあるのです。

その強みがうまくいくと、世間では天才と呼ばれたり、リーダーと呼ばれるような人たちになったりすることもあります。

定型の人たちから天才と呼ばれる人たちが生まれるよりも、話を聞いていると、僕の臨床感覚で全然データはないですが、やはり発達障害的な人の中からこういう天才やリーダーと呼ばれる人が多く出ているなという気はします。

こだわりがあって、一つのことにずっと打ち込める。だから天才と呼ばれる人が出てくる。
多動で、行動力はとにかくハンパないのでリーダーになれるということは結構知られています。

発達障害的なものがあるので、この人たち単独だと大きなことはできないわけです。だから定型の人たちがしっかりサポートしてあげているという状況もあります。
これが強みを生かすということなのかなという気がします。

人間社会は、あくまで僕の仮説というか雑談ですが、発達障害的なものがあるというのはそれなりの理由があると思います。
悪い方に転じてしまうこともあるけれど、良い方に転じていることもたくさんあるということです。
だから人間というのは多様性があったり、バリエーションがあるようにできあがっています。

生物的に人間がそういう進化を選択してきたということです。
こういう多様性を理解していくことはとても重要です。

同じ人間なんだけれども感じ方が違う、考え方が違う。
脳のレベルで受け取り方が違う。

そういう知的生命体がいるというか、身近なところにちょっと違う知的生命体がいるという人間の面白さというか、不思議さを理解してもらえたらなと思います。

違うからといって、差別するとか否定するのは違うと思います。

現実的に発達障害というものがあるわけで、こういう群れとしての現象、人間らしい群れや発達障害という現象を否定するとか、隠蔽するというのはよくないと思います。

人間の中にはこういう要素があるんだということを、しっかり理解していくのはとても重要だと思います。

強みを生かせる人たちも一部います。
ただ、これはあくまで一部です。
多くの発達障害の人たちは、リーダーの立場になるよりは、むしろうつの側に行ってしまうことが多いです。
治療者側や家族が、この子は発達障害があるけれど良いところもいっぱいあるから強みを生かすべきだ、という形で天才を目指そうと思って教育を熱心にやりすぎると、ある意味教育的な虐待という形で本人を潰してしまうことになります。

運がよければ、強みを生かせるのですが、多くの場合はうつにならないように真ん中を取れれば良いのではないかと思います。

結局、努力というよりは運の問題だったりします。
サポートがあってこそなんですよね。

うまくサポートがあって時流に乗れば強みを生かせるのですが、もうほとんど運です。
狙ってできるものではないんだろうなとは思います。

発達障害はグレーゾーンまで含めると7~8%くらいいますし、そういうところですれ違いが起きるように設定されていますよね。集団の中にこれだけいるということは。
ですから、こういうことで差別するのではなく、互いの違いを理解して、うつ側ではなくて天才側に行けるようにうまく相互理解を高めていくということが重要なんだろうなと思います。

なぜこの話をしたかというと、こういう家族のパターンもあるのです。
おじいちゃんが、例えば会社で成功していたけれど結構変わり者だったと。
二代目、三代目は普通の発達障害で、ちょっとうつになってしまった。
お父さんやお母さんがうつになってしまった、子どもがうつになってしまった。

逆にお父さんは厳しくて、子どもに対して教育的な虐待や普通の虐待をしてしまったというケースがあったりします。

同じ発達障害の中でも、遺伝がありますから、発達障害の傾向は似ます。
おじいちゃんは天才側だった。
逆におじいちゃんはうつ側だったけれど、子どもは天才側だったとかそういうこともあったりします。
親子続けて天才側ということもありますが、それはレアなケースかなと思います。

今回は、発達障害と社会というテーマでお話ししました。


2022.8.31

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